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コンゴ民主共和国でのエボラウイルス病アウトブレイク6/1時点情報(オープン記事,随時更新)

更新履歴
【5月19日】作成
【5月20日11時】1-(1)症例数更新,1-(5)ブルンジ共和国の事例追加,1-(6)ゲノム解析結果新設,2時系列情報追加
【5月21日11時】1-(1)症例数更新,1-(2)発生場所更新・追記,2 時系列情報追加
【5月22日11時】1-(1)症例数更新,1-(2)発生場所追記,2 時系列情報追加,5-(2)その他入国制限を課している国追加
【5月23日12時】1-(1)症例数更新,1-(2)発生地域更新,2 時系列情報追加
【5月24日10時】1-(1)症例数更新,1-(2)発生地域更新,1-(5)初発例関連情報追加,1-(6)ゲノム解析更新,2 5/23と3/27の時系列情報追加
【5月25日11時】1-(1)症例数更新,1-(5)医療施設連続銃撃について追加,2 5/24の時系列情報追加
【5月26日15時】1-(1)症例数更新,2 5/25の時系列情報更新
【5月27日17時】1-(1)症例数更新,1-(2)発生地域更新,2 5/26の時系列情報追加
【5月28日10時】1-(1)症例数更新,2 5/27の時系列情報追加
【5月29日12時】2 5/28の時系列情報追加
【6月1日11時】1-(1)症例数更新,2 5/29〜5/31の時系列情報追加

 2026年5月15日,コンゴ民主共和国(DRC)政府は,北東部イツリ州のルワンパラ,モングワル,ブニアの各保健ゾーンでエボラウイルス病アウトブレイクが宣言された.DRCではこれまでも何度もエボラウイルス病アウトブレイクを経験しているが,今回は過去に多かったザイール型ではなくブンディブンギョ型であり,治療薬やワクチンがないタイプである.加えて,発生した地域は武装勢力・避難民・医療崩壊リスクを抱える地域で,鉱山関連の人流,越境移動もあるため,制御が非常に難しい.これらの状況を踏まえ,WHOは5月17日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した(パンデミック宣言ではない).

 現状,パンデミックリスクは低い.ただし,今後,アフリカ国内での伝播,さらには一部渡航者/帰国者が日本の医療機関を受診する局所的リスクは発生しうる状況ではある.2014年の西アフリカでのエボラアウトブレイクでは,当該地域からの帰国者が体調不良で開業医を受診するも,渡航歴について患者側から自己申告することもなければ医師が問診することもなかったケースが複数確認されており,注意が必要である.パンデミックリスクが非常に低くても医療機関は開業医に至るまで突如前線になりえるという認識は必要である.感染者は少なくすんでも致死率が高いゆえに前線となる場所では渡航歴聴取を心がけるべきである.

 以下に今回のコンゴ民主共和国を中心とするエボラアウトブレイクの情報をまとめた.この記事は最新情報に基づき随時更新していく.

1.今回のアウトブレイク概要

(1)症例数(6/1更新)

【6/1更新】コンゴ民主共和国とウガンダの保健省情報として, 以下の通りである.

  • 疑い1,100例超

  • 確定291例(うちコンゴ民主共和国282,ウガンダ9)

  • 死亡368例(うちコンゴ民主共和国366,ウガンダ2)

https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/congo-uganda-report-263-confirmed-ebola-cases-with-43-deaths-africa-cdc-says-2026-05-31/
https://www.cdc.gov/ebola/situation-summary/index.html

 WHOは,イツリ州内で異常な地域死亡クラスターが報告されていること,疑い例が北キヴ州にも報告されていること,ウガンダのカンパラで渡航者2例が確認されたことから,実際の感染者数と地理的広がりには大きな不確実性があると評価している.
https://www.who.int/news/item/17-05-2026-epidemic-of-ebola-disease-in-the-democratic-republic-of-the-congo-and-uganda-determined-a-public-health-emergency-of-international-concern
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602

(2)発生場所(5/27更新)

 今回のアウトブレイクはイツリ州のモングワルが中心地となっており,そこから患者が医療を求めてルワンパラやブニアへ移動して拡大したものである.また,イツリ州はウガンダと南スーダンに近く,商業・移動の結節点でもあるため,越境移動も多い
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602
https://africacdc.org/news-item/africa-cdc-calls-for-urgent-regional-coordination-following-ebola-virus-disease-outbreak-in-ituri-province-drc-and-imported-ebola-bundibugyo-case-reported-by-uganda/

 さらに,このイツリ州は,全体がISIL系とされる武装勢力・軍事作戦・避難民移動・人道アクセス制約を抱える紛争影響地域,都市・半都市型ホットスポット,人の往来が多い鉱山地域,非公式医療施が多い,といった感染拡大リスクが多重に重なる中でのアウトブレイク対応を余儀なくされており,サーベイランスや迅速対応が難航している.これは,2018〜2019年の北ギヴ州・イツリ州のエボラ大流行と似た条件である.
https://apnews.com/article/congo-ebola-outbreak-ituri-bunia-rwampara-e9f54adc7de7959ad85b99b02f9a3a33
https://www.who.int/news/item/17-05-2026-epidemic-of-ebola-disease-in-the-democratic-republic-of-the-congo-and-uganda-determined-a-public-health-emergency-of-international-concern

【5/27更新】症例発生地域はさらに拡大しており,疑い例発生を含めると5/27時点で新たに5地域で疑い例/確定例の発生があり,下記17地域となっている.イツリ州は各地域で多数発生しているのに対し,北ギヴ州・南キヴ州・ウガンダは各地域で少数例ずつである.

  • イツリ州: モングワル,ルワンパラ,ブニア,ニャンクンデ,(5/24追加)アル,(5/27追加)キジ,(5/27追加)キロ/キロミッション

  • 北キヴ州: ゴマ,カトゥワ,ビューテンボ,ベニ

  • (5/23追加)南キヴ州: ミティ・ムルヘサ,(5/27追加)ニャンクンデ,(5/27追加)ブカヴ,(5/27追加),シャブンダ

  • ウガンダ: カンパラ

 また,発生はないが,イツリ州のバンブが能動的症例探索・アラート調査対象,コマンダ,マンガラとなっている.【5/22追記】また,北キヴ州ビューカヴ近郊の反政府勢力AFC/M23支配地域ミティ・ムルヘサでエボラ確定例が確認された.この死亡例はツショポ州キサンガニから来た人物とのことで,同地域も警戒されている.

【5/21追記】なお,ブニアにおいて米国人宣教師医師1人が感染,6人が接触者となった.感染した医師はドイツに移送され治療中,接触者6人は5人がドイツ,1人がチェコに移送・隔離となっている.

(3)今回のエボラウイルス株はブンディブギョ型

 今回のアウトブレイクは,ブンディブギョ型(Bundibugyo)エボラである.これまでコンゴ民主共和国で繰り返し何度も流行してきたエボラウイルスはザイール型である.しかし,今回のブンディブギョ型には,ザイール型とは違い,ワクチンや特異的治療薬がない.WHOは,ブンディブギョ型には承認済みの特異的ワクチン・治療薬がないと明記している.
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602
https://www.who.int/news/item/17-05-2026-epidemic-of-ebola-disease-in-the-democratic-republic-of-the-congo-and-uganda-determined-a-public-health-emergency-of-international-concern
https://www.who.int/news-room/questions-and-answers/item/ebola-vaccines

ブンディブギョ型は,2007年にウガンダ西部のブンディブギョ地区で初めて確認された.この2007年の流行では症例数131例,死亡42例,致命率32%と報告されている.コンゴ民主共和国では,2012年に旧オリエンタル州イシロ周辺でブンディブギョ型の流行があり,CDCは検査確定例38例,死亡13例,致命率34%と報告されている.
https://www.afro.who.int/countries/democratic-republic-of-congo/news/democratic-republic-congo-confirms-new-ebola-outbreak-who-scales-upsupport
https://www.cdc.gov/ebola/outbreaks/index.html

(4)WHOによるPHEIC

 WHOは5月17日にコンゴ民主共和国とウガンダのブンディブギョ型エボラアウトブレイクを「国際的な懸念すべき公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」と判断した.PHEICとは,国際的な拡大リスクがあり,国際協調を要する公衆衛生上の緊急事態を意味する.ただし,これはパンデミックを意味する宣言ではなく,WHOも今回の事案は「パンデミック緊急事態」の基準は満たさないと述べている

 今回のPHEIC判断の理由は以下の通りである.

