Interview: Funky Timesベーシスト、Sebastian Nöcker /// 溢れる日本への想い、ベースの影響源、Funky Timesの作曲とパフォーマンスの進化
2026年6月、ついに私が大注目するバンド、Funky Timesが初来日を果たした。
Funky Timesはドイツの新しいファンクバンドであり、VulfpeckやThe Fearless Fryers、Cory Wongなどの影響を受けたモダン・ファンク、ミニマル・ファンクのバンドだ。このアイコニックな縦型のショート動画を、SNSやYouTubeで見かけた方も多いのではないだろうか。
彼らはCandy Dulfer、Philip Lassiterらの熱いピックアップを受け、Vincen Garcia、Sam Greenfiled、Henrik Linderなどとも共演しており、2025年にはアルバムがP-VINEで日本初CD化。
彼らがいま、非常に勢いに乗っているファンクバンドの一つであることは間違いない。私は彼らの日本盤CDのライナーノーツを担当させていただいたご縁や、来日前にインタビューを行った👇ことからバンドと親しくなる機会を得た。

そして、来日中にベースのSebastian Nöcker(セバスチャン・ノッカー)とかなり色々話すことができ、彼が日本のファンク・フュージョン、ゲーム音楽などをとても好きでいてくれていることも分かった。

彼とは事前のインタビューで話すチャンスがなかったので、今回、改めて帰国後にインタビューを行う約束をさせていただき、この記事でついにそれが実現した、という流れである。
Funky Timesはとても暖かい人柄が素敵なバンドだったが、Sebastianも例外ではない。とても人懐っこく、また紳士的な彼の振る舞いに、私もとても親しみを感じている。ファンクを愛する者同士として、こうしてドイツに友人ができたことを、心から嬉しく思う。今回のインタビューでは60分、彼にいろいろな話を聞かせてもらった。日本初となる彼のインタビュー、是非最後までお楽しみいただきたい。
来日の感想
――まず、先日の来日はどうでしたか?
最高でしたよ! あれは、僕の人生の中でも最も衝撃的な体験のひとつだったと思います。東京は僕にとって、これまでで一番好きな街です。音楽シーンも大好きですしね。
僕は高中正義のような、日本のフュージョンやファンクの大ファンなんです。だから、本当に素晴らしい体験でした。また近いうちに日本に戻ってきたいと思ってますし、いつか日本のファンクの曲でも演奏したいと思っています。
――日本の観客や、実際に体験された日本文化はいかがだったでしょうか?
日本のファンの皆さんには、本当に感謝しています。僕たちの音楽をすごく丁寧に聴いてくれて、細かいところまでちゃんと感じ取ってくれる。それが本当に嬉しかったです。
日本に行く前は、「ブルーノートのお客さんは、もしかしたら踊ってくれないかもしれない。うまく盛り上げられないかもしれない」と思って、少し不安だったんです。でも実際には、皆さんすごく自然に盛り上がって、一緒に踊ってくれた。

ブルーノートのスタッフの皆さんも、本当に完璧でした。僕たちがどう感じているか、何か必要なものはないか、いつも気にかけてくれましたし、サウンドやスケジュール調整も、細かいところまで徹底していた。彼らは初日のショーで気づいたことをメモして、2日目のサウンドチェックでそれを改善しようとしてくれたんです。全員が自分の仕事を完璧にやろうとしているのが伝わってきて、僕たちの仕事に対する深いリスペクトも感じました。
それに、街そのものも素晴らしかったです。地下鉄は時間通りだし、街は清潔。東京があれだけ美しい街でいられるのは、本当にたくさんの人が努力しているからなんだと思いました。
ベーシストとしてのルーツ
――そう言っていただけて嬉しいです。では、あなたのルーツを教えてください。どうやってベースを始めましたか?
