Xのアルゴリズムが変わった〜初速神話の終わりと遅延バズの構造〜(追記あり2026/05/17)
別で運用しているアカウントで、少し前から気になっていることがある。
2日前に投稿したポストが、昨日1日でインプレッションが倍になった。投稿直後の反応は控えめだったのに、時間差で火がついた形だ。同時に「全体的に初速が落ちている」という感覚もある。
矛盾しているようで、実はこれ、同じ原因から来ている。
【2026年5月16日 追記】
2026年5月15日、xAIがアルゴリズムの最新版をGitHubで再公開した([xai-org/x-algorithm](https://github.com/xai-org/x-algorithm))。本稿で書いた構造に変更はないが、公式READMEの記述に合わせて1点だけ訂正しておく。
本文中「19種類のエンゲージメント行動を予測」と書いたが、公式READMEの Predictions セクションで明示されているのは15種類(favorite, reply, repost, quote, click, profile_click, video_view, photo_expand, share, dwell, follow_author, not_interested, block_author, mute_author, report)。負のシグナル(not_interested, block, mute, report)が独立で予測されている点、dwell(滞在時間)が独立で予測されている点は本稿の説明通り。
あわせて、今回の公開で「Phoenix(Grokベースの推薦Transformer)」がモデル名として公式に明記された。「初速より質、連投より密度」という本稿の結論は変わらない。
アルゴリズムが何を変えたか
Xは2023年にアルゴリズムの一部をオープンソースで公開した(xai-org/x-algorithm)。Musk買収後の「ブラックボックス批判」への対応として公開されたもので、直近のコミットは2026年1月。現在も更新が続いている。
このコードの中に「Author Diversity Scorer」という仕組みが実装されている。
役割はシンプルで、同じ投稿者のポストが1人のフィードに繰り返し表示されないよう、指数関数的にスコアを減衰させるというものだ。コード上の式はこうなっている。
multiplier = (1.0 - floor) * decay_factor^position + floorpositionは「同一作者のポストが何件目か」を示す。
1件目:フルスコア
2件目:≈50〜60%に減衰(近似値)
3件目以降:さらに低下。ただし floor(下限値)があるのでゼロにはならない
目的は「1アカウントがタイムラインを独占しないようにする」こと。連投すると後続のポストが推薦されにくくなる、という体感は、このスコアが原因だ。ではなぜ、同時に「遅延バズ」も増えているのか。
初速が落ちた理由
Author Diversity Scorerだけが原因ではないが、連投習慣があるアカウントほど影響を受けやすい。同じ日に複数投稿すれば、2件目以降のポストは最初からスコアが半減した状態でスタートする。当然、初速は出ない。
さらに大きな変化がある。
以前は「投稿後30分〜1時間の反応が勝負」という設計だった。初速がなければそのまま埋もれる。フォロワー数がリーチに直結していた時代の話だ。
今は違う。Xの推薦エンジン(Phoenix)は、1つの投稿に対して19種類のエンゲージメント行動を同時に予測し、それぞれに重みをかけてスコアを算出している。
この19種類が面白い。大きく3グループに分かれる。
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