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Google量子チップWillow〜30年の壁が崩れた日

Xで「Googleがマルチバースを証明した」という話が広まっている。Google Quantum AIの創設者Hartmut Neven氏が公式ブログで「並行宇宙で計算が行われている」と書いたからです。

あの発言は余計だった。物理学者たちも批判しています。マルチバースの話はどうでもいい。本当の話はそこじゃない。


量子コンピュータの宿命

量子ビットは極めて繊細です。わずかな熱や振動で情報が壊れる。量子ビットを増やせば増やすほど、エラーが蓄積していく。10個より100個、100個より1000個の方が不安定になる。

スケールすると壊れる。

これが量子コンピュータの宿命でした。理論上はすごい。でも実用化できない。1995年にPeter Shorがエラー訂正理論を発表してから、世界中の研究者がこの壁に挑んできた。誰も超えられなかった。

エラー訂正には「閾値」があります。ハードウェアの精度、冷却技術、エラー訂正符号の設計。すべてが一定の水準を超えて初めて、エラー訂正が「壊れるより速く直せる」状態になる。どれか一つでも欠けたらダメ。量子ビットの寿命が足りなくてもダメ。ゲート操作の精度が低くてもダメ。すべての要素が同時に閾値を超える必要があった。

だから30年かかった。

Willowが起こした逆転

Willowでは、量子ビットを増やすほどエラー率が下がりました。

3×3のグリッドから5×5へ。5×5から7×7へ。スケールアップするたびに、エラー率が半分になっていく。増やすほど安定する。常識の逆です。

これを「閾値以下(below threshold)」と呼ぶ。エラー訂正が十分に機能して、拡張しても壊れなくなる領域。30年間、誰も到達できなかった場所に、ようやく足を踏み入れた。

量子コンピュータ開発はGoogle、IBM、Microsoft、Amazonが競っています。IBMは「Condor」で1,000量子ビット超を達成したが、エラー訂正ではなく「エラー緩和」というアプローチ。MicrosoftはMajorana 1チップで「トポロジカル量子ビット」という独自路線を取る。そもそもエラーが起きにくい構造を目指している。Amazonは2025年2月にOcelotチップを発表し、エラー訂正効率を従来比90%改善したと主張しました。

各社アプローチは違う。ただ、「閾値以下」を実証したのはGoogleが初めてです。スケーリング問題を正面突破したのはWillowだけ。

Sycamoreから6年

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