岡田紗佳さん勝訴の裁判が映し出す「訴えられ損」の現実 〜麻雀プロへの一般論で訴訟を起こされた話〜
プロ雀士でタレントの岡田紗佳さんが、見知らぬ男性から訴えられた裁判で勝訴しました。訴えの内容があまりに不可解で、SNSでも困惑の声が広がっています。勝訴したとはいえ、この裁判には日本の民事訴訟制度が抱える根深い問題が見え隠れしています。
「点数計算できないプロは辞めろ」発言の真相
事の発端は2019年10月のYouTube配信でした。岡田さんは「点数計算できない麻雀プロは襟を正すか、辞めていただくか」と発言。これはプロ雀士全般に向けた職業倫理の話であり、特定の誰かを名指ししたものではありません。
ところが、この発言を見た男性が「精神的苦痛を受けた」として慰謝料30万円を請求。2024年10月、大宮簡易裁判所は「特定の個人に向けられたものではなく、社会通念上許される限度を超えた違法なものとはいえない」として請求を棄却しました。
原告男性の主張がおかしい
この裁判、掘り下げるほど首をかしげたくなります。
まず原告は「2025年に岡田さんがそのような発言をした」と主張しましたが、裁判所は証拠が認められないと判断。実際の発言は2019年のものでした。発言の時期すら把握できていないのです。
さらに、岡田さんの代理人弁護士によれば、原告と岡田さんには面識がないとのこと。「原告が、なぜ自身が非難されていると考えてしまったのかはわかりません」というコメントが、この裁判の不可解さを物語っています。
麻雀プロに向けた一般論を、なぜ見ず知らずの人物が「自分への攻撃」と受け取ったのか。その思考回路は外部からは理解しがたいものがあります。
「関係妄想」に近い構造
診断を下すことはできませんが、今回の原告の思考パターンには、精神医学でいう「関係妄想」と類似した構造が見られます。
関係妄想とは、周囲で起こっている出来事や他者の言動が、すべて自分に関係していると思い込む妄想のこと。テレビのニュースが自分に向けたメッセージだと感じたり、他者の笑い声が自分の悪口だと解釈したりする症状です。
今回のケースでは、不特定多数に向けた一般論を「自分への攻撃」と認識し、面識がない相手から狙われていると確信し、その確信に基づいて訴訟という行動を起こしています。
もちろん、単なる被害者意識の肥大化や、訴訟を通じて有名人と接点を持ちたいという動機など、様々な可能性が混在しています。外からは判別できません。ただ、このような「思い込み」による訴訟は、制度的に防ぐ手段がないのが現状です。
「点数計算できないプロ」は本当にいるのか
SNSでは「そもそも点数計算できないプロって存在するのか」という疑問も飛び交いました。
麻雀の点数計算は自己申告制です。和了(あがり)したら自分で点数を宣言しなければなりません。オーラスで「あと3900点必要」という場面で、その条件を満たす手を作れるかどうかは勝敗を左右します。点数がわからなければ、そもそも勝負にならないのです。
「野球のルールがわからないプロ野球選手みたいなもの」という例えがXで見られましたが、まさにその通りでしょう。
麻雀プロ団体の入会基準はバラバラ
日本には主要な麻雀プロ団体が5つ存在します。日本プロ麻雀連盟、最高位戦日本プロ麻雀協会、日本プロ麻雀協会、RMU、麻将連合の5団体です。これらは独立して運営されており、統一された基準はありません。
多くの団体では筆記試験、面接、実技の3科目でプロテストを実施しています。筆記試験には点数計算の問題が含まれるのが一般的です。日本プロ麻雀連盟のホームページには11年分の過去問が公開されており、点数計算は基本的な出題範囲となっています。
一方で、麻将連合のように「プロ認定」に厳格な2段階方式を採用し、試験に受かっただけではプロを名乗れない団体もあります。
元プロ雀士の証言として「見た目の良い人はスカウト的に入れることがある」という話もあり、団体や時期によっては入会基準が緩いケースがあったのかもしれません。ただし、主要団体の正規のプロテストでは、点数計算は必須の技能として求められています。
勝訴しても「負け」という現実 〜具体的な数字で見る非対称性〜
ここから先は
よろしければ応援お願いします!チップはnote更新用のPC購入費用に当てる予定です。よろしく!