まず子供の頃は、クラシックの教育を受けていたんです。ピアノのレッスンを受けていましたし、交響楽団でクラリネットも吹いていました。それからチャーチ・ミュージックも長くやっていて、パイプオルガンも習いましたし、今でもたまに教会で弾いています。だから、もともとはクラシック畑だったんです。
ベースを始めたのは、たぶん13歳か14歳くらいの頃ですね。自分で始めたので、独学でした。というのも、僕はいつもファンクを聴いていたんです。母がCandy DulferとMaceo Parkerの大ファンで、僕が子どもの頃、家ではそういう音楽がずっと流れていました。
それで夏休みに、安いベースとアンプを買ったんです。合わせて100ドルくらいの。その最初のベースを手に入れてからは、毎日練習していました。当時の友達はみんなギターやドラムを始めていましたが、僕はギターやドラムにはあまり興味がなくて、とにかくベースを弾きたかったんです。
その頃、練習として流しながら一緒に弾いていたCDが2枚あって。ひとつはMaceo Parkerの『School's In』、もうひとつはQueenの『Live in Rio』でした。
Queenでは、僕はいつもJohn Deaconに夢中でした。彼のプレイはとても音楽的で、メロディックで、自分にとって大きな入り口になりました。
ベースを始めた時にラッキーだったのは、ピアノとクラリネットを習っていたおかげで、楽譜が読めたことです。だからすぐに学校のビッグバンドでもベースを弾き始めました。
15歳くらいになると別の学校のジャズバンドにも入って、そこでアップライトベースでジャズ・スタンダードを演奏し始めました。今でもアップライトは持っていて、年に1、2回くらいはライブで弾いたりします。そして16歳か17歳くらいの頃には、ロックバンドにも参加しました。
その後、大学でエンジニアの学位を取りました。つまり、普通の仕事に就くための勉強もしていたんですよ。ただ、大学で勉強している間の生活費は、カヴァー・バンドの演奏で稼いでいました。週末はずっと練習して、夜は演奏して、昼間は大学に行く、という生活でした。
でも学位を取り終えた時にはもうライブで生活できるようになっていたから、「エンジニアの仕事をする時間はないな」と思ったんです。だから音楽学校に行って、音楽の学位も取ることにしました。今もそこ(マンハイムの音大、ポップアカデミー)に通っていて、学士号は取りました。今はちょうど修士論文を書いているところです。
――なるほど、専攻はベースなんですか?
そうですね、僕の専攻はエレクトリック・ベースです。そして副科目として、音楽プロダクションとキーボードを学んでいます。
僕が通っているポップアカデミー(Popakademie Baden-Württemberg)は、ドイツの大きな音大で、ポピュラー音楽を専攻できる学校なんです。
授業では、演奏面だけでなく、さまざまな技術面に関することも教わります。例えば、バッキング・トラックやAbletonを使って、どうやって大規模なライブを成立させるか? そういうことも学ぶんです。だから、その学校にいられて本当に嬉しいです。先生たちが本当にすごいんです。
『Bass The World』というYouTubeチャンネルを知っていますか? ドイツでやっているチャンネルで、僕の先生であるFrank Ittも、そこのベーシストのひとりです。彼はドイツのベース・シーンでは本当に知られた存在で、とても素晴らしい人なんですよ。
――では、影響を受けたベーシストやバンドを好きなだけ教えてください。
まずは、やっぱりJoe Dartです。
それから、Vincen García。彼はFunky Timesと一緒に「At the Edge」という曲もプレイしました。素晴らしいベーシストです。
そして、Dirty LoopsのHenrik Linder。僕は本当に彼のファンなんです。
それから、Snarky PuppyのMichael League。そしてDerrick Hodge、Sam Wilkes。他にもいますが、このあたりが、いわゆる現代のプレイヤーですね。
昔のレジェンドで言えば、もちろんJames Jamersonですね。僕は彼のことを本当に長いあいだ研究していました。3年か4年くらい、ただMotownのベースラインだけを弾こうとしていた時期もあったくらい、それくらい大好きなんです。
それからMotownのベーシストで、Bob Babbittも。彼の弾いたStevie Wonderの「Signed, Sealed, Delivered (I'm Yours)」は素晴らしい。
あと、Tower of PowerのRocco Prestiaも。速い16分音符のファンクでの、左手のミュート、ダイナミクスのコントロールですね。それが自然なコンプレッサーみたいに使えるんです。
そんな感じで、そのあたりが主な人たちですね。もちろん、Nathan WattsやLeland Sklarのような人たちも、まさにヒーローです。
――今Joe Dartの名前が出ましたが、Vulfpeck、Cory Wongなども好きなんですよね? 彼らからはどのような影響を受けていますか?
