AV新法問題:「保護」が招いた地下化と現場の疲弊 〜見直し放置が続く無責任な立法〜
2022年6月に施行されたAV新法。被害者救済を掲げて全会一致で成立した法律が、3年半経った今、深刻な副作用を生んでいます。
弁護士JPの報道によると、法律で守られるはずだった出演者や業界全体に過度な負担をかけ、結果的に違法な領域への地下化を招いている状況が明らかになってきました。
しかも、法律自体に明記された「施行後2年での見直し」という約束は、1年半も期限を過ぎた今も完全に放置されています。
何が問題だったのか
異例づくしの立法プロセス
この法律、実は制定過程が異常でした。
通常、法律を作る際には、規制を受ける側の意見も丁寧に聞きます。しかしAV新法は、出演者や制作事業者といった当事者の声を直接聞かないまま、わずか3か月で成立しました。
元経済産業省の官僚は、こう断言しています。
「普通は法律作る前に、関係者が一堂に介して会議して、骨子の段階で意見募集して、業界団体に事前説明してQ&Aを数百問作って、国会質問で揉んで、周知説明会やって法律執行する。AV新法はそういう手続き全部ふっとばしてるから中身がゴミ&ザルな上に執行に支障をきたすのは当たり前」
立法技術の基本を無視した、前例のないスピード制定だったわけです。
過剰すぎる規制内容
実際の規制内容も、業界の実態とかけ離れていました。
「1か月・4か月ルール」というものがあります。契約から撮影まで1か月、撮影から公表まで4か月空けなければならない。つまり最低5か月は作品を出せません。
これが新人だけでなく、何度も出演している経験豊富な女優にも例外なく適用されます。活動期間が短いAV女優にとって、5か月の空白期間は致命的です。
さらに「1年間の無条件解除権」も異例です。
出演者は公表後1年間、理由なく契約を解除できます。通常のクーリング・オフは10日から20日程度。それと比べると50倍以上の期間です。
制作側からすれば、1か月・4か月ルールと合わせて1年5か月も法的に不安定な状況が続きます。当然、新人の起用は慎重にならざるを得ません。
AND綜合法律事務所の平裕介弁護士は、こう指摘します。
「立法者側がAV出演者やAV製作に関係する仕事を憲法に定める『職業』としてではなく、出演者を『保護の対象』としてしか見ていないのではないか」
「保護」が招いた地下化
過剰な規制が何を生んだのか。
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