  • イツリ州内の複数保健ゾーンでの確定例・疑い例・疑い死亡

  • ウガンダのカンパラへの国際的越境拡散

  • 真の感染者数と地理的範囲の不確実性

  • 治安不安と人道危機

  • 人口移動

  • 非公式医療施設の多さ

  • ブンディブギョ型特異的な承認済みワクチン・治療薬の不在

https://www.who.int/news/item/17-05-2026-epidemic-of-ebola-disease-in-the-democratic-republic-of-the-congo-and-uganda-determined-a-public-health-emergency-of-international-concern

(5)初発例認知の遅れと感染拡大(5/24更新)

 今回のアウトブレイクは初期認知が大きく遅れたがゆえに規模が大きくなっている.最初に把握された症例がすでに医療従事者で,既に二次感染が起こっていたことを意味する.地域内・医療機関内・葬儀関連の伝播が進んだ後に検査系のミスマッチと検体搬送の失敗が重なって,公式確認まで約3週間以上の空白が生じてしまった.

 現時点で最初に知られている疑い例は看護師であり,4月24日に発症し,ブニアの医療施設で死亡している.しかし,それより前の4月中旬にモングワル周辺で体調不良・死亡が増え始めており,モングワル元市長の証言として,ブニアから到着した大規模な開棺葬儀の後に死亡が連鎖しているとのことであった.現地では死が神秘的な病気と受け止められ,葬儀で遺体に触れる行為があり,そこから症例が急増した.
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/health-workers-race-respond-congos-fast-spreading-ebola-outbreak-2026-05-18/
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/flawed-tests-funerals-allowed-ebola-spread-undetected-sources-say-2026-05-18/

 これは過去のアフリカでのエボラアウトブレイク事例でもよく経験されることだが,エボラでは死亡直後・葬儀時の遺体接触が強い増幅イベントになり得る.有名なのは2014年の西アフリカのエボラアウトブレイクで,ギニアで発生したエボラ患者の治療としてシエラレオネの祈祷師が治療を行い,その祈祷師が帰国後にエボラを発症して死亡した.そしてその祈祷師の遺体を洗い清めるという伝統的な葬儀が行われ,数百人規模の感染者が発生し,シエラレオネでもアウトブレイクが発生した.
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602
http://news.sciencemag.org/health/2014/08/ebolas-heavy-toll-study-authors

 さらに悪いことが重なる.死亡した看護師の検査はブニア州公衆衛生研究所で標準的Ebola Xpertで行われたが,コンゴ民主共和国で過去に起こったアウトブレイク16回中15回の原因となっていたザイール型用の検査カートリッジが使われ,結果は陰性であった.その後,INRBに送られた後にPCRでオルトエボラウイルス陽性となり,ゲノム解析でブンディブギョ型と確認された.
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/flawed-tests-funerals-allowed-ebola-spread-undetected-sources-say-2026-05-18/

 なお,今年の4月11日に,コンゴ民主共和国の東側に隣接するブルンジ共和国で,エボラウイルス病に症状が似る原因不明の疾患で35人が発症,5人が死亡する事案をWHOが発表しており,その際に,エボラ,マールブルグ,リフトバレー熱,黄熱,クリミア・コンゴ出血熱などの200以上の病原体検査は陰性だったとしつつ,検体をコンゴ民主共和国の INRB に送って追加でメタゲノム解析もすると説明している.これがブンディブギョ株であれば,地理的にはイツリ州とも近く,時系列的にも伝播してる可能性が浮上する.最新では5/6時点で結果待ち状態である.
https://www.afro.who.int/countries/burundi/news/burundi-investigates-illness-has-caused-five-deaths
https://www.kdhe.ks.gov/DocumentCenter/View/58727/Weekly-Domestic-and-International-Infectious-Disease-Report-5-6-2026-PDF

【5/24追加】今回のエボラ対応より前の別の人道支援任務で3/27にモングワルで遺体管理に関わった赤十字ボランティア3人がそれぞれれ5/5,5/15,5/16にエボラウイルス病で死亡しており,国際赤十字赤新月社連盟IFRCは,この3人が遺体管理の際に感染した可能性があると説明.初発例として確認されたのは4/24発症の看護師であり,3/27時点では地域社会も支援側もまだエボラ流行を認識していなかった.感染経路が確認されれば,流行開始時期がさらに早かった可能性を示す重要情報である.
https://www.ifrc.org/article/statement-ifrc-saddened-deaths-three-drc-red-cross-volunteers-ituri-province

【5/25追加】5/21〜24にかけて,イツリ州のルワンパラとモングワルの医療施設で住民による3件の襲撃が発生しており,損壊,放火,銃撃が行われ,これにより感染者や疑い例が多数逃走する事態となっている.また,医療スタッフも襲撃を恐れて退避し始めており,治療・隔離に支障をきたしてきている.
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/suspected-ebola-cases-reported-rebel-held-congo-area-2026-05-21/
https://apnews.com/article/ebola-congo-tents-treatment-fire-e6fb1898865ba6848aa1567aebe7ba30
https://apnews.com/article/9c4237e6ed4e26dff22b242749e37e33

 背景には,エボラが遺体から感染することを知らなかったり,エボラは存在せず呪いだと信じていたりといった事情があり,このようなエボラへの認識の誤解も感染拡大の大きな要因であり,当局はリスクコミュニケーションに苦慮している.

(6)ゲノム解析(5/24更新)

 コンゴ民主共和国のINRBが2本,ウガンダのCPHLが1本のブンディブギョ株ゲノムを取得し,解析結果が公開された.系統的には新たなスピルオーバーが示唆され,動物リザーバーからの新規導入を示唆している.伝播性や重症度を増す特定変異については言及されていない.
https://virological.org/t/initial-genomes-from-may-2026-bundibugyo-virus-disease-outbreak-in-the-democratic-republic-of-the-congo-and-uganda/1032

【5/24追加】その後初期の3本から増えて,少なくとも10本のアウトブレイク関連ゲノムが公開.BEAST解析で,仮定した進化速度によってtMRCAの平均推定が2026年4月11日または2026年3月25日になり,著者らは不確実性を考慮して「この解析対象症例群の共通祖先はおそらく3月下旬〜4月下旬」と解釈している.だし、著者ら自身も「ほとんどのゲノムがブニア由来なので、この推定はブニア周辺のアウトブレイクに偏っており、他地域のゲノムが増えると大きく変わり得る」と注意している.
https://pathoplexus.org/ebola-bdbv/search
https://virological.org/t/initial-genomes-from-may-2026-bundibugyo-virus-disease-outbreak-in-the-democratic-republic-of-the-congo-and-uganda/1032

2.時系列と最新情報(6/1更新)

 以下に,今回のコンゴ民主共和国イトゥリ州から始まったエボラアウトブレイクの時系列情報をまとめた.

