見出し画像

シール活動という名の遠征〜母娘がボンドロを狩る雨の日〜

雨の日に、妻と娘が傘をさして出かけていった。目的地は玩具屋と本屋。お目当てはシールである。

シール活動、略してシルカツ。妻と娘が二人してハマっている。遠征して、戦利品を見せびらかしてくる。何百円かのシールに、ここまで人が動くのかと最初は面食らった。

ボンドロという主役

中心にあるのは「ボンボンドロップシール」。略してボンドロ。ぷっくり立体的で、つやつやしている。サンリオやポケモン、ちいかわとコラボして、入荷即完売の争奪戦になっている。本物はなかなか手に入らない。

どれだけのものか。報道では2026年2月末時点で累計出荷数が2100万枚を超えたという。何百円のシールが、ここまで刷られている。ロフトが一時的に売るのをやめ、高額転売も横行した。子どもの遊び道具が、いつのまにか大人の市場バトルに変わっている。

我が家にあるのは類似品が多い。それでも結構きれいだ。ファイルが五冊ほどある。妻と娘、それぞれに。誰が原資を出しているのかとは思うが、言わない。

穴場を狩る

二人の遠征には流儀がある。大型店はとっくに買い占められているから、回るのは個人経営の玩具屋や、場末の本屋。SNSの情報網から外れた店ほど在庫が残っている。しかも棚に出ていないことがあって、店員に聞いて初めて奥から出てくるらしい。

店を回るこの行為には「シルパト」という呼び名まである。シールパトロールの略。趣味が独自の語彙を持ちはじめている。

ネットでポチるのとは違う。足で稼ぎ、聞き込みをして、雨でも出る。もはや狩猟採集に近い。

娘には娘の正義がある。先日は「友達が来るまでシールを確保しておくのはルール違反だ」と憤っていた。棚は早い者勝ち、友達のぶんまでキープするのは他の人の機会を奪う、という理屈らしい。本気でやっている証拠だ。

ブームの主役は小学生だけではない。平成の頃に女児だった世代、いまのOLたちも夢中になっている。妻はちょうどその世代だ。だから根が深い。

来年のことは言わない

正直なところ、来年にはゴミになっているかもしれないと思う。一過性のブームか、新しい文化か、まだ誰にも分からない。コレクションものの末路として、押し入れの肥やしになる未来は普通にある。

ファイル五冊ぶんの出費も、父としては黙って見ている。配当は資産では戻ってこない。別の形で戻ってくる。

シールそのものに価値があるわけではない。妻と娘が同じものに夢中になって、作戦を立てて、戦利品で盛り上がる。母娘で共有できる何かがある。思春期が近づくほど、それは貴重になっていく。シールの値段はゼロになっても、この時間だけは二度と再現できない。

昨日も雨の中、二人で店を回っていた。父としては、微笑ましい。


読んでいただきありがとうございました。
コメント、記事購入、チップ等いつもありがとうございます。
大変感謝しております。
関連記事もありますので、下記サイトマップを参照していただければ幸いです。

いいなと思ったら応援しよう!

とある地方都市の某外科医 よろしければ応援お願いします!チップはnote更新用のPC購入費用に当てる予定です。よろしく!

この記事が参加している募集