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Joe Dart来日インタビュー /// Vulfpeckフジロック直前!Vulfpeckと日本の関係、バンドとしてのゴール、セットリストの秘密

KINZTOのDr.ファンクシッテルーだ。今回は「どこよりも詳しいVulfpeckまとめ」マガジンの、66回目の連載となる。

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いよいよ始まるFUJIROCK FESTIVAL'25

今回はそのフジロックで7月26日のヘッドライナーとなる、Vulfpeck(ヴォルフペック)のベーシスト、Joe Dart(ジョー・ダート)にインタビューを行うことができた。本インタビューは7月24日に行われ、25日に公開されている。

2025年のVulfpeckのライブ直前に公開される来日インタビュー記事は、これが唯一となるだろう。是非最後までご覧いただきたい!

Thank you Joe Dart!!!


――まず、日本との関わりについて聞かせてください。2019年に、Joey Dosikのライブであなたも来日しましたが、今回はそれ以来の来日になると思います。久しぶりの日本はいかがですか?

僕は日本のことが大好きなんだ。初めて日本を訪れたのは10年くらい前で、あのときは弟と一緒に観光をしたんだけど、そのときからずっと大好きなんだよ。デザインの美しさや細部へのこだわり、そして音楽へのリスペクトがすぐに伝わってきた。

レコードを聴かせてくれるバーやレコードショップ、ジャズのライブなんかにも行って、「この国には音楽に対する深い敬意があるんだな」と実感した。外国人が日本に来ると、「人々がとても受け入れてくれる」と感じることが多くて、それって実はかなり特別なことでもある。だから僕は日本が大好きなんだよ。

Joeyと一緒に日本に来たときも、観客が本当にリスペクトを持っていて、みんながとても集中して聴いてくれた。素晴らしい体験だった。

ただ、あのときはブルーノートという小さくて親密さを感じられるクラブだったけど、今回はそれとはまったく正反対になる。フジロックという大きな野外フェスで、たくさんの人がいて、エネルギーも集まっている。すごくワクワクしているよ。ブルーノートとはまったく違う、日本の音楽カルチャーの別の側面を見られるのがとても楽しみなんだ。


――そうですね、ついにVulfpeckがフジロックに出演します! 日本で、そしてフジロックでライブをするということは、あなたにとって、そしてVulfpeckにとってどういう事でしょう?

僕が育った頃、アメリカの偉大なバンドがフジロックで演奏するっていう話をよく耳にしていた。例えばRed Hot Chili Peppersとか。武道館やフジロックという伝説的なステージで演奏するっていうことや、そもそも日本で演奏するということが、バンドの成功を意味していると感じていた。

だから、Vulfpeckとして「日本で」「初めて」ライブをする場がフジロックだというのは、僕たちにとって本当に信じられないようなことで、とても光栄に思っているよ。ある意味、僕たちを完璧に迎え入れてくれていると思っているし、それに今回のようにとても多くの人たちに観てもらえるというのは、本当に嬉しいことだね。これをきっかけに日本で定期的にライブができるようになればいいなと思っているよ。


――なんと! ぜひまた戻ってきて欲しいです!

ありがとう。僕たちはもう日本のことは大好きになっているので、何度でも戻ってきたいよ。


――7月26日、Vulfpeckがライブをする日のチケットは完売しました。チケットの完売はおそらく6年ぶり。そしてこれは、Vulfpeckがライブをするグリーンステージに、およそ3~40000人の観客が集合するということでもあります。この人数は過去にVulfpeckが経験したステージでも最大級の人数だと思うのですが、いかがでしょう?

