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不動産デベ・財閥系「御三家」の違い

YouTubeで田端大学 投資学部の「不動産デベ・財閥系『御三家』の社風を知らずに投資するな!」という動画を見た。


不動産デベロッパーの御三家、三井不動産、三菱地所、住友不動産。この3社の社風と経営スタイルの違いを解説したもので、なかなか面白かったのでまとめてみる。

この記事は基本的に上記動画の内容の要約だ。数字や事実関係は動画内で紹介されていたものをベースにしている。

御三家という名前の重み

三井不動産、三菱地所、住友不動産。いずれも旧財閥系の流れを汲む企業で、売上規模、利益、保有資産のどれをとっても他の不動産会社とは一線を画している。

ところが、この3社は同じ御三家と括られていても、社風がまったく違う。PERやROEといった数字の表面だけではわからない。決算書には書かれていない「社風」というDNAの違いを知らずに投資するのは危険だ、というのがこの動画の趣旨である。

三井不動産 - 街を動かす生徒会長

三井不動産は「文武両道の生徒会長」だ。単にビルを建てるのではなく、街全体の価値をどう高めるかをプロデュースする。その「主幹事」としての能力が突出している、ということらしい。

御三家の中で売上高トップの業界最大手。2024年3月期の売上高は約2兆3,800億円、時価総額はおよそ3兆6,900億円。事業領域はオフィス、商業施設、住宅、ホテル、物流施設、海外事業と幅広い。三井アウトレットパーク、ららぽーと、日本橋の再開発。いずれも三井不動産の仕事だ。

象徴的なのが晴海フラッグだろう。東京五輪の選手村跡地を再開発したこのプロジェクトには、複数のデベロッパーが参画した。そして幹事会社を務めたのが三井不動産だった。広告や資料の「エンドロール」の筆頭に名を連ねるのが三井である。この序列1位のポジションが、業界内での立ち位置をそのまま表している。

経営面で興味深いのは、オフバランス戦略だ。三井は日本初のJ-REITを設立した会社でもある。開発した物件をREITやファンドに売却して資産を回転させ、次の投資に向かう。資産を抱え込まず、回す。この発想が他の2社とは根本的に違うところだ。

もうひとつ触れておくべきなのが、「信頼」への投資だろう。過去の施工不備問題において、三井は「青天井」とも言える補償を行った。目先の利益を削ってでもブランドを守り抜く。そのバランス感覚が、三井を全方位に隙のない「不動産業界の王者」たらしめている。

三菱地所 - 丸の内に君臨する貴族

三菱地所は「貴族」だという。丸の内・大手町の大家さん。その雰囲気はどこまでも上品で、保守的だ。

東京駅の目の前に広がる丸の内エリア。あのビル群のかなりの部分を三菱地所が保有・運営している。売上に占める丸の内関連事業の割合はおよそ35%だが、利益ベースでは約55%に跳ね上がる。つまり丸の内という街そのものが、この会社の利益の過半を生み出しているわけだ。

「持てる者の余裕」を示すエピソードがある。顧客が三井のアウトレットと三菱系のプレミアム・アウトレットを勘違いしても、三菱の人間は怒らない。笑って流せるだけの格の違いがそこにはある、と。

投資家として見逃せないのが「含み益」の存在だ。丸の内の一等地に保有する膨大な資産は、いまだに簿価、つまり取得時の価格で計上されているものが多い。時価との乖離は天文学的な数字に達する。何もしなくても丸の内の賃料が入ってくる。盤石な収益基盤とはこのことだろう。

従業員数は約1,184名。三井不動産の約1,900名、住友不動産の約6,300名と比べると圧倒的に少ない。しかし平均年収は3社の中でトップだ。少数精鋭で、保有資産を長期的に運用していく。

丸の内のビル群を売却してオフバランス化するという発想は、この会社にはない。城は売らない。城の価値を上げ続けることこそが三菱地所の戦略であり、トーキョートーチのような巨大プロジェクトで、静かに、しかし確実に資産価値を積み上げている。

住友不動産 - マッチョな大家の冷徹な合理性

住友不動産は「利益への執念が凄まじい、ゴリゴリのマッチョな大家」だ。

三井がオフバランスで資産を回転させるのに対し、住友は真逆の「オンバランス」志向を取る。自分たちが手がけた優良物件をREITに売って手放すことを嫌う。本当に良いものなら、自社で持ち続けて賃料を稼げばいい。究極にシンプルな「大家道」である。

とりわけ印象的なのが、住友には「竣工完売」という概念がない、という話だ。3年かかっても5年かかってもいいから、最後の1部屋まで絶対に値下げせずに売り切る。リーマンショック時、他社が在庫処分に走る中でも住友は頑なに価格を守り抜いた。1000戸規模のタワーマンションが完成しても数軒しか明かりが灯かない。それでも1円も引かなかった。

数字を見ると、このドライさには裏付けがある。営業利益率は26.3%で御三家の中で最も高い。三井不動産が約12%、三菱地所が約17%であることを考えると、その差は歴然としている。さらにここ2期連続で純利益が三菱地所を上回った。

従業員数は約6,300名と3社の中で最も多い。ビルの管理やリフォーム事業まで自社で手がけ、外注に頼らない。社内で完結させることでコストを抑えている。

インフレ局面において資産価値の上昇をダイレクトに株主利益へ還元できる「肉食系銘柄」。それが住友不動産だ。

メジャーセブンという世界

御三家の話から少し視野を広げてみる。不動産デベロッパーの世界にはメジャーセブンという括りがある。


新築分譲マンションに特化した大手7社のブランド連合で、構成は以下のとおりだ。

  1. 住友不動産

  2. 大京

  3. 東急不動産

  4. 東京建物

  5. 野村不動産

  6. 三井不動産レジデンシャル

  7. 三菱地所レジデンス

この7社で、首都圏の新築マンション供給戸数のおよそ21%を占めている。5戸に1戸がメジャーセブンのマンション、ということになる。

御三家のうち住友不動産はそのまま入っているが、三井と三菱はそれぞれの住宅子会社(三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス)として参加している。御三家はデベロッパー全体としての括り。メジャーセブンはマンション分譲に特化した括り。似ているようで、見ている角度が違う。

メジャーセブンの各社にもそれぞれの個性がある。野村不動産は元・野村證券系のDNAを継承するマーケティングの会社で、マンションブランド「プラウド」のブランド認知度は業界トップクラスだ。東京建物は旧安田財閥の流れを汲む日本最古のデベロッパー。東急不動産は渋谷エリアのドミナント戦略が武器。どの会社にも、はっきりとした色がある。

まとめ

3社の違いを整理する。

  • 三井不動産は「生徒会長」。街づくりのプロデューサーとして全方位に展開し、オフバランスで資産を回転させる。信頼への投資を惜しまない王者

  • 三菱地所は「貴族」。丸の内という究極の一等地に集中し、含み益という宝箱を抱えて長期保有を貫く。守りの堅実さ

  • 住友不動産は「マッチョな大家」。オンバランスで資産を抱え込み、値下げを一切しない。営業利益率は3社最高。インフレ局面に最も強い肉食系

「社風を知らずに投資するな」。大事なのは「どれが一番いいか」ではなく、「それぞれが何を目指しているか」を理解することだろう。成長性に賭けるなら三井。含み益と安定性なら三菱。インフレ局面のアップサイドなら住友。答えは、あなたが何を求めているかによって変わる。

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