作品紹介『恋毒スーサイド』(文:鹿森千世)
こんにちは、ドロップス書房の鹿森です。
こちらの「ドロップス書房作品集」マガジンでは、すでに発行したアンソロジーを振り返って紹介していこうと思います。
ドロップス初のアンソロジーは『恋毒スーサイド』。2023年5月の発行なので、もはや懐かしいというか記憶薄れかけてる感じ(老化)ですが、頑張って思い出しながら書いてみます。

『恋毒スーサイド』を振り返る。
若く(別に若くはない)、未熟だった(今も未熟ではある)あの頃――
アンソロジーを書くのも、物理的に本を作るのも、文学フリマに出店するのもすべてが初めてだったけれど、やる気だけはマンマンだったあの頃の私(今もやる気マンマンです)。当時を懐かしく振り返れば、ほろ苦く甘酸っぱい失敗ばかり(失敗は今もだね!)←
とりあえず私がドロップスの首謀者なので、最初のアンソロのテーマはやる気過剰の私が先陣を切って決めました。
ずばり、「毒草」を使って「心中」するダークでお耽美な恋愛短編集です。
(お耽美バンザイ!背徳バンザイ!エロス!ノワール!ダークサイド!フゥー!)
ドロップスのメンバーの持ち味はそれぞれに違うんですが、仄暗いエロの水脈(何それ)で繋がっている感じがあり、個性と統一感のバランスが抜群のメンバーだと自負しております。
そんなわけで、どの毒草で心中するかみんなでワクワク話し合いをしました。私は主催者権限により毒草ツートップのトリカブト・スズランを猛毒フライングゲット(?)。わかさんはトウアズキ、ウララさんはグロリオサ、Sassyさんはカロライナ・ジャスミンと耽美で毒々しいラインナップを揃えまして、各自心中してもらいました(生き残ったのはSassyさんだけです涙)。
鹿森、自作『スズランの葬送』について語る。
ちなみにわたくし鹿森が『恋毒』のために書いたのは『スズランの葬送』という、いかにもなお耽美タイトルの作品です。そもそもドロップスを立ち上げた前提として「好きなことやろう」という気持ちがありました。
昨今の創作界においては、文体がライトで、オチの分かりやすい、万人ウケするエンタメ作品が好まれ評価される傾向にあると思いますが、(連戦連敗無名無冠の)私の心は(連戦連敗無名無冠の)現状に抗うべく、こう声をあげたのです。
流行りなど知らん。
オチとかウケとか要らん。
我がソウルのままに本を書いて売らん!嗚呼、素晴らしき哉!
こうして鹿森は、オチとかウケとか評価とかの一切を放棄し、過剰装飾ロココ文体(←命名自分)を駆使した宝塚風オトナの暗黒童話エロを書くことを心に誓ったのです。
登場人物は毒草の雫ちゃん。主人公は、自分の美しさを過剰に自覚した意識高い系女子の成れの果て、スズランの雫・メリル。心中のお相手は、ビジュアルはパープルロン毛のオスカル様、紳士なのはうわべだけのトリカブト戦士・ウェズレル様。最恐の毒性を持つ美しいふたりの暗黒逃避行……みたいな感じでやろうと思いました。
というわけで、オチとかウケとか要らんわ!と啖呵を切って暗黒ロココをやりだした鹿森ですが、書いてる途中でふと我に返りました。
(……やっぱ物語にはひとひねり必要では?)
ひねりも何もない過剰ロココ文体の何が面白いねん。はい、さっそく信念が揺らぎました。
難しいよねぇ創作って。書きたいものと書けるもの。求めているものと求められているもの。私の面白いは誰かの面白いになっているのかな。なんて答え求めても得られないアンサー(ラップ風)。
読んでもらうからにはやっぱ面白いって思われたいじゃん?
そんなわけで、悩みながらグチャグチャ捏ね回した結果がこんな感じですどうぞ。面白くなったかどうかはぜひ読んで確かめてみてくださいね(営業だよ!恋毒まだ在庫あるよ!加減分かんなくて70部も刷っちゃったからッ!涙)。
収録作品について紹介するよ!
それではメンバーの作品をご紹介〜!
Sassyさん作『時間停止恋人』
カロライナ・ジャスミンの絡まる電話ボックスではじまるワケありの女の子と不器用な男の子のお話です。女の子の閉じこもっているその電話ボックスというのが、自分を閉じ込める檻でもありながら避難所でもあるような、生と死の境目にある不思議な聖域なんですよね。Sassyさんはそういう小物使いがとっても得意な作家さんで、Sassyさんの独特のセンスがキラリと光る部分です。
春野わかさん作『とうあずき姫』
わかさんの十八番とも言える荘厳で妖