公務員になって一番驚いたこと。仕事じゃない、“育ち”の違いだった。
『私立が当たり前」という世界
公務員になって驚いたことはたくさんある。
仕事内容でも、人間関係でもない。
一番驚いたのは、「育ってきた環境」の違いだった。
職場では子どもの教育の話になることがよくある。
すると、多くの人が当たり前のように言う。
「中学受験させる予定。」
「できれば私立に行かせたい。」
最初は耳を疑った。
私にとって私立は、お金持ちの家庭が行く学校だった。
「私立か公立か」を選ぶなんて、考えたことすらない。
みんな公立へ進学するものだと思って育ってきたからだ。
その何気ない会話だけで、自分とは違う世界で育ってきた人がこんなにもいることを知った。
⸻
私の「普通」は、誰かにとっては普通じゃなかった
私は地方の公立高校に通っていた。
授業中に教室を出て行く人。
タバコで停学になる人。
暴力で退学になる人。
もちろん真面目な人もいたが、決して落ち着いた学校ではなかった。
だから、それが普通だと思っていた。
一方で東京の学校の話を聞くと、不良は少なく、勉強熱心な子が多いという。
教育熱心な家庭も多く、子どもの将来を考えて早い段階から環境を整える。
「なるほど。優秀な人が多いのも納得だ。」
そう思うことが何度もあった。
もちろん、どちらが良い悪いという話ではない。
育つ環境が違えば、「普通」も変わる。
それだけのことなのだ。
⸻
仕事よりも苦しかったのは、価値観の違いだった
教育だけではない。
近所付き合いもそうだ。
私が子どもの頃は、庭でバーベキューをしたり、近所の人が気軽に家へ来たり、お菓子をもらったりすることが当たり前だった。
東京ではそんな光景をほとんど見ない。
近所付き合いは挨拶程度。
その代わり、プライバシーは守られている。
教育に対する考え方も違えば、学校への要望やルールへの考え方も違う。
どちらにも良い面と悪い面がある。
それでも私は、公務員になってから「価値観が合わない」と感じる場面が少なくなかった。
仕事がつらいわけではない。
相手が嫌いなわけでもない。
ただ、育ってきた環境が違いすぎる。
その違いが、時には劣等感につながることもあった。
⸻
公務員になって初めて、自分の世界の狭さを知った
私は育ちが悪かったとは思わない。
でも、公務員になって気付いた。
世の中には、自分とはまったく違う「当たり前」の中で育ってきた人がたくさんいる。
仕事を覚えることよりも、その価値観の違いに慣れる方が難しかった。
これから公務員を目指す人へ。
試験勉強や仕事内容ばかり気にするかもしれない。
でも、本当に驚くのはそこではない。
「こんなにも違う環境で育った人たちと、一緒に働くんだ。」
そのギャップに戸惑う人は、きっと少なくないと思う。
公務員になって私が一番学んだこと。
それは、人は仕事よりも、育ってきた環境によって価値観が大きく変わるということだった。