そうですね、彼らは現代のファンクプレイヤーですよね。昔ながらのファンクとは、少し違う。ファンクには本当にたくさんのサブジャンルがありますから。
彼らが僕に与えてくれた影響は、そういった現代のファンク・ミュージックがあるんだ、ということを示してくれたことです。
それ以前の僕は、主に昔のファンクを聴いていました。Tower of Powerとか、Bootsy Collins、Larry Grahamなど、そういったアーティストですね。70年代や80年代のものばかり聴いていて、現代のファンクはそれほど聴いていなかったんです。
Vulfpeckはファンクを新しい形で再発明したんだと思います。もちろん伝統的なルーツは感じられるけど、でも同時に、あのクリスピーさ、16分音符のタイトなアタックの(現代的な)フィーリングがある。Cory Wongのプレイにもあるような、あのアタックですね。
そして今、多くのベーシストたちも同じ方向に向かっていると思います。例えば、Vincen Garcíaもそう。彼のものすごく速いタイトなプレイもそうですよね。
それは速く、エッジが立っていて、透明感があって、輝きのあるファンク。僕はそんなファンクが大好きなんです。
そしてVulfpeck、Joe Dartは、ベースをメロディックな楽器として再発明しているアーティストだと思います。
昨日ちょうど、Instagramでリールを見たんです。全部は覚えていないんですけど、「現代のポピュラー・ミュージックには、ベースラインのメロディックな要素が欠けている」というような話をしていました。
今は808ベースみたいな低音がキックに重なっているだけ、という曲も多くて、ベースラインがメロディとして機能していないことがある。でも、例えばMotownの曲から、ヴォーカルとベースだけを抜き出してみる。そうすると、必要なものは全部そこにあるんです。それだけで素晴らしい曲になるんですよ。
それと同じことが、Vulfpeckの曲にも言えます。彼らはベースラインをメロディックな要素として、音楽の重要な部分として再発明したんです。他の楽器では置き換えられないし、そのベースラインなしでは曲が成り立たないようなものとして。
実際に彼らのベースラインは、もうそれ自体が曲なんです。たとえば「Dean Town」が一番わかりやすい例だと思います。あのベースラインは、みんなが歌えるものですよね? なぜなら、それが曲そのものだから。
そういったことで、作曲の中でベーシストにスポットを当て直してくれているということは、僕たちベーシストにとって、本当に素晴らしいことです。そんなベースラインを聴いて、学んで、自分のボキャブラリーとして身につけていくことは、とても大きなインスピレーションになります。
日本の音楽、ゲームの影響
――さっき高中正義の名前が出ましたが、日本のファンク、フュージョンに興味を持ったきっかけは何でしたか?
日本のそういった音楽を知ったのは、だいたい1年くらい前だったと思います。(Funky Timesのキーボードの)Hannesが、「City Pop」というSpotifyのプレイリストを送ってくれたんです。リハーサルに向かう車の中でそれを聴いていたんですが、その中から素晴らしいベースラインが聴こえてきて、本当に驚きました。
僕はそれまで、70~80年代のアメリカの有名なファンクはだいたい知っていました。でも日本のファンクはまったく知らなくて、新しい世界を発見したような感覚だったんです。しかも、アメリカのファンクとはまたちょっと違う。ハーモニーがより豊かで、ストリングス・アレンジも素晴らしい。グルーヴや、ベースのサウンドも大好きです。
日本語は分からないけど、曲の持つ雰囲気やサウンドの素晴らしさは強く伝わってきました。ミックスも録音もとても精密で、50年くらい前の曲もあると考えると、本当にすごい職人技ですよね。
それから、日本のゲームミュージックやアニメの音楽も、自分と日本をつないでいるものです。子供の頃、ドイツでも日本のアニメは人気で、学校から帰ってよく観ていましたし、日本のゲームも好きでした。僕のガールフレンドが誕生日にNINTENDO 64の本体をプレゼントしてくれたんです。
特にNINTENDO 64の『Wave Race 64』は、音楽が本当にファンキーなんです。YouTubeではそういうゲーム音楽も深く掘れるので、それも日本の音楽に惹かれる入り口になりました。
とにかく、僕は日本の音楽のヴァイブが本当に好きです。音の鳴り方も、感じ方も、自分にすごくしっくりくるんです。
――ちなみに、他にはどんなゲームをやっていましたか?