それは本当にアメイジングだね。完売だと聞いたときはとても嬉しかったよ。たくさんの人たちがチケットを手に入れて、僕たちのステージを観に来てくれるんだって思うと、最高の気分だ。

そして確かに今回が、僕たちがこれまでに演奏してきた中でも最大の観客数になるだろう。小さなクラブでの演奏とはまったく違う体験だし、だからこそ、みんな少し緊張している。

でもマディソン・スクエア・ガーデンで演奏した経験が、今回のような大人数のステージにもきっと役立つと思う。さらに、緊張感を持ってコンサートに臨むのは、悪いことばかりじゃなく、良い面にも働いてくれる。一定の緊張があるということで、そのステージ特有の良い雰囲気が出てくるし、それがまた新たなものを生み出すんだ。

もちろん、日本までのフライトは長いし、時差ぼけもあるけど、これだけたくさんの人たちが僕たちを観に来てくれると分かっているからこそ、その旅路もすべて報われると感じるよ。


――日本の話として、これもお聞きしたいです。かなり昔からJackは日本語でツイートしたり、動画に日本語を入れたり、日本を意識したアクションを取ってきました。これは何故だったのですか?

そうだね……その理由のひとつとして、Jackが昔から「日本語の訳」が大好きだった、というのがある。

日本語訳があると、言葉が楽しくなるというか――英語と日本語で訳し合うことが面白いんだ。たとえば「Animal Spirits」のMVには日本語の字幕が付いていたよね。

Jackはずっと、日本語の字幕を付けることや、Vulfpeckの日本盤CDができることなんかを楽しんできたんだ。そこに書かれている日本語を英語に翻訳して、意味を理解することで、その日本語で書かれていた文字面を楽しんだり――ということをずっとやっていた。

そして、そもそもは昔、ネットで日本にファンがいるって気づいたときからスタートしたんだ。TwitterやFacebookで日本のファンが日本語で投稿をしていたのを英語に翻訳して、「何を言っているんだろう?」と見始めたところから始まった。本当に衝撃的だったよ。「日本はこんなに遠くて、言葉の壁もあるのに」ってね。

みんなの投稿を見て、それを英語に翻訳して読んでみるのがとても楽しくて――そこから、日本特有の熱意であるとか、前向きな、ポジティブなメッセージが伝わってきたから、僕たちはそれが本当に大好きなんだ。それが、今のJackの日本語のツイートとかにも繋がっているんだよ。

だからJackは、ずっと日本に来るのを待ち望んでいたと思う。携帯の翻訳アプリを使って、リアルに交流できる絶好の機会だからね。日本は素晴らしい国だけど、やっぱり少し言語の壁がある。だから今はテクノロジーを使ったり、通訳が付いてくれることで、直接コミュニケーションできるのがとても楽しいんだ。おそらくJackは、日本滞在中、ずっとそれを楽しんでいると思うよ。


――Jackが翻訳を楽しんでいるというのは、英語から日本語に訳して、それをまた英語に戻して読むことで、日本語を理解しようとしている、ということですか?

そう、まさにそんな感じだ。TwitterやFacebookの日本語の投稿を見た時は、それを英語に翻訳して読んでいる。だけどその英訳が完璧じゃない分、ちょっと変だったりして、それがまた味があって面白いんだ。


――なるほど。Jackはツイートを日本語で書いていますけど、あれは英語で書いた文章を日本語にしているということですか?

そうだと思う。彼はまず英語で考えて、それを日本語に訳して投稿して――そしてまた、それを読み返して楽しんでるんだろう。

画像出典:Vulfpeck 公式X


――Jackが持っている、白いキャンバスに赤い丸の描かれた絵。あれは日本の国旗からインスパイアされているそうですが、その絵について詳しい話を聞かせていただけませんか?

画像出典:How Much Do You Love Me? | Vulfmon & Jacob Jeffries

Jackは、日本の国旗のシンプルさとか、日本のデザインの多くにすごく惹かれているんだ。彼は昔からミニマリストで、できる限りそぎ落としていく、引き算のスタイルだ。

だからVulfpeckのロゴも、円だけになってたりするよね。今君が着ているそのTシャツの、その円だけのデザイン。ああいうのが、彼の美意識にぴったりなんだ。

画像出典:Vulf Logo T-Shirt

そして、白地に赤い丸というシンプルな組み合わせが、彼に響いたんだろう。以前Jackの家に行ったとき、彼が白地に赤い丸を描いたキャンバスがたくさんあった。あれはもしかしたら、日本で演奏するということの、ちょっとした伏線、予兆のようなものだったのかもしれないね。