▶︎3月27日(5/24追加)

今回のエボラ対応より前の別の人道支援任務で3/27に遺体管理に関わった赤十字ボランティア3人がそれぞれれ5/5,5/15,5/16にエボラウイルス病で死亡しており,国際赤十字赤新月社連盟IFRCは,この3人が遺体管理の際に感染した可能性があると説明.初発例として確認されたのは4/24発症の看護師であり,3/27時点では地域社会も支援側もまだエボラ流行を認識していなかった.
https://www.ifrc.org/article/statement-ifrc-saddened-deaths-three-drc-red-cross-volunteers-ituri-province

▶︎4月中旬

モングワル周辺で体調不良・死亡が増え始めたと現地関係者が証言.大規模な開棺葬儀の後に死亡が連鎖した.
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/health-workers-race-respond-congos-fast-spreading-ebola-outbreak-2026-05-18/

▶︎4月下旬(初発例発生)

現時点で最初に知られている疑い例は看護師であり,2026年4月24日に発熱,出血,嘔吐,強い倦怠感を発症し,ブニアの医療施設で死亡した.当初はザイール株用の検査カートリッジが使われ,ブンディブンギョ株を検出できなかった.
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/flawed-tests-funerals-allowed-ebola-spread-undetected-sources-say-2026-05-18/
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602
https://administration.sante.gouv.cd/wp-content/uploads/2026/05/Declaration-de-la-17e-Epidemie-de-la-maladie-a-virus-Ebola-dans-les-zones-de-sante-de-Rwampara-Mongwalu-et-Bunia-dans-la-province-dIturi.pdf

▶︎5月5日

 WHOは,イツリ州モングワル保健ゾーンで,高死亡率の原因不明疾患に関する警報を受けた.この警報には,初発例の看護師の死亡も含まれていた.
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602

▶︎5月14日

 コンゴ民主共和国の国立生物医学研究所は13件の血液検体を解析し,8件でエボラウイルス病ブンディブギョ株を確認した.
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602

▶︎5月15日

コンゴ民主共和国保健省は,ルワンパラ,モングワル,ブニアの保健ゾーンで,同国17回目のエボラアウトブレイクを宣言した.同日時点で,同省は246疑い例,80死亡,うち4例が陽性と発表した.
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602
https://administration.sante.gouv.cd/wp-content/uploads/2026/05/Declaration-de-la-17e-Epidemie-de-la-maladie-a-virus-Ebola-dans-les-zones-de-sante-de-Rwampara-Mongwalu-et-Bunia-dans-la-province-dIturi.pdf

WHOアフリカ地域事務所が支援拡大を発表.同事務所は,ブニアへ感染予防・管理用品,検体輸送資材,症例管理用品,テントなど5トンの物資を空輸する方針を発表
https://www.afro.who.int/countries/democratic-republic-of-congo/news/democratic-republic-congo-confirms-new-ebola-outbreak-who-scales-upsupport

▶︎5月15〜16日(ウガンダでも発生)

ウガンダ保健省は,コンゴ民主共和国からの渡航者である男性がカンパラの医療施設に入院し,5/14に死亡した後,5/15にブンディブギョ型エボラと確認されたと報告.WHOはさらに,5/16にカンパラで2例目の輸入例が確認されたが,報告時点でウガンダ国内の地域内伝播は確認されていないとしている.
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602
https://africacdc.org/news-item/africa-cdc-calls-for-urgent-regional-coordination-following-ebola-virus-disease-outbreak-in-ituri-province-drc-and-imported-ebola-bundibugyo-case-reported-by-uganda/

▶︎5月17日(PHEICを宣言)

WHO事務局長は,国際保健規則に基づき,コンゴ民主共和国とウガンダのブンディブギョ型エボラをPHEICと判断した.
https://www.who.int/news/item/17-05-2026-epidemic-of-ebola-disease-in-the-democratic-republic-of-the-congo-and-uganda-determined-a-public-health-emergency-of-international-concern

コンゴ民主共和国首都のキンシャサでも疑い例が発生していたが,確認検査で陰性
https://actualite.cd/2026/05/17/rdc-aucun-cas-debola-signale-kinshasa-rassure-linsp

コンゴ民主共和国ゴマでブンディブンギョ株エボラの初の確定例が発生.この患者はブニアで死亡した男性の妻で,夫の死亡後にゴマへ移動していた.
https://7sur7.cd/2026/05/17/ebola-premier-cas-confirme-goma

コンゴ民主共和国の保健相がブニア入りし,ブニア,ルワンパラ,モングワルにエボラ治療センターを設置予定と説明.59人が積極的に治療中で,既存医療機関の負荷軽減が目的.
https://actualite.cd/2026/05/17/ebola-en-ituri-roger-kamba-annonce-linstallation-imminente-de-centres-de-traitement

WHO・WFPなどがブニアにPPE,医療キット,テント,病床など5トン超~約7トンの医療物資を搬入,専門家35人が到着
https://www.radiookapi.net/2026/05/17/actualite/sante/ebola-en-ituri-loms-et-le-pam-fournissent-5-tonnes-de-materiel-de-riposte

ルワンダはコンゴ民主共和国との国境通過を大幅制限・閉鎖.ルバビュー-ゴマ間などで検査,隔離,監視を強化.なお,ルワンダでは症例は発生していない.
https://actualite.cd/2026/05/17/ebola-en-ituri-aucun-cas-recense-au-rwanda-ce-jour-kigali-annonce-le-renforcement-du
https://www.ktpress.rw/2026/05/rwanda-closes-all-border-crossings-with-dr-congo-amid-escalating-ebola-outbreak/

アフリカCDCは地域・大陸レベルの調整を強調し,PHECS宣言の必要性を検討するためEmergency Consultative Groupの招集を要請.南スーダン共和国の準備も支援対象
https://africacdc.org/news-item/ebola-response-statement-from-the-director-general-africa-cdc/

コンゴ民主共和国で活動中の米国人7人が疑い例に曝露,うち1人(医師)に症状あり検査で陽性.治療・モニタリングの目的でドイツへ移送(米国本土より飛行時間が短く、過去にエボラ患者を診療した経験があるため)
https://www.cdc.gov/media/releases/2026/transcript-update-on-ebola-outbreak-in-the-democratic-republic-of-the-congo-and-uganda-5-18-2026.html
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/us-moves-curb-ebola-risk-says-immediate-risk-public-is-low-2026-05-18/
https://www.statnews.com/2026/05/17/ebola-outbreak-congo-americans-exposure-suspected-cases/

米国CDCは国際対応を動員し,コンゴ民主共和国およびウガンダの事務所を通じて監視,検査,感染予防,封じ込めを支援.米国人少数の安全な退避を省庁間で支援中.米国内リスクは低いと説明
https://www.cdc.gov/media/releases/2026/cdc-mobilizes-international-ebola-response.html

▶︎5月18日

アフリカCDCは、今回のブンディブギョ株エボラウイルス病アウトブレイクを「大陸レベルの安全保障に関する公衆衛生上の緊急事態(PHECS)」と宣言.累計で少なくとも疑い482例,疑い死亡116例発生.検査確定例は13例,うち医療従事者4例
https://actualite.cd/index.php/2026/05/18/de-bunia-nyankunde-ce-que-lon-sait-du-medecin-americain-atteint-debola
https://africacdc.org/news-item/africa-cdc-declares-the-ongoing-bundibugyo-ebola-outbreak-a-public-health-emergency-of-continental-security/
https://english.news.cn/20260519/a9f3014023174d39b8781957b0d1823e/c.html

北ギヴ州のベニで,ブニヤから移動した患者の確定例発生
https://english.news.cn/africa/20260518/9c015b5ebe0f4a1797d15a71748ebb29/c.html

日本外務省は,WHOのPHEICを受け,コンゴ民主共和国に感染症危険情報レベル1を発出.FORTHも渡航者向け注意喚起ページを掲載.
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2026C026.html

イツリ州のニャンクンデ(特にイルム地域),北キヴ州のビュトンボ,カトゥワに感染拡大
https://actualite.cd/2026/05/18/ebolardc-118-morts-suspects-deux-nouvelles-zones-touchees-bilan-actualise18-mai
https://actualite.cd/2026/05/18/rdc-ebola-setend-butembo-un-medecin-americain-positif-parmi-les-nouveaux-cas-bunia

米国CDCはEOCを稼働し,過去21日以内コンゴ民主共和国,ウガンダ,南スーダンに滞在していた非米国籍の者の入国を制限すると発表.
https://www.cdc.gov/ebola/media/pdfs/2026/05/2026-05-18-Title-42-Order.pdf

米国CDCは,コンゴ民主共和国向けLevel 3 Travel Health Noticeを更新し,イツリ州と北キヴ州への不要不急の渡航を避けるよう勧告
https://wwwnc.cdc.gov/travel/notices/level3/ebola-democratic-republic-of-the-congo

