【追悼・大葉健二】生涯、一度も僕たちを裏切らなかったヒーローへ 第三回:銀色の衝撃 〜「蒸着」に魂を奪われた日〜

初めて宇宙刑事ギャバンを見たとき、全部持っていかれた。
 銀色の戦士。あんなヒーロー、それまで見たことがなかった。
 正直に言えば——アンパンを頬張っていたあの人のことなんて、その瞬間はどうでもよかった。

 それくらい、コンマ05秒で「蒸着」する銀色のボディは衝撃的だった。
 あの光を見た瞬間、これまでのヒーローの常識が、頭の中で音を立てて崩れた気がした。

 だが、僕たちを本当に震えさせたのは、ビジュアルだけではない。
 毎週、テレビの前で聴いたあのオープニング曲だ。

 「若さってなんだ 振り向かないことさ」
 「愛ってなんだ ためらわないことさ」

 50代になった今、この歌詞を聴き返すと、心に突き刺さるような重みがある。
 あの頃、ただかっこいいと口ずさんでいた言葉は、実は「どう生きるか」を問う、大葉健二氏からの、そしてヒーローからの力強いメッセージだったのだ。

 大葉氏は、まさにその歌詞を地で行く人だった。
 「蒸着」のポーズ一つをとっても、一切の妥協がない。
 スーツアクターに任せきりにせず、自ら火薬の中を駆け抜け、鉄骨から飛び降りる。
 あのキレのあるアクションがあったからこそ、僕たちは「銀色のスーツの中には、本当にあの一条寺烈がいるんだ」と信じることができた。

 ひょうきんな青い戦士と、孤高の銀色の刑事。
 その二つを繋いでいたのは、大葉健二という人の、剥き出しのパッションだった。

 「あばよ涙、よろしく勇気」

 そのフレーズ通り、彼はどんな困難な撮影でも、そしてその後の人生においても、常に勇気を携えて、前を向いて走り続けてくれた。

 僕たちはあの頃、銀色の光の中に、
 ただひたすら前を向いて走る、一人の男の背中を見ていた。



いいなと思ったら応援しよう!