日本のファンの間でも「いつかVulfpeckは日本に来てくれる」っていう期待感はずっとあったと思う。みんな本当に辛抱強く待ってくれていた。そしてVulfpeckのこれまでの活動のなかには、ずっと日本への関心が見え隠れしていた。日本語の字幕、翻訳だったり、赤い丸が描かれた絵だったり――そういう小さなヒントの積み重ねがあった。

だから僕は、Jackがインスタグラムで「今年は3公演やる。そのうち1つは海外だ」って投稿したときに、赤い丸を使ってヒントを出したのががすごく好きだった。そうやって彼はずっとヒントを出してきたし、それに応えて日本のファンのみんなも10年近く前から応援してくれていて、本当に感謝しているよ。そしてついにこうして日本に来られたことが、僕たちにとっても、とても感慨深いんだ。


――レッドロックスのライブも素晴らしかったです。新旧の曲のバランスがとても良かったと思いましたが、ライブのセットリストはJackが決めているのですか?

そうだね――今のやり方としては、まずJackがライブ全体の「ビジョン」を描くところから始まる。ライブのアーチ、つまりエネルギーの流れや雰囲気の構成をイメージして、それと簡単な曲の流れを、僕とCoryに伝えてくれるんだ。「こういう流れで、こういうエネルギー感でいきたい」「ニューアルバムからこの曲と、昔のアルバムからこの曲は絶対やりたい」といった感じで、セットリストの基礎的な部分、土台を提示してくれる。

そこからは、僕とCoryの出番だ。過去のセットリストやアルバムを見返して、全体のバランスを取りながら具体的な曲を決めていく。Jackがヴァイブスをくれて、最終的に僕らが全体の曲を選ぶ、という分担だね。

おそらくこのやり方の最良の例が、レッドロックスだった。君が言ってくれたように、あの日は新曲も多く取り入れられたし、古い曲もじっくり演奏する余裕があった。

そして、今回日本で演奏するにあたってのチャレンジは、これが日本で初めてのライブだということだ。アメリカでやる場合は、「この曲はもう何度も演奏してるし、みんな知ってるから、今回は省いて新しい曲を入れよう」っていう判断ができる。でも日本では誰もライブを観たことがないから、新曲を披露したい気持ちと同時に、昔からのファンだった人が、6~7年前の曲を楽しみにしてくれている、という想いも大切にしたい。

だから選曲は本当にチャレンジングだ。でも今は、JackからCory、僕という流れで、すごく良い形で調整できていると思うよ。


――なるほど! ちなみに今、日本のファンはフジロックでのセットリストをみんなで予想して楽しんでいます。最初の曲は何だろう? って。(笑)

それはすごい楽しそうだね。(笑)

僕も昔はいくつかのバンドを熱心に追いかけていた。僕にとっては、Red Hot Chili Peppersがそうだったんだ。彼らのセットリストを予想したりもした。

彼らのバックステージを映したビデオには、Anthonyが自分で手書きでセットリストを書いていたり、過去のライブを確認して、その時盛り上がった曲を入れたりしてセットリストを調整していたりする様子が映っていた。そしていま、Vulfpeckでも、まさにそういう感じでやっているんだ。


――ちなみに、セットリストはいつ頃決まるのでしょう?

Vulfpeckでは、だいたいライブの1〜2日前にはメンバー全員にセットリストを送るようにしている。というのも、Vulfpeckは今では曲の全体数がかなり増えてきているし、頻繁に一緒に演奏していないからだ。 

だからみんながホテルの部屋などで、事前に曲を練習できるようにしておきたい。そして、それによってバンドからのフィードバックをもらえる余地もできる。たとえば「この曲、キーを半音下げたほうが良さそうだね」とか――そういった調整ができる余裕があるのも大事なんだ。


――今回、リハーサルがレッドロックスの前日にあったということですが、久しぶりに集合して1度だけのリハーサルだけであのライブのグルーヴ、本当に素晴らしかったと思います。なぜ、少ないリハーサルであの素晴らしいグルーヴが出せるのでしょう?

