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中国大使館「サンフランシスコ条約は無効」宣言が完全に自爆している件

高市早苗首相が国会で台湾の法的地位について答弁したところ、中国大使館が猛烈に噛みついてきました。新華社通信まで動員して「歴史への無知」と批判しているのですが、その内容があまりにも論理破綻していて各方面から総ツッコミを受けています。

発端は高市首相の国会答弁

高市首相は11月26日の党首討論で、台湾について「非政府間の実務関係を維持している。サンフランシスコ平和条約で全ての権限を放棄しており、台湾の法的地位を認定する立場にはない」と述べました。

これは「台湾地位未定論」と呼ばれる立場で、日本政府の従来からの見解をそのまま説明したものです。SF条約で日本は台湾の権利を放棄したが、どこに帰属するかは明記されていない。だから日本としては台湾の法的地位について判断する立場にない、という論理です。

中国側の猛反発

ところが中国はこれに激昂しました。駐日大使館はX(旧Twitter)の公式アカウントで、SF条約は「不法かつ無効」だと主張。

新華社通信も「日本の『台湾地位未定論』は歴史への無知と現実に対する誤判断」と題した論評を配信し、高市首相を「歴史修正主義」と批判しました。

中国側の主張を整理するとこうなります。SF条約は中国やソ連など主要戦勝国を排除した「単独講和」であり、1942年の連合国共同宣言で禁じられた「敵国との単独講和」に違反している。国連憲章にも反している。カイロ宣言とポツダム宣言こそが国際法上有効な文書であり、これらは台湾の中国返還を定めている。だからSF条約の台湾に関する内容は無効である——と。

一見もっともらしく聞こえるかもしれません。しかしこの主張、穴だらけなのです。

矛盾その1「じゃあ台湾は日本領ですね」

ここが最大の笑いどころです。

SF条約で日本は台湾の権利を「放棄」しました。1952年のことです。では、これが無効だとしたらどうなるか。その前の下関条約(1895年)が生きてくるのです。下関条約では、清国が台湾を日本に「永久に割譲する」と定めています。

つまり中国大使館の論理に従えば、台湾は今も日本領ということになってしまう。

この矛盾に気づいた台湾のネットユーザーたちは大喜びです。「俺たち今日から日本人だ!」「パスポートなしで日本に行ける!」「台北帝国大学80年ぶり復活おめでとう!」「天皇陛下万歳」といった反応が相次ぎました。皮肉が効いています。

ちなみに新華社の論評では、下関条約を「不平等条約」と呼び、日本が台湾を「占領した」と表現しています。しかし不平等だろうが何だろうが、条約は条約。それを言い出したら、戦後の国際秩序の大半が「不平等」を含んでいます。

矛盾その2「カイロ宣言・ポツダム宣言の法的性質」

中国側は「カイロ宣言やポツダム宣言は国際法上の効力を有する」と主張していますが、ここにも問題があります。

カイロ宣言(1943年)は、米英中の首脳が発表した政治的な共同声明です。正式な条約ではなく、署名すらされていません。ポツダム宣言(1945年)も同様で、日本に降伏条件を示した宣言であり、領土の最終的な帰属を確定させる講和条約ではありません。

これらの宣言が示した方針を、法的に確定させたのがSF条約です。「宣言は有効だが条約は無効」という主張は、法的な順序が逆転しています。

矛盾その3「中国自身がSF条約の秩序に乗っかってきた」

中国側の主張には、もう一つ致命的な問題があります。中国自身がSF条約による戦後秩序を前提に外交を行ってきたという事実です。

中華民国は1952年の日華平和条約で、日本がSF条約において台湾の権利を放棄したことを明記しています。条約の文言には「日本国が千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名した平和条約に基き、台湾及び澎湖諸島並びに南沙諸島及び西沙諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄したことが承認される」とはっきり書いてある。

