AI失業は本当か NY連銀が名指しした意外な犯人
AI失業は本当か NY連銀が名指しした意外な犯人
テレビの情報番組が「AI台頭で世界で雇用不安」という特集を組んでいました。イギリスのニートが101万人。元グーグルCEOの卒業式スピーチに繰り返されたブーイング。インドでは失業中の若者が架空の政党を立ち上げ、フォロワーが与党公式の2倍を超えた。AIが若者の仕事を奪う、という筋書きで素材が束ねられています。
このインドの件、発端は最高裁長官が失業中の若者を「害虫」と揶揄した失言です。AIとの因果は薄いまま、「若者の怒り」枠で特集に編入されていました。束ね方からして雑です。そして番組の着地は「日本は少子化だから売り手市場が続き、影響は起きにくい」。不安を煽って専門家の安心で締める、情報番組のテンプレートそのものでした。
同じ日のYahoo!ニュースに、正反対の見出しが載っていました。「若者の失業率上昇の原因はAIではない」。出どころはニューヨーク連銀です。
テレビは引用しませんでした。
連銀の分析
2026年6月1日、NY連銀の研究ブログLiberty Street Economicsに掲載された報告を読みました。執筆はNY連銀のエコノミストとバージニア大、ハーバード大の経済学者の3名です。
数字から確認します。アメリカの29歳未満の大卒失業率は、2017〜19年平均の3.1%から2022〜25年には3.7%へ、20%上昇しました。同じ期間、経験のある大卒は1.9%から1.8%へむしろ微減しています。新卒に絞るとさらに悪い。22〜27歳の大卒失業率は2025年3月に5.8%と、パンデミック期を除けば2013年以来の高さを記録し、2026年3月時点でも5.6%と高止まりしたままです。労働者全体の平均を上回る状態が続いています。割を食ったのは若手だけ、という構図です。
犯人としてAIを疑うのが世間の相場ですが、連銀の結論は違いました。若年大卒の失業増加の64%はリモートワークで説明できる、というのがこの報告の推計です。
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