ウガンダ大統領は,コンゴ民主共和国東部からの巡礼者が多数参加する可能性を理由に,ウガンダ殉教者の日巡礼を延期
https://actualite.cd/index.php/2026/05/18/face-au-risque-ebola-museveni-reporte-le-grand-pelerinage-des-martyrs-en-ouganda

▶︎5月19日(5/20追加)

米国CDCは,コンゴ民主共和国・ウガンダの保健省情報として,5月19日時点で疑い536例,probable 105例,確定34例,死亡134例,直近24〜48時間で確定26例,疑い143例の追加と発表.ウガンダはコンゴ民主共和国からの渡航者2例(うち1例死亡)で,追加拡大は報告されていない.
https://www.cdc.gov/ebola/situation-summary/index.html

コンゴ民主共和国大統領府は,Tshisekedi大統領が危機会合を開き,流行封じ込め,迅速な治療,監視強化,予防措置の徹底を指示
https://presidence.cd/actualite-detail/actualite/resurgence_de_la_maladie_a_virus_ebola_le_chef_de_letat_a_tenu_une_reunion_de_crise_ce_lundi

ゴマ,ビューカブからルワンダへ向かう通行が封鎖
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/ebola-deaths-eastern-congo-rise-131-outbreak-spreads-2026-05-19/

今回の流行株であるブンディブギョ株検査の処理能力が限られており,現地の検査処理は1時間6件程度にとどまる.
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/ebola-deaths-eastern-congo-rise-131-outbreak-spreads-2026-05-19/

WHOは,対応は数カ月続く可能性があると見ており,医療資源をイツリ州と北キヴ州の2州に集中させる.MSF,赤十字,UNICEFも現地対応に入る.
https://apnews.com/article/congo-ebola-deadly-virus-bundibugyo-health-emergency-3c97cacf44e007127df5739199f32517

ブニアのISP・Kigonze避難民サイトにいる約3万人が,過密,衛生設備不足,移動の多さにより高リスクだとCaritasの警告
https://acp.cd/nation/bunia-30-000-deplaces-exposes-a-la-contamination-rapide-de-la-maladie-debola-directeur-caritas/

▶︎5月20日(5/21追加)

WHOは疑い600例以上,疑い死亡139例(DRC確定51例,ウガンダ確定2例)と公表
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/who-says-139-suspected-ebola-deaths-congo-outbreak-numbers-expected-rise-2026-05-20/

北ギヴ州知事が,感染拡大防止のため遺体を搬送して移動することを禁止
https://www.radiookapi.net/2026/05/20/actualite/sante/ebola-interdiction-de-circuler-avec-un-corps-sans-vie-pour-freiner-la

WHOは,今回のアウトブレイクは,規模を考えるとおそらく数か月前に始まったと考えられ,実際の疫病の規模は現時点数字よりはるかに大きい可能性があり,少なくとも2か月は続く可能性があると説明.ロンドン拠点のMRCグローバル感染症分析センターは,症例が大幅に過小計数されており,実際の数はすでに1,000件を超える可能性があると推定
https://apnews.com/article/congo-ebola-who-spread-bunia-bundibugyo-6b0bd445b991dd381ae8a585a9b6179a

WHO専門家がブンディブギョ株向けの有望ワクチンについて、実用的な用量が少なくとも6〜9カ月かかる可能性を示す.Oxford/AstraZeneca系プラットフォームの候補は試験用量が2〜3カ月で出る可能性があるが,動物実験の有効性に関するデータがまだ出ていないため多くの不確実性がある.
https://www.theguardian.com/world/2026/may/20/vaccine-bundibugyo-ebola-outbreak-six-to-nine-months-who

政府がMapp Biopharmaceuticalと協力し,曝露リスクが高い人向けに実験的モノクローナル抗体治療を利用可能にする作業を進めている.実験薬はスーダン株向けに開発されたが,ブンディブギョ株への有効性可能性を示すラボデータがあるとのこと.
https://www.reuters.com/legal/litigation/us-working-with-small-biotech-firm-experimental-ebola-treatment-bloomberg-news-2026-05-20/

コンゴ民主共和国で感染した米国人がドイツで治療中で安定,さらに高リスク米国人6人がドイツ(5人)とチェコ(1人)へ移送中
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/us-missionary-who-contracted-ebola-stable-condition-german-hospital-cdc-says-2026-05-20/

過去21日以内にコンゴ民主共和国,ウガンダ,南スーダンからの入国制限を課した米国は,同3カ国に滞在した人を乗せる米国行き便を強化公衆衛生措置を行う空港へ到着させるとし,対象空港をWashington-Dulles International Airportに指定.貨物便・乗員のみの便は除外とした.
https://public-inspection.federalregister.gov/2026-10179.pdf

米国政府は,初期対応として1,300万ドルを動員し,コンゴ民主共和国とウガンダで最大50のエボラ診療所開設を支援すると発表
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/who-says-139-suspected-ebola-deaths-congo-outbreak-numbers-expected-rise-2026-05-20/

ゴマでの症例発生を受けてルワンダが一時国境閉鎖したことについてコンゴ民主共和国政府が批判.反政府組織AFC/M23支配地域での効果的対応にはルワンダ軍とAFC/M23の撤退が必要だと主張.
https://actualite.cd/index.php/2026/05/20/ebola-goma-kinshasa-exige-le-retrait-des-troupes-rwandaises-pour-une-riposte-efficace-et

ウガンダ政府はエボラの症状監視のため100人超を非公表地点で隔離・観察中
https://apnews.com/article/6b0bd445b991dd381ae8a585a9b6179a

エボラ流行によりコンゴ民主共和国のサッカーW杯代表Léopardsのキンシャサでの準備キャンプとファン向け送別行事が中止に.欧州での強化試合は予定通りで,6月3日デンマーク戦,6月9日チリ戦を予定
https://www.radiookapi.net/2026/05/20/actualite/sport/ebola-annulation-de-la-preparation-des-leopards-kinshasa-pour-la-coupe-du

▶︎5月21日(5/22追加)

コンゴ民主共和国保健省データとしてエボラウイルス病の疑い670例,疑い死亡160人,確定61例に更新
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/suspected-ebola-cases-reported-rebel-held-congo-area-2026-05-21/

流行中心地から離れた反政府勢力AFC/M23支配地域南キヴ州ミティ・ムルヘサでエボラ確定例が確認.この死亡例は28歳男性で,ツショポ州キサンガニから来た人物で,死亡し,安全埋葬されたと発表.妻と兄弟にも症状あり
https://actualite.cd/2026/05/21/ebola-en-rdc-le-sud-kivu-officiellement-touche
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/suspected-ebola-cases-reported-rebel-held-congo-area-2026-05-21/
https://www.radiookapi.net/2026/05/21/actualite/sante/sud-kivu-un-cas-suspect-debola-notifie-dans-la-zone-de-sante-de-miti

ルワンパラ総合病院で末期状態の疑い患者が死亡し,家族が遺体引き渡しを要求,通常の葬儀を行おうとしたが,医療スタッフが感染リスクのため止めようとし,遺族側からの投石,救急車を含む車両損壊などが発生.NGO団体ALIMAが現場に配備したテントや医療機器を含む施設が放火され,確定3人・疑い3人の計6人が逃走(6人は、治療中との情報もあり錯綜している).
https://actualite.cd/2026/05/21/ebola-en-rdc-incident-grave-rwampara-des-patients-fuient-les-installations-dalima
https://acp.cd/province/ituri-tension-a-lhopital-de-rwampara-apres-le-deces-dun-cas-suspect-debola/
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/congo-police-fire-warning-shots-burial-dispute-after-suspected-ebola-death-2026-05-21/

モングワルで隔離センターが飽和,一般病院に24人が入院し,疑い例の一部は入院できず自宅に残っている.病床能力を2〜3倍にする必要.
https://actualite.cd/2026/05/21/mongbwalu-epicentre-debola-le-centre-de-prise-en-charge-sature-des-malades-contraints-de
https://acp.cd/province/ituri-saturation-du-centre-de-mongbwalu-des-malades-debola-maintenus-dans-la-communaute/