一番の理由は、僕たちの間には自然なケミストリーがあり、音楽の感性が非常に合っているということだと思う。だからスタジオに入っても、あまりしっかりリハーサルをやらない。バンドのメンバー全員が優れた音楽的な直感を発揮できているんだ。

たとえばWoodyと一緒に演奏すると、彼が無駄のない演奏をしているのがよく分かる。必要最低限で、それ以上でも、以下でもない――ミニマルで、的確なんだ。他にも、JackとTheoがドラムのパートについて話しているのを見ると、すでにお互いの考えが一致していて、ほとんど説明なんていらない。まるでみんなが、テレパシーで通じ合ってるような感覚があるんだ。

ライブでも同じ感覚があるから、Jackはあまりリハーサルをやりたがらない。ステージ上で自然発生的に起こることや、余白を大事にしたいんだ。

でも大きな会場で演奏するとなると、ある程度曲に慣れておく必要がある。そうすれば構成の細かい部分に気を取られることなく、自由にインプロヴァイズできるからね。

そういう中で、最近ではCoryが音楽監督的な役割を担っているんだ。彼が大人数のバンドで演奏してきた経験があるからだと思うけど、バンドをリードしたり、リハーサルを指揮したりするのが本当に上手だから。

今では、大きなライブやツアーの前に1回だけリハーサルをするというのが、僕たちにとってはちょうどいいバランスになっている。ある程度曲には慣れておくけど、最低限の演奏しかやらない。僕たちはみんな、あえてフレッシュで直感的なままステージに立つようにしているんだ。


――なるほど。先月Coryにインタビューしたのですが、彼が自分のバンドについて話してくれた内容と、今のVulfpeckでの話はだいぶ異なっていますね。彼のバンドは非常にタイトで、「自分のバンドではリハーサルをたくさんやる」と説明していました。そしてそのタイトさについて、例えば「ドアを出る」ということは、「完璧に同じタイミングで出る」という意味であって、「1〜2秒ずれて出ていく」ようなことではないんだということを説明してくれました。そういった話を聞いていたので、今のVulfpeckについての話との違いに驚きました。

そうだね。Coryのバンドとの違いはとても大きい。

Coryのショーに行くと、振付や構成がピタッと決まっていて、その正確性、タイトさ、全てがバッチリと決まっているところが大きな魅力のひとつだと思う。みんなそれを期待してライブに行くしね。

一方でVulfpeckのライブは、もっと余白がある。毎回なにかしら即興的で、自由で、ユニークなことが起こる。それが観る側にとっても楽しいし、もちろん僕たちにとっても、毎回のショーを面白くしてくれる要素になっているんだ。


――Coryは、自分のバンドの「ゴール」はタイトさや精密さにある、と話してくれました。そしてあなたはVulfpeckについて、即興性や自由さが特徴だと語ってくれました。では、Vulfpeckのライブの「ゴール」は何かと聞かれたら、どのように表現されますか?

そうだね……僕にとってはだけど、Vulfpeckのゴールは「みんなにその場で起こる特別な体験をしてもらう」ということなんだと思う。

つまり、観客はバンドと同じ体験をしているような感覚になると思うんだ。即興的で、次に何が起こるか分からない。そのスリルの中に一緒にいて、同じエネルギーの波に乗っているような感じだ。

Vulfpeckはステージ上でけっこうリスクを取ることが多くて、たとえばバンド全員がステージを降りて、僕だけがベースで即興を始めることがある。僕自身もその瞬間、何を弾くか分からない。あるいはウッディが、完全にその場の即興で曲を締めくくることもある。

レッドロックスで初めてJackがスーザフォンを演奏したのもそうだった。そうやって何が面白いだろう、と考えながら、どんどん新しい要素を加えることで、バンドと観客が同じ、即興的なエネルギーの中にいるような感覚が生まれる。

それがVulfpeckのライブのゴールなんだと思う――つまりバンドと観客で一緒に作る、「即興性のある新しい体験」なんだ。


――昔のJackのインタビューで、彼はバンドのサステナビリティを考えてバンド運営を行っていると語っていました。これは本当に素晴らしいアイデアで、これによってVulfpeckはライブやリハーサルが少なく、皆が新鮮な気持ちを維持できて、長く活動が続けられていると思います。日本でも、そんなJackの考え方を評価し、新しいバンド活動の形だと理解する人が多くいます。そんなJackのアイデアや、それを実現できていることを、メンバーとしてどのように感じていますか?

