Agodaに予約を勝手にキャンセルされた話⑤
第5話 交渉がリセットされた日
ある日、一通の英語メールが届いた。
そこには見覚えのある文章が並んでいた。
「予約は受け入れできません。」
「全額返金します。」
「補償はUSD58.23です。」
私は思わず目を疑った。
58ドル?
つい先日まで、日本語担当者と何十通もやり取りを重ね、補償額は37,644円まで引き上げられていたはずだった。
それが突然、交渉開始時の金額に戻ってしまったのである。
社内で情報共有されていないのだろうか。
担当部署が違うのだろうか。
それとも、最初からやり直そうとしているのだろうか。
理由は分からなかった。
しかし、このメールだけは受け入れるわけにはいかなかった。
私は少し強い表現で返信した。
「USD58.23の提案は断固として拒否します。」
そして、これまでの経緯をすべて整理した。
日本語担当者から差額補填37,644円の提案を受けていること。
ホテル側の価格設定ミスと説明されていたこと。
現在は責任の所在も調査中と説明が変わっていること。
現在の販売価格は83,144円であること。
その差額が37,644円であること。
そして、こちら側に一切責任がないこと。
感情的にならないよう心掛けながら、一つひとつ事実だけを書いた。
さらに、日本語で対応できる責任者への引き継ぎも依頼した。
すると、その後、日本語担当者から返信が届いた。
英語メールは無視して構わないというわけではないが、交渉は日本側で継続されることになった。
ようやく話は元のレールに戻った。
ただ、この出来事で強く感じたことがある。
担当者が変わるたびに説明が変わる。
補償額も変わる。
利用者側が経緯を説明し続けなければならない。
これが一番大きな負担だった。
続く