中華人民共和国も、1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約で、この枠組みを前提に日本との関係を築いてきました。1998年の日中共同宣言でも、日本側の台湾に関する立場を確認しています。

それだけではありません。中国が何十年も受け取ってきた日本からのODA(政府開発援助)も、この戦後秩序の枠組みの中で提供されたもの。「SF条約は無効だが、それに基づく恩恵は全部もらう」という理屈は通りません。

台湾や中国のネットユーザーからは「SF条約が無効なら、受け取ったODA全部返せよ」「とっくに紅い貴族の海外資産になってるだろうけど」という声も上がっています。

矛盾その4「法的根拠がそもそも存在しない」

大使館が主張する「連合国共同宣言違反」という論拠自体が、法的に成り立ちません。

1942年の連合国共同宣言は、戦時中の政治的な約束事です。戦後どのような形式で講和条約を結ぶべきかを法的に拘束する「上位規範」ではない。国際法の専門家からすれば、この主張自体が前提を誤っています。

そもそもSF条約には48カ国が署名しており、「単独講和」という表現自体が不正確。ソ連も会議には参加していて、署名を拒否しただけの話です。

矛盾その5「戦後秩序全体を否定することになる」

SF条約は戦後日本の国際的地位の基盤となった条約です。これを否定するということは、戦後の国際秩序全体を否定することを意味します。

中国の国連加盟も、常任理事国としての地位も、戦後秩序の上に成り立っている。ここを崩したら、中国にとって都合の良い部分だけ残すことはできません。

「じゃあ香港もイギリスに返還しないとね」という指摘も出ています。戦後秩序を否定するなら、当然そうなります。

新華社論評の「脅し文句」も空回り

新華社の論評は、最後に「台湾問題で火遊びをする者は必ず自らを焼くことになる」と警告しています。さらに日本統治時代の台湾における虐殺事件を列挙し、「日本の軍国主義者が台湾を狙うのは歴史の傷口に塩を塗るに等しい」と非難しています。

しかし高市首相の答弁は、日本政府の従来の立場を述べただけのもの。「台湾は中国の一部ではない」と主張したわけでも、「台湾独立を支持する」と言ったわけでもありません。法的に判断する立場にない、と言っただけです。

これに対して「軍国主義の復活」「歴史修正主義」と騒ぎ立てるのは、明らかに過剰反応。むしろ中国側が台湾問題でいかに神経質になっているかを示しています。

当の大使館は気づいていない様子

ここまで論理破綻した主張をしておきながら、中国大使館のXアカウントはその後も平然と通常営業を続けています。重慶のパンダ動画、観光PR、「私の目に映る中国」コンテストの紹介。炎上していることに気づいていないのか、あるいは「なかったこと」にしているのか。

呉江浩大使に至っては、1998年の日中共同宣言を持ち出して日本の「約束違反」を批判しています。その1998年宣言もSF条約による戦後秩序を前提としているのですが、そこには触れない。矛盾を重ねています。

おそらく本国からの指示で慌てて出した

推測ですが、本国から「高市首相に反論せよ」という指示が飛んできて、法的な整合性を検討する暇もなく感情的な声明を出してしまったのでしょう。新華社まで動員して大々的に批判しているあたり、かなり本気で怒っているようです。

しかし結果として、自らの立場を掘り崩す壮大な自爆となりました。外交文書としては相当に稚拙な内容です。

まとめ

台湾のネットユーザーが書いた「中国はもう何もしゃべらない方がいい」というコメントが、この件を最も的確に表現しています。感情的に反発した結果、かえって藪蛇になる。外交において最もやってはいけないパターンを、中国大使館は見事にやらかしました。

SF条約の有効性は国際的に確立しており、中国がいくら「無効だ」と叫んでも現実は変わりません。むしろこの発言によって、中国の台湾に対する主張の法的根拠の弱さが改めて露呈した格好です。

それにしても、パンダ動画を上げている場合ではないと思うのですが。



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