モングワルでは鉱山活動や市場が続いており,住民は手洗いなどを始めているものの,治療センター設置はまだ追いついていない.
https://actualite.cd/2026/05/21/mongwalu-epicentre-minier-debola-en-ituri-la-riposte-tente-de-rattraper-lepidemie

ウガンダはコンゴ民主共和国との航空便を48時間以内に停止し,セムリキ湖のフェリー,越境バス,公共旅客輸送を4週間停止へ.貨物・食料・物資輸送は例外
https://actualite.cd/2026/05/21/ebola-louganda-suspend-ses-vols-avec-la-rdc-et-ferme-ses-frontieres-aux-passagers
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/suspected-ebola-cases-reported-rebel-held-congo-area-2026-05-21/

英国が最大約2,687万ドルの支援を表明.WHO,国連機関,NGOを通じて監視,医療従事者支援,感染予防を支えるとのこと.
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/uk-commits-2687-million-contain-ebola-outbreak-drc-2026-05-20/

コンゴ民主共和国滞在歴のある乗客が米国の一時入国制限対象だったため,パリ発デトロイト行きエアフランス便がモントリオールへ目的地変更
https://www.fnn.jp/articles/-/1048347

▶︎5月22日(5/23追加)

コンゴ民主共和国は5/22時点で確定83例,疑い746例,接触者1,603人,確定死亡9人,probable死亡176人と発表
https://acp.cd/nation/ebola-83-cas-confirmes-recenses-en-rdc/

イツリ週当局は,公共空間での手洗い義務化,市場・学校・教会の衛生設備設置,病人・遺体との接触回避,50人超の集会制限,通夜停止を発表
https://acp.cd/nation/ebola-en-ituri-lexecutif-provincial-annonce-une-serie-de-mesures-pratiques-a-observer/

WHOは,オベルデシビルを接触者などに厳格なプロトコル下で使う可能性に言及
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/who-raises-risk-ebola-outbreak-congo-very-high-national-level-2026-05-22/

▶︎5月23日(5/24追加)

コンゴ民主共和国はコンゴ民主共和国国内の累計を疑い867例,確定91例,probable deaths 204人,接触者1,745人と発表.接触者1,745人のうち追跡できたのは351人で20%にとどまり,99人は72時間以上追跡不能
https://acp.cd/nation/ebola-91-cas-confirmes-recenses-dans-trois-provinces-de-la-rdc/

ウガンダが新たに3例を確認し,同国の確定例が5例に増加.追加例は,最初の患者を運んだ運転手,最初の患者をケアした医療従事者,コンゴ民主共和国から入国しカンパラの民間病院を受診した女性
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/uganda-confirms-three-new-ebola-cases-bringing-total-five-2026-05-23/

アフリカCDCは,コンゴ民主共和国とウガンダ以外に,アンゴラ,ブルンジ,中央アフリカ共和国,コンゴ共和国,エチオピア,ケニア,ルワンダ,南スーダン,タンザニア,ザンビアをリスク国として挙げている.これはこれらの国で確定例が出たという意味ではなく,越境リスク評価上の対象である.
https://www.aljazeera.com/news/2026/5/23/uganda-confirms-three-new-ebola-cases-bringing-total-to-five

モングワルで怒った住民が,疑い例・確定例を収容していた国境なき医師団の保健施設のテントを襲撃・焼却し,18人の疑い患者が所在不明になった.
https://apnews.com/article/ebola-congo-tents-treatment-fire-e6fb1898865ba6848aa1567aebe7ba30

国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)支部の赤十字ボランティア3人の死亡を悼む声明.3人は3月27日に遺体処理に関与した後に感染した可能性があり,5月5日,15日,16日に死亡.これは確認されれば,流行開始時期がさらに早かった可能性を示す重要情報である.
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/red-cross-mourns-death-three-volunteers-ebola-congo-2026-05-23/

コンゴ民主共和国運輸省がブニア空港発着の全航空便を停止.商業便,民間便,特別便が対象で、人道・医療・緊急便は航空・保健当局の特別承認が必要
https://actualite.cd/2026/05/23/ebola-bunia-fermee-aux-vols-uganda-airlines-suspend-ses-liaisons-avec-kinshasa

コンゴ民主共和国保健相Roger Kambaは,過去の2018–2020年流行対応で12億ドル規模が費やされたが保健システム強化に十分つながらなかったと述べ,「一つの計画,一つの調整,一つの予算」を主張.WHOとAfrica CDCはブンディブギョ株対応で3億1,497万ドルの支援要請を開始
https://actualite.cd/2026/05/23/ebolardc-2018-2020-12-milliard-usd-depense-meme-pas-un-laboratoire-construit-fait

流行が政府非支配地域,特に反政府組織AFC/M23支配下の地域にも及んでいるため,コンゴ民主共和国保健相が統一的対応のため外交接触を進めている.
https://actualite.cd/2026/05/23/ebola-en-rdc-roger-kamba-annonce-des-contacts-diplomatiques-pour-acceder-aux-zones-sous

モングワルの国境なき医師団は,周辺の医療施設が疑い例で埋まり,隔離病棟が十分でないと述べる.
https://www.theguardian.com/world/2026/may/23/ebola-virus-spread-drc-democratic-republic-of-congo

米国が過去21日以内にコンゴ民主共和国,ウガンダ,南スーダンに滞在した一部の合法永住者に対しても一時的な入国禁止を適用
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/us-extends-ebola-travel-ban-green-card-holders-2026-05-23/

▶︎5月24日(5/25追加)

夕方に若者らがモングワル総合病院を襲撃し、遺体2体の引き渡しを要求,銃声が聞こえ,医療スタッフが退避しつつある.1週間で3度目の関連施設襲撃
https://apnews.com/article/9c4237e6ed4e26dff22b242749e37e33

ルワンパラとモングワルでの施設襲撃を受け,中央政府,州当局,MONUSCOが治療センターと医療従事者の保護を急ぐ協議
https://www.radiookapi.net/2026/05/24/actualite/securite/ebola-dans-lest-de-la-rdc-autorites-et-monusco-renforcent-la

コンゴ民主共和国,ウガンダ,南スーダンの保健当局はカンパラでの高級実務者会合を経て,国境・非公式越境地点での早期警戒,共同監視,情報共有,接触者追跡を強化する方針で合意
https://www.radiookapi.net/2026/05/24/actualite/sante/ebola-la-rdc-louganda-et-le-soudan-du-sud-decident-dune-surveillance

ケニア保健省は,コンゴ民主共和国・ウガンダでのブンディブギョ株流行を受けて準備・対応を強化.5月21日時点でケニア国内に確定例はなく,コンゴ民主共和国からの旅行者3人と同行者4人はいずれも検査陰性
https://actualite.cd/2026/05/24/ebola-le-kenya-active-son-dispositif-multisectoriel-de-preparation-et-de-reponse-face-au

▶︎5月25日(5/26追加)

ウガンダのカンパラにある民間医療施設で医療従事者2人の感染を確認し,指定治療ユニットで治療中で、接触者追跡が進められている.この2人はカンパラで死亡した症例の接触者.
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/uganda-confirms-two-more-ebola-cases-taking-total-seven-2026-05-25/
https://apnews.com/article/uganda-ebola-bundibugyo-congo-8630b816e3f40f950fd90e44b0b3395c

WHOは,ブンディブギョ株向けに2種類のモノクローナル抗体を臨床試験で優先し,抗ウイルス薬オベルデシビルを高リスク接触者の曝露後予防として評価する試験をアフリカCDC等と準備中
https://www.who.int/news-room/speeches/item/who-director-general-s-remarks-at-the-virtual-ministerial-briefing-on-the-bundibugyo-ebola-outbreak-25-may-2026

