外科医療確保特別加算、脳外科は続けるか〜消化器外科が作った型〜
2026年度改定で「外科医療確保特別加算」が新設されました。7月の日本消化器外科学会総会には、日医常任理事、厚労省医療課長、財務省主計官、救急医出身の国会議員が同じ壇上に並びました。加算を生んだ顔ぶれが、生んだ経緯を自分たちで語る場でした。
二十年の型
学会理事長の調憲氏は、この加算を「20年来の悲願」と表現しました。2007年から働きかけて一度も動かず、先達に「もうやめた方がいい」とまで言われたそうです。
動いた理由は精神論ではありません。医師総数が増え続ける中で消化器外科医だけが20年で1割減ったという反証不能なデータ、NCDによる手術成績の可視化、そして厚労省側の条件を全部飲んだこと。医療課長の林修一郎氏は講演で、診療科ごとに給与が同じという慣行、見て盗め文化、年長者への服従を並べ、組織文化ごと変えろと迫っています。点数をくれという要求は2012年改定でも2014年改定でも通っていて、それでも外科医は増えなかった。だから今回は、集約化への合意に加え、加算額の30%以上を医師個人への手当として支給するという設計を組み込んで、ようやく成立した取引でした。学会側はさらに踏み込み、加算の80%以上を医師に還元すべきだという声が理事長級から出ています。
政治側の動きも具体的でした。救急医出身の衆議院議員、福田徹氏は「政治というメスを使って医療をする」と語り、国会の予算委員会では外科医の確実な減少と、集約化された施設の手術成績という2つのデータだけで待遇改善と集約化を訴えたと明かしています。データ2点と翻訳者1人。通った理由を分解すると、意外なほど部品は少ない。
僕ら外科系の人間が見るべきは、加算の点数ではなく、この取引の型だと思います。
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