そうですね、スマブラとかゲームボーイのポケモンとか……。任天堂のゲームが大好きでしたね。
ただ、僕は子どもの頃、自分のゲーム機は持っていなかったんです。両親が家でのゲームを許してくれなかったので、放課後に友達の家に行って、そこでいろいろなゲームをプレイしていました。
僕が初めて手に入れたゲーム機はゲームボーイカラーなんです。それは今でも持っています。
――懐かしい。私もゲームボーイのポケモンが大好きです(笑)。
Funky Timesについて
――さて、ではここからはバンドの、Funky Timesの話を訊いていきたいと思います。改めて、あなたがバンドに加入した経緯を教えていただけませんか?
たしか2022年だったと思いますが、まず(ギターの)Juliaから電話をもらったんです。もしよければFunky Timesと一緒に、Dirty Loopsのサポート・アクトとして演奏しないか、って。
タイミング的にはちょうどパンデミックの直後で、彼らはまだ定期的にライブをしていなかったんです。なので、まだメインのベーシストが決まっていませんでした。
ただ、たしか電話をもらったのが火曜か水曜で、ライブが金曜でした。つまり、すごく短い期間で曲をマスターしないといけなかったんです(笑)。
Juliaたちはいろいろな人に声をかけていたみたいですが、誰も時間がなかったらしいです。そして僕だけが時間があって、しかもその曲を全部覚えることに前向きでした。僕はもともと彼らのファンでもあったので。
ただその日は、僕はパンデミック後で初めてのちゃんとギャラの出る仕事が入っていたんです。でも僕はそれをキャンセルして、別の同僚に譲って、Funky Timesのライブに出ることにしました。
それでライブは無事に成功して、僕はそこからバンドの一員になったんです。(その時のライブ映像👇)
――先日の来日で、私はFunky Timesのライブを二回観ることができました。そこで感じたのが、あなたたちはもちろんグルーヴも素晴らしいですが、ステージ上で動いたりMCで観客を巻き込んだりと、インストバンドとして観客を盛り上げるのがとても上手だなということでした。あのステージングはどうやって磨かれてきたのでしょう?
いい質問ですね、ありがとう。もともと僕は、ステージ上で大きくパフォーマンスするタイプではなかったんです。後ろの方に立って、譜面を見ながらビッグバンドのアレンジを弾くようなスタイルに慣れていたんですね。
でもある時、Juliaが別のバンドで経験したことをリハーサルに持ち込んでくれました。そのバンドではダンス・バトルのようなことをしたり、演奏に動きを取り入れたりしていたそうで、彼女が「私たちも踊ったり、動いたりすることを試してみよう」と言ったんです。
最初は、僕は「本当にやらなきゃいけないの? 僕は正確に演奏したいし、動いたら集中できなくなるんじゃないか」と思っていました。でも、それは間違いだった。今では僕たちにとって、そういった要素こそが本当に必要だったと思っています。
Funky Timesのライブは、僕たちが観客と一緒になって盛り上がる場なんです。観客だけが楽しむものでも、バンドだけが盛り上がるものでもありません。会場にいる全員がグルーヴを感じて、身体で反応できた時にこそ、ファンクが本当に輝きだす。僕にとってファンクはそういう音楽なんです。ダンス・ミュージックであり、人と人を繋げることができる音楽だと思っています。
僕たちはその感覚を、ドイツの小さなクラブでのツアーを通して少しずつ磨いてきました。小さな会場で何度も演奏しながら、どうすれば観客ともっと一体になれるのかを試してきたんです。
それと、僕たちはライブの流れを固定化していないんです。毎日決まったセットリストを演奏するバンドもあると思いますが、僕たちはもっと良いライブを目指して、時には毎日のようにセットリストを変えていきます。ライブを録音して見返したり、観客がどこでどう反応したかを話し合ったりして、かなり時間をかけて真剣にセットや流れを調整していくんです。
僕たちにとって、良いセットを作ることはとても大事なことなんです。曲順や展開、エネルギーの流れがうまく組み立てられていないと、観客が自然についてこられなくなってしまうと思うので。
(観客を巻き込んでいく彼らのライブ映像👇)
――Funky Timesでは、曲やグルーヴをどのように作り上げているのでしょうか? リフやフックの持ち寄り方、メンバー同士で意見を出し合いながらアレンジを発展させていくプロセスについて教えてください。
それもすごくいい質問ですね。以前に比べて、僕たちの作曲はかなり進化したと思います。(ギターの)Juliusもリフやベースラインをたくさん書いてくるし、彼自身も本当に素晴らしいベーシストなんです。