モングワル総合病院での5/23,5/24の2回の襲撃で計25人が逃走中であり,うち1人は検査で陽性が判明した.また,この襲撃の際に,出血による重篤な状態にある疑いのあるエボラ患者が,ベッドから逃げようとした時に急変して死亡した.5/24の襲撃は,地域で広く知られる宗教指導者がエボラで死亡し,エボラウイルスの存在に懐疑的な若者のグループが死者の遺体を強制的に回収しようと病院を襲撃したことが判明している.この襲撃は治安部隊が威嚇射撃で制圧された.
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/ebola-patients-flee-attacks-congo-health-facilities-hobbling-response-2026-05-25/
https://www.radiookapi.net/2026/05/25/actualite/sante/retour-au-calme-mungwalu-apres-des-tensions-autour-dun-deces-lie-ebola

WFPは,コンゴ民主共和国東部での救命活動継続に今後6カ月で1億7,500万ドル,イツリ州と感染影響コミュニティの14万6,000人超へのロジ・緊急食料支援に今後3カ月で2,300万ドルが必要と訴えた.
https://actualite.cd/2026/05/25/ebola-en-ituri-le-pam-renforce-en-urgence-son-dispositif-pour-eviter-une-catastrophe

▶︎5月26日(5/27追加)

コンゴ民主共和国では1,300人超の接触者が追跡できていない.
https://acp.cd/nation/ebola-en-rdc-plus-de-1-300-contacts-restent-hors-du-suivi-sanitaire-2/

ブニア検査室は累計431検体を受領し,290検体を分析,累計101陽性,累計陽性率34.8%
https://acp.cd/science-sante-environnement/plus-de-900-cas-suspects-debola-notifies-en-rdc/

米国政府は,エボラ曝露または高リスクの米国人向けにケニアで潜在的な隔離施設を運用する準備を進めており,ケニア側承認待ち
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/us-set-up-quarantine-facility-kenya-americans-exposed-ebola-wsj-reports-2026-05-26/

カナダは,エボラ流行影響地域からの渡航者に21日間の自己隔離を求め,コンゴ,南スーダン,ウガンダからの移民関連申請判断を90日間停止すると発表.措置は少なくとも8月29日まで
https://apnews.com/article/3bcc0b83620cbbe88e8b37726b60fd20

ウガンダからイタリアのロンバルディアへ渡航した2人の疑い例が隔離入院されたが,検査でエボラは陰性
https://www.ecdc.europa.eu/en/ebola-virus-disease-outbreak-democratic-republic-congo-and-uganda

▶︎5月27日(5/28追加)

ルワンパラのエボラ治療センターから今回のエボラ流行で初の治癒者が退院
https://actualite.cd/2026/05/27/ebolardc-une-premiere-personne-guerie-sort-du-centre-de-traitement-de-rwampara

コンゴ民主共和国保健相は,反政府組織AFC/M23支配地域ではエボラ対応が「不可能」とし,接触者追跡と医療アクセスのため人道回廊が必要だと警告
https://acp.cd/nation/ebola-roger-kamba-alerte-sur-une-riposte-impossible-dans-les-zones-occupees/

▶︎5月28日(5/29追加)

WHOは,国際エイズワクチンイニシアチブが開発しているrVSVブンディブンギョを最も有望なワクチン候補としつつ臨床試験開始まで7〜9カ月,オックスフォード大学とインド血清研究所が開発したワクチンChAdOx1ブンディブンギョは追加動物データ次第で2〜3カ月で試験可能であるとした.
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/who-urges-ebola-treatments-vaccines-be-tested-only-trials-amid-bundibugyo-2026-05-28/

▶︎5月29日(6/1追加)

CMEで4人の看護師・医療従事者系患者が回復し退院
https://7sur7.cd/2026/05/31/ebola-4-nouveaux-malades-gueris-en-ituri

▶︎5月30日(6/1追加)

コンゴ民主共和国は,ブニアでの流行を4〜6カ月で封じ込めまたは克服可能との見通しを示す
https://7sur7.cd/index.php/2026/05/31/rdc-le-ministre-de-la-sante-promet-de-vaincre-ebola-dici-4-6-mois

国境なき医師団は「宣言からこれほど早期にこれほど多くの症例を記録したエボラ流行はない」と警告し,対応が流行速度に追いついていないと述べた
https://actualite.cd/2026/05/30/ebolardc-jamais-une-epidemie-navait-enregistre-autant-de-cas-aussi-tot-alerte-msf

ザンビアで2例のエボラ疑いが発生したが,検査は陰性
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/zambia-says-two-suspected-ebola-cases-test-negative-steps-up-screening-2026-05-30/

▶︎5月31日(6/1追加)

ニャンクンデでは10人超の患者がいるうえ、同じトイレを他患者と共有し,食料不足で患者が地域に出るリスクが指摘される.
https://www.radiookapi.net/2026/05/31/actualite/sante/ebola-le-gouvernement-veut-offrir-une-prise-en-charge-holistique-aux

ブラジルでの2例のエボラ輸入疑い例について,検査は陰性と発表
https://www.gov.br/saude/pt-br/canais-de-atendimento/sala-de-imprensa/notas-a-imprensa/2026/atualizacao-da-investigacao-sobre-ebola

3.過去のコンゴ民主共和国エボラアウトブレイクとの比較

 これまでコンゴ民主共和国でのエボラアウトブレイクは17回に及ぶ.うち,病原型で最も近いのは2012年旧オリエンタル州イシロであり,地理・治安条件で最も近いのは2018〜2020年北キヴ州・イツリ州である.
https://www.cdc.gov/ebola/outbreaks/index.html
https://www.who.int/emergencies/situations/Ebola-2019-drc-
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602

 1976年ヤンブク流行では,318例,280死亡,CFR 88%が報告され,汚染された注射器・針の使用と密接接触が伝播に関与した.1995年キクウィト流行では,315例,死亡254,致命率81%が報告され,家族内・医療施設内伝播が大きな問題となった.この2つの事例は,医療施設内感染がエボラ流行を増幅し得ることを示す古典的な教訓である.
https://www.cdc.gov/ebola/outbreaks/index.html

2018〜2020年の北キヴ州・イツリ州流行は,コンゴ民主共和国史上最大であり,世界でも西アフリカ大流行に次ぐ規模であった.WHOは,この流行で,3,481例,死亡2,299例,接触者登録250,000例,220,000検体の検査,303,000人超へのワクチン接種,16,000人超の現地前線対応者の関与があったとしている.今回の規模はまだそこまで大きくないが,イツリ州,紛争影響,越境リスクという構造はこの流行と近い.
https://www.who.int/emergencies/situations/Ebola-2019-drc-

 2012年の旧オリエンタル州イシロ流行は今回と同じブンディブギョ型という点で最重要の比較対象である.CDCは,この流行を38検査確定例,死亡13,致命率34%としている.WHOの今回の文書では,2012年流行について59例,死亡34と記載しており,これは確定例とprobable例を含める集計の違いと考えられる.いずれにせよ,今回の疑い例・疑い死亡の規模は,確定前である点を差し引いても,2012年流行を上回る可能性がある.
https://www.cdc.gov/ebola/outbreaks/index.html
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602

4.現時点での対応

(1)コンゴ民主共和国政府の対応

 コンゴ民主共和国保健省は,2026年5月15日の公式宣言で,公衆衛生緊急オペレーションセンターのレベル1起動,技術・資金パートナーの動員,疫学・生物学的サーベイランス強化,疑い例・確定例の無料かつ包括的な治療と迅速かつ厳格な隔離,リスクコミュニケーションと地域関与の強化,迅速対応チームの即時展開を掲げている.
https://administration.sante.gouv.cd/wp-content/uploads/2026/05/Declaration-de-la-17e-Epidemie-de-la-maladie-a-virus-Ebola-dans-les-zones-de-sante-de-Rwampara-Mongwalu-et-Bunia-dans-la-province-dIturi.pdf