そうだね――バンド活動、特にライブの本数については、常に難しいバランスがある。つまり、観客とのつながりを感じられるだけの本数はやりたい――でも、ライブをやりすぎてバンドが燃え尽きてしまうようなことは避けたいんだ。

Jackはとても忍耐強くて、彼にとっては「アルバム制作」や「バンドのエネルギーの維持」が最優先なんだ。もし2ヶ月、3ヶ月間連続でツアーをして、バンドのエネルギーが消耗してしまったら、次にまた素晴らしいアルバムを作ることができなくなるかもしれない。それを彼はちゃんと分かっているんだ。

だから僕は、君が言ったように、Jackが新しいバンド運営のモデルを見つけたんじゃないかと思っている。バンドは年に数回だけ集まる――1、2回はレコーディングのために、3、4回はライブや短いツアーのために。そうすることで、毎回集まるたびにワクワクするし、まるでバンドが再結成したかのような特別な感覚があるんだ。

僕自身は、ライブをやるのが本当に好きなので、もっとたくさん演奏したい気持ちもある。でもVulfpeckのような大人数のグループでは、みんなの予定を合わせて頻繁に集まるのは難しい。住んでいる場所も違うし、それぞれ別のプロジェクトにも関わっているからだ。

だからこそ、僕たちはその中で「ちょうどいいバランス」を取っている。そして今のところ、それがとてもうまくいっていると思う。Vulfpeckは、もう14年も一緒にやってきた。それって、すごく珍しいことなんだと思う。この継続力は、本当に特別なことだと改めて感じているよ。


――あなたはベースのタッチやフレージング、グルーヴが独特で、「Joe Dartのサウンド」というものがはっきりと存在すると思います。つまり聴けばすぐに「Joe Dartだ!」と分かる、ということです。Vulfpeckはみんな自分のサウンドを持っていると思いますが、あなたはどうやって自分のサウンドを作り上げていきましたか?

僕は11〜14歳くらいの頃に、ディスコやファンクのベース・フレーズをコピーし始めた。まずはファンクにおけるベースのハマり方を理解し、スラップや指弾きなどの奏法、フレージングを覚えていった。それからJames Jamerson、Verdine White、Rocco Prestiaのようなベーシストのメロディをコピーしていったんだ。そして90年代には、僕はFleaの虜になっていた。彼はFunkadelicやSly & the Family Stoneに影響を受けた、Red Hot Chili Peppersのベーシストだった。

つまり僕に強い影響を与えていたのは、60〜70年代のファンク・ベースだったんだ。そしてそこで最も重要だったのは、グルーヴだ。単に弾く音やテクニックだけではなく、とにかくグルーヴなんだ。僕にとってグルーヴとは、「タイム」そのもの。タイムとフィールを極めて正確に演奏しなければいけない。

ただ、この感覚についてはもちろん努力で身につけられる部分もあるけど、本能というか――体の中に宿っている、「内なるグルーヴ」というものが重要になってくる。自分のそれまで聴いてきた音楽や、経験がグルーヴとなって表に出てきているんだ。

だから、成長期にファンク・ベースを聴き込んで過ごせたのは、自分にとって大きな幸運だった。そこでファンクの言語を体に染み込ませることができて、それが僕のサウンドになっていった。


――なるほど。先日のCoryのインタビューで、彼は「自分のサウンドの土台には、聴いてきた音楽と、人生経験が大きく関わっている」と話していたんです。そして、あなたがさっき話していた内容も、それに通じる部分があるな、と思いました。「影響を受けた音楽(Influences)」&「人生経験(Life experience)」が大事だと。

そうだね、その通りだと思う。

そして何を聴いてきたか、ということと、人生経験が大事だけど、それらはひとつに繋がってもいる。つまり子どもの頃は、まだ自分で聴く音楽を選べないから、もし運がよければ、親や先生がいい音楽を与えてくれる。