僕がバンドに入った頃は、既に出来上がっている曲を演奏していたんですが、リハーサルではいつも意見を言うことができました。「ここはこうした方がいいかもしれない」と言うと、それを受けてアレンジが変わることもあって、そこはすごく良かったですね。
そして去年から、ソングライティング・セッションも始めたんです。ベルリンで数日間スタジオを借りて、みんなでリフやアイデアを持ち寄り、いろいろ試していきました。
僕自身も、機材レビューやブランド用のデモ制作のために書いたリフがコンピューターにたくさんあるので、そこからFunky Timesに使えそうなものを探すこともあります。Juliusもすごくいい曲を書いてきますし、他のメンバーもそれぞれアイデアを持ってきます。
でも、「この曲は誰が作った」という感じではなく、基本的にはみんなで一緒に作っています。リフやフックを持ち寄って、実際に演奏しながらグルーヴを探っていくんです。
そして僕たちの大事なルールは、どんなアイデアでも一度は試してみることです。最初は絶対にうまく行かないと思っても、実際に演奏してみると完璧にハマることがある。だから僕たちは、長いリハーサルの中でいろいろな可能性を試しながら、リフやグルーヴ、ベースラインを作っていきます。
最近好きなのは、グルーヴを何度も確認しながら少しずつ磨いていくやり方です。まずドラムとベースから始めて、それを全員で聴きます。そして、誰でも「こう弾いた方がいい」と意見を言える。僕がベーシストだからといって、ベースのことを僕だけが決めるわけではないんです。
そういうやり方だからこそ、僕たちの音楽にはフレッシュさがあるのだと思います。誰かのアイデアを他のメンバーが受け取って、さらに発展させることで、最初とはまったく違う方向に進むこともあります。
実際、僕が持ってきたフックが、バンドの中で発展して、まったく別の曲になったこともあります。そうやって、一人のアイデアがみんなの手で変化していくのが、Funky Timesの曲作りの面白いところだと思います。
ファンク・ベーシストとして
――ではベーシストとして、Funky Timesのタイトなグルーヴを演奏する上でどんなことに気を付けていますか?
そうですね……基本的に僕の役割は、リズムとハーモニーをつなぐことだと思っています。
ただファンクでは、僕にとってはリズムの方が少し重要ですね。ベースラインのフレージングもそうですし、JuliaやJuliusが何を弾いているのかもよく聴いて、それがちゃんとかみ合うように意識しています。
あと、音の長さにはとても気を付けています。どこで音を切るのか、どう音を止めるのか。アタックを強くするか、それとも柔らかく弾くか。そういった違いで、グルーヴの感じ方は大きく変わります。
それからドラムのサブディヴィジョン(細かい拍の感じ方)を、ベースでどう表現するかも大事です。少しシャッフルしている(ハネている)のか、ストレートなのか? シャッフルとストレートの間には、細かく見ていけば無限に近い幅があるんです。だからそのサブディヴィジョンをしっかりと感じとらないといけません。
それに、キックの少し後ろで弾くのか、それともキックにぴったり乗せるのか。そういうことも、テンポや曲の雰囲気、ヴァイブによって変わっていく。だから僕は、ドラムのヴァイブを強調しながら、それをバンド全体につなげようとしているんです。
ただ、僕たちの音楽ではそれは決して簡単ではない。ベースの音数がとても多いからです。だからこそ、できるだけ弾きすぎないように意識しています。自分のスペースを保つこと、そして他の誰かの邪魔をしないこと。それは音楽において本当に大事なことだと思っています。
自分の居場所を理解して、他の人のスペースを奪わないこと。僕はベースラインを作る時にも、そういう方向で考えています。自分がいるべき場所を見つけて、そこに必要なものを置くようにしているんです。
まとめると、これはベーシスト全般に言えることだと思いますが、僕の仕事は、バンドの音をより良くすることです。音楽全体をより良く聴こえさせること。それがベーシストの役割だと思っています。
曲を一番良く聴かせるために弾くべきなんです。自分を前に押し出す必要はありません。でも、曲の中で「ここはベースが前に出るべきだ」という場面では、ちゃんと前に出なければいけません。それが僕の考え方です。
――ありがとうございます。聞いていて、Joe Dartも似たようなことを言っていたなと思って嬉しくなりました。
では、ラスト2つの質問です。あなた自身も若いミュージシャンですが、さらに若い、学生のミュージシャンたちにアドバイスをいただけませんか?