 同宣言は住民に対して,発熱,出血,吐血などを呈する人を直ちに通報すること,病人・死亡者・疑い例との身体接触を避けること,病気または死亡した動物を扱ったり食べたりしないこと,水と石けんまたは塩素水で手洗いすること,ブッシュミートを含む食品を十分加熱すること,医療チームと協力すること,緑の番号151へ連絡することを求めている.
https://administration.sante.gouv.cd/wp-content/uploads/2026/05/Declaration-de-la-17e-Epidemie-de-la-maladie-a-virus-Ebola-dans-les-zones-de-sante-de-Rwampara-Mongwalu-et-Bunia-dans-la-province-dIturi.pdf

(2)WHOの対応

 WHOは,症例管理,サーベイランス,検査,感染予防・管理,リスクコミュニケーション,地域関与,越境準備を支援している.WHOアフリカ地域事務所は,感染予防・管理資材,検体輸送資材,症例管理用品,テントなど5トンの物資をブニアへ空輸すると発表した.また,疫学,感染予防・管理,検査,臨床ケア,物流,リスクコミュニケーション,地域関与の専門家を追加動員している.
https://www.afro.who.int/countries/democratic-republic-of-congo/news/democratic-republic-congo-confirms-new-ebola-outbreak-who-scales-upsupport
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON602

 WHOは,発生国であるコンゴ民主共和国とウガンダに対し,国家緊急管理メカニズムと緊急オペレーションセンターの設置・強化,接触者追跡,感染予防・管理,リスクコミュニケーション,検査,症例管理,地域リーダー・宗教リーダー・伝統医療従事者を含む地域関与を勧告している.同時に,患者・疑い例・接触者については移動制限,21日間の監視,出国スクリーニングを求めているが,国境閉鎖や一般的な旅行・貿易制限は推奨していない.
https://www.who.int/news/item/17-05-2026-epidemic-of-ebola-disease-in-the-democratic-republic-of-the-congo-and-uganda-determined-a-public-health-emergency-of-international-concern

(3)アフリカCDCの対応

 アフリカCDCは,コンゴ民主共和国,ウガンダ,南スーダン,WHO,ユニセフ,米CDC,パンデミック基金,アフリカ医薬品庁などを含む地域調整を進めている.重点は,越境サーベイランス,警報管理,検査とシーケンス,感染予防・管理,症例管理,リスクコミュニケーション,安全で尊厳ある埋葬,接触者管理,物流,資源動員である.
https://africacdc.org/news-item/africa-cdc-calls-for-urgent-regional-coordination-following-ebola-virus-disease-outbreak-in-ituri-province-drc-and-imported-ebola-bundibugyo-case-reported-by-uganda/

(4)米国

 米国CDCは5月18日,エボラウイルス病の米国内流入を防ぐため,渡航者スクリーニング,監視,入国制限を実施したと発表した.具体的には,過去21日以内にコンゴ民主共和国,ウガンダ,または南スーダンに滞在していた非米国パスポート保持者に入国制限を課すとしている.一方で,米国国民/永住者,部の人道・法執行・公衆衛生上の例外,DHS承認プロセスで入国を認められる非市民などは対象外としている.命令は発出日から30日間有効である.
https://www.cdc.gov/ebola/situation-summary/index.html
https://www.cdc.gov/ebola/media/pdfs/2026/05/2026-05-18-Title-42-Order.pdf

 なお,トランプ政権は昨年4月末に,エボラなどを研究する米国国立衛生研究所(NIH)/米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)特定施設IRF-Frederickに対し,全実験作業・研究活動を一時停止するよう命じている.今回のアウトブレイクに際して,再稼働への言及はない.
https://www.wired.com/story/hhs-niaid-irf-ebola-disease-research-stop/

(5)欧州

 ECDCは,今回の状況に重大な不確実性はあるとしつつ,EU/EEA域内住民の感染可能性は5/19時点で非常に低い,EU/EEAからイトゥリ州に居住・渡航する人の感染可能性も低いと評価しており,入国制限は設けていない.英国も同様で,UKHSAは医療従事者・感染症専門家向けのリスク把握、帰国者・疑い例対応の枠組みは言及しているが,入国制限は設けていない.
https://www.ecdc.europa.eu/en/news-events/who-declares-ebola-outbreak-democratic-republic-congo-public-health-emergency
https://www.gov.uk/guidance/high-consequence-infectious-disease-country-specific-risk
https://www.gov.uk/guidance/ebola-and-marburg-haemorrhagic-fevers-outbreaks-and-case-locations

(6)日本

 内閣感染症危機管理統括庁は、5月18日に「エボラ出血熱に関する関係省庁対策会議(第1回)」を開催しており,厚労省・外務省・検疫・関係省庁での横断的な情報共有・対応確認は始まっている.
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ebola_hemorrhagic_fever_kankeishoutyou/index.html

 外務省は,WHOのPHEIC決定を受けて,コンゴ民主共和国とウガンダに対し「感染症危険情報レベル1:十分注意してください」を発出した.ただし,今回のアウトブレイク中心地であるコンゴ民主共和国イツリ州については,感染症とは別に,もともと治安面で「危険情報レベル4:退避してください.渡航は止めてください」が出ており,エボラ以前に行くべきでない地域扱いとなっている.
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2026C026.html

厚労省は5月18日に,JIHS評価では,主な発生地域がコンゴ民主共和国内でも首都から遠い紛争地域で,日本との直接往来が限定的であるため,日本での輸入症例発生や国内伝播の可能性は低い,一般市民が感染する蓋然性は低い,としている.
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001700900.pdf

検疫所では,ポスター掲示による注意喚起を行い,コンゴ民主共和国またはウガンダの感染発生地域への滞在歴がある場合などを健康監視対象とし,検疫所への健康状態報告を求めるなど必要な検疫対応を強化している.
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001700900.pdf

5.入国制限の温度差(5/22更新)

 今回のコンゴ民主共和国のエボラアウトブレイクで,世界の対応は,入国制限を課したのは隣接国のウガンダ,ルワンダ,そして米国,バーレーン,ヨルダンの5カ国に留まる.欧州や日本,その他の多くの国は入国制限をかけていない.WHOは発生国に出国スクリーニングを求めているが,他国による国境閉鎖や旅行・貿易制限については行わないよう勧告している.

(1)米国の措置

 前提として,米国CDCは米国内の一般リスクを「低い」と評価している.
https://www.cdc.gov/ebola/situation-summary/index.html

 その上で,発生経緯と地理的要因によりアウトブレイクの不確実性が高かったこと,ブンディブギョ型には承認済みの特異的ワクチン・治療薬がないこと,21日間の潜伏期間と症状ベースのスクリーニングの限界,監視・検査・隔離リソースの絞り込み,30日間の時間稼ぎ,という理由で入国制限という水際作戦を行なっており,一定の合理性はある.

 しかしながら,米国CDCはどういうわけか入国制限を国籍で区別している(これは,ルワンダ,バーレーン,ヨルダンも同様).当然ながら,エボラのリスクは国籍に依存せず,エボラの感染メカニズムに最適化されたものとは言い難い.Title 42という法的レバーもからんでおり,政治的シグナルとして,公衆衛生リスク管理を移民・国境管理の政治文脈に乗せて見せた措置,という方が近いかもしれない(中間選挙が近い).

(2)その他入国制限を課している国(5/22追加)

①ルワンダ
 コンゴ民主共和国の隣接国.ゴマ-ギセンイ/ルバヴ方面の主要国境の越境について,自国へ帰国するコンゴ人・ルワンダ人のみ通行可とし,それ以外は通行禁止
https://english.news.cn/20260518/c40dc5f105084bb49baf41fae3890968/c.html

②ウガンダ
 コンゴ民主共和国の隣接国.直行便を48時間以内に停止,コンゴ民主共和国との国境をまたぐ旅客輸送およびセムリキ川の公共旅客フェリーを4週間停止.貨物・必需品輸送は継続可
https://www.monitor.co.ug/uganda/news/national/uganda-halts-drc-border-travel-mass-gatherings-to-curb-ebola-threat-5468306

③バーレーン
 5/19から,コンゴ民主共和国,南スーダン,ウガンダからの到着者,および到着前30日以内にこれら3か国に滞在していた者で,非バーレーン国籍の者は入国制限対象.バーレーン国民は対象外.30日間の実施
https://gulfnews.com/world/gulf/bahrain/bahrain-suspends-entry-from-three-african-countries-over-ebola-concerns-1.500546311

④ヨルダン
 5/20から,コンゴ民主共和国,ウガンダからの到着者で非ヨルダン国籍の者は入国制限対象.ヨルダン国民は対象外.30日間の実施
https://petra.gov.jo/en/news/jordan-bans-entry-from-drc-and-uganda-over-ebola-concerns


(3)WHOの見解

 一方でWHOは,今回のエボラアウトブレイクに関して,「一般的な国境閉鎖や広範な渡航・貿易制限は非公式な越境を増やして感染拡大リスクを高め得る」として,入国制限に強く反対している.これは,エボラの感染特性,過去のアウトブレイク運用,国境地帯の人類学的研究,数理モデル,物流・人道支援への影響を組み合わせた公衆衛生上の判断である.