その意味で、僕は本当に恵まれていたと思う。先生たちが、素晴らしい音楽をたくさん聴かせてくれたんだ。


――日本にはあなたのファンがたくさんいて、特に多くの学生さんたちがあなたのプレイに影響され、学校のイベントでVulfpeckやThe Fearless Flyersの曲を演奏したり、また練習に励んでいます。もしよければ、彼らにメッセージをお願いします。

楽器に何時間も向き合うことに勝る近道はない。そこにいかに時間を費やすかということが、自分の音楽に直結する。だからこそ、できるだけ多くのミュージシャンと演奏することが大切だね。また、自分にインスピレーションを与えてくれる音楽について深く学ぶことも欠かせない。

とりわけベーシストにとって重要なのは、自分が音楽のフィールを大きく左右する役割を担っている、という自覚だと思う。ベースがグルーヴを生み、曲全体の印象を決定づける。つまり、自分自身がベーシストとして気持ちいいと感じられるような演奏でなければならない。そのためには、メトロノームに合わせて一人で弾く、好きな曲に合わせて弾く、といった形で何時間も練習することも大事だ。

ただし、いかに時間を費やすか、ということについては他のミュージシャンと練習することがより重要で、特に自分より経験豊富な人たちと演奏すれば、必ず新たな学びや発見がある。実際、僕が初めてVulfpeckと演奏したときは、とても緊張していたよ。彼らはみんな僕より少し年上で、演奏経験も豊富だったから。今でもVulfpeckとステージに立つたびに、みんなから多くのことを学んでいて、同時に緊張もしている。そういうチャンスをたくさん得ていくことが大事だと思う。

――「Beastly」のMVでは、とても緊張しているようには見えませんでした。(笑)

ハハハ、実はそうだったんだ。(笑)


――最後に、フジロックを聴きに来てくれるみんなにメッセージをお願いします!

まず、日本のファンの皆には、本当に心から感謝している。長年、インターネットを通じてその愛とサポートを感じてきたけど、実際にこうして日本に来て、その温かさを直接感じることができて、とても感動しているよ。

Dr. ファンクシッテルー、君は僕たちが世界に届けようとしていたことを、しっかり理解してくれて、そして日本のファンをつなげてくれた。本当にありがとう。

そして、すでに日本に来てから、道で、空港で、カフェで、たくさんの方に声をかけてもらって、温かく迎えてもらえた。日本のファンからの愛をひしひしと感じている。それは僕たちにとって、とても大きな意味がある。だから、このサポートに心から感謝したい。

そして、この日本でのライブは、何年も前からずっと楽しみにしてきたものだった。

フジロックは、昨年『Clarity of Cal』のレコーディング・コンサートをやって以来、まだ2回目のライブなんだ。だから僕たちにとっては、この新しい曲を演奏すること自体が、まだすごく新鮮で、ワクワクする体験だ。

たとえば、Theoが「Tender Defender」を歌うのを聴いたり、Jack、Woody、Theoと一緒に「New Beastly」でベースソロを弾いたり……すべてがまだ新しくて刺激的なんだ。

それに加えて、今回こうして初めて、太平洋の反対側――日本というまったく新しい国、そしてアジアという地域で演奏するということも、本当に特別なことだと感じている。

その2つ――レコーディングからまだ2回目のライブだというワクワク感と、新しい国で演奏できるという喜び。これがフジロックのステージだ。

僕たちは全員、フジロックで皆と一緒に新しい体験をすることを、とても楽しみにしているよ!


――素晴らしいメッセージです! 本日はありがとうございました!

Thank you so much Joe!!!

(※Joeが着用しているハッピはファンメイドのオリジナルデザイン。今回のインタビューに合わせてプレゼントしたところ、喜んで着ていただけた)


通訳:ヨウヘイさん


インタビュー&著:Dr.ファンクシッテルー

イラスト:小山ゆうじろう先生

宇宙からやってきたファンク博士。「ファンカロジー(Funkalogy)」を集めて宇宙船を直すため、ファンクバンドKINZTOで活動。「KINZTO」と並行して、音楽ライターとしても活動しています。

■バンド公認のVulfpeckファンブック■


■ファンクの歴史■


■TwitterでファンクやVulfpeckの最新情報を発信■



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