ええ、もちろんです。一番大事なことは、すごく当たり前のことなんですが、何度強調しても足りないくらいの話です。自分の楽器を演奏する楽しさを、絶対に失わないことです。
上達しようと練習して、もっと複雑なことを弾こうとすると、どうしてもフラストレーションが溜まります。僕もいつもそうです。練習している時は、自分がまだできないことに取り組んでいるので、「自分は全然ダメだな」と感じることもあるんです。
でもそこで忘れてはいけないのは「いま音楽を演奏できること自体が、ものすごく大きなギフト」だということです。そもそも一生ベースやギターを弾き続けられるかどうかもわからないし、病気になるかもしれない。すごく当たり前に聞こえるかもしれませんが、僕にとっては本当に大事なことです。
僕自身、素晴らしいギグがあったのに、自分の演奏に不満があったり、いろいろなストレスを抱えていたりして、思いっきり楽しめなかったことがあります。ミュージシャンとして生きることは、やっぱりストレスの多い生活でもあるんです。
でも、だからこそ、子どものように音楽を探求する気持ちは失ってはいけないと思います。それがまず、マインドセットとして一番大事なことです。
演奏面でのアドバイスとしては、まずメトロノームを使って練習すること。そして、自分の演奏を録音することです。今ならスマートフォンで録音できますし、スタジオは必要ありません。
録音して、それを聴き返す。演奏して、聴いて、また修正していく。その繰り返しで、少しずつテクニックが磨かれていきます。メトロノームで練習して、自分の演奏を聴き返すことは、とても大事なことです。
そして、特にベーシストに向けたアドバイスとしては、ドラマーやバンドと一緒に練習することです。
ベーシストは、特に大きな力を持っています。たとえばキーボードがCのコードを弾いていて、ベースがAを弾けば、響きはAm7になります。つまり、ベーシストにはハーモニーを決める力があるんです。
だから、自分のパートをきちんと覚えることを真剣に考えなければいけません。ベースは、間違えると簡単に演奏全体を壊してしまう。うまく弾いている時は、誰も気づかないかもしれません。でも、間違えた時は全員が気づきます。だから、バンドと一緒に演奏する練習をすること。そして、他のメンバーが何を演奏しているのかをよく聴くことが大事です。
最後にもうひとつ。バンドで曲を覚える時は、自分のパートだけでなく、他のメンバーのパートも知っておくべきです。そうしないと、音楽全体を理解できません。
これは、さっき話したことにもつながります。音楽の中での自分の場所、自分のスペースを知ることです。でも自分の周りで何が起きているのかが分からないと、自分に与えられたスペースもわかりません。
それが僕からのアドバイスです。
――ありがとうございます。では最後に、日本のファンの方々にメッセージをお願いします!
日本のファンの皆さんには、本当に心を打たれました。
また近いうちに戻ってこられたら嬉しいです。皆さんが僕たちのファンでいてくれるように、僕も日本のオーディエンスの大ファンです。
本当にありがとうございました。僕たちの音楽を聴いてくれて、心から感謝しています。僕にとって、それは言葉にできないほど大きな意味があります。また日本で会いましょう!
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