 まず,エボラはインフルエンザやCOVID-19のような呼吸器感染症とは違い,主に血液・体液への直接接触で感染し,症状が出る前には感染させない.潜伏期間は2〜21日で,流行制御の中心は,患者の隔離,接触者追跡,21日間の健康監視,安全な埋葬,医療施設での感染対策,コミュニティ関与である.つまり,理論上は全旅行者を広く止めるよりも,患者・疑い例・接触者を特定して移動を止めるほうが疫学的に合理性がある.
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/ebola-disease

 これは2014年の西アフリカ・エボラ流行時のIHR緊急委員会勧告とも一貫しており,WHOは当時も症例・接触者の国際渡航制限と出国スクリーニングは求めた一方,一般的な国際旅行・貿易禁止は不要とした.
https://www.who.int/news/item/08-08-2014-statement-on-the-1st-meeting-of-the-ihr-emergency-committee-on-the-2014-ebola-outbreak-in-west-africa

 数理モデル上も,エボラで広範な渡航制限の効果は限定的とされている.Otsukiらの2016年の後ろ向きモデリング研究では,2014年のエボラ渡航制限による輸入リスクの絶対リスク低下は1%未満,相対リスク低下はおおむね20%程度と推定され,世界的拡大を防ぐには不十分で,国際国境での制御よりも流行初期の現地制御が効率的だと結論づけている.
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371%2Fjournal.pone.0163418

 加えて,渡航禁止は見える渡航は防げても,かえって旅行歴の申告漏れ,第三国経由,待機,迂回を誘発し,隠れた非公式越境を増やし得ると指摘されており,また,渡航禁止措置により航空便のキャンセルや国境閉鎖で人道支援物資,PPE,食料の供給に遅れが生じた.
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/65/su/su6503a9.htm

6.日本国内への持ち込みリスク

(1)リスクと医療機関の心構え

 発生地域からして,現時点で日本へのエボラ持ち込みリスクは低く,市民レベルでの国内拡散リスクはもっと低い.しかしながら,今後コンゴ民主共和国から隣国への伝播や首都キンシャサでの伝播が広がれば,日本への流入のリスクは増す.

 検疫所は現地からの帰国者/訪日者の入国を止めるわけではないため,発生国に渡航歴のある体調不良患者が国内の医療機関を受診する可能性がある.その際にエボラリスクに対応する診療ができるかである.エボラの初期症状はインフルエンザ様,あるいは急性胃腸炎様であり,特異的症状に乏しいことから,症状から判断するのは実質不可能で,渡航歴が全てである.しかしながら「自分のところにはまさか来ないだろう」と思ったら知らない間に発生国からの渡航者が来院して日本の開業医が接触していた,というのが複数事例起こったのが2014年の西アフリカアウトブレイクである.

(2)参考となる文書・ガイドライン

 特定・第一種感染症指定医療機関ではない一般医療機関がやるべきことはエボラ診療ではなく,入口で止めることである.具体的には

  1. 発熱・消化器症状・出血傾向などがある患者に直近の渡航歴・曝露歴を確認する

  2. 疑う場合は,他患者と接触させず,動線を止める

  3. 自院で採血・迅速検査・画像検査などを進めない

  4. 管轄保健所へ直ちに連絡する

  5. 保健所・都道府県の判断で,特定または第一種感染症指定医療機関へ移送する

厚労省の標準フローでも,非指定医療機関での役割は「渡航歴・接触歴確認」「保健所への届出」「検体採取しない」に絞られている.

 発症から潜伏期間上限の21日以内にエボラ発生国に渡航歴がある患者への院内対応プロトコルを整えておく必要がある.2014年アウトブレイク時の「エボラ出血熱の国内発生を想定した対応について」が参考となる.この通知では,特定・第一種感染症指定医療機関以外では,発熱等の患者に渡航歴・接触歴を確認し,症状に加えて接触歴がある場合はエボラ出血熱疑似症患者として保健所へ届け出る,自院では検体採取しない,という流れが明記されている.
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000164704.pdf

「エボラ出血熱に対する個人防護具(暫定版) 医療従事者に関する個人防護具ガイドライン」もある.エボラ疑い患者に対応する医療従事者向けに,眼・鼻腔・口腔粘膜の防護,皮膚露出の低減,N95/DS2,フェイスシールド、防護具などの考え方が整理されている.
https://dcc.jihs.go.jp/prevention/topic/040/topic15.pdf

 また,致命率が高い感染症の疑い例に関してはマスコミ報道が過剰となりやすい.このため,医療機関はマスコミ対応策も検討きておく必要がある.少なくとも,医療機関職員がインタビューでベラベラ喋るようなことは絶対に避けなければならない.

(3)過去の教訓

 以下は2014年の西アフリカアウトブレイクの際の日本での教訓的な4事例を以下に示する.

①沖縄での事例

リベリアから退避勧告を受けて帰国後10日目に発熱で開業医を受診,渡航歴の自己申告はなく,医師からの渡航歴問診もなかった.薬剤処方して帰宅し,3日後に別の病院を受診して渡航歴判明.入院した病院ではマラリアの可能性が高かったとしてエボラ出血熱を想定した感染対策はしていなかった.最終的にマラリアの診断

教訓
- 患者は渡航歴を自己申告しないことがある
- 開業医にもエボラ出血熱疑い患者は来院しうるため,リスクがある期間は渡航歴を問診等で拾う必要がある
- エボラ出血熱が否定されるまではエボラ出血熱を想定した感染対策を行うことがリスクマネージメント上必要

②羽田空港での事例

リベリアに2か月間滞在歴のある男性が羽田空港で発熱がみられたため隔離入院.パニック回避のため厚労省は発表を控えていたが,マスコミが先に報道し,個人情報までが暴露される事態となり,厚労省が事後で公表.エボラウイルスは陰性

教訓
- マスコミによる申告者情報暴露は,発熱患者の善意の自己申告を妨げるものであり,リスクコミュニケーション上最悪であり,今後善意の自己申告者がいなくなることを意味する

③東京都町田での事例

リベリアから帰国し,検疫所から監視対象となる.4日後に発熱,感冒症状があり町田の診療所を受診するが,渡航歴の申告,問診なく帰宅.その後検疫所に自ら連絡するも一時は連絡とれず.最終的に隔離入院措置がとられる.エボラウイルスは陰性.

教訓
- 沖縄事例の教訓が活かせていない
- 全医療機関に発熱患者には渡航歴を問診するようにとする厚労省からの通知がでていたにもかかわらず認識されていない
- マスコミが診療所を特定し取材した.担当医が患者の個人情報をマスコミに暴露するという守秘義務違反

④関西国際空港での事例

関西国際空港でギニア人女性に発熱がみられたため隔離入院.マスコミが殺到し,救急車を取り囲んでシャッターをたき進路妨害,さらには搬送先で別の救急車まで撮影,エボラウイルスは陰性,マラリア検査陽性.

教訓
- マスコミ取材は常軌を逸するレベルに過熱することがあり,事前に敷地内立ち入りを禁止するなど事前取り決めが必要
- 疑い例時点で公表することで市民を安心させるとする行政の考えには根拠がなく,リスクコミュニケーション上は明らかに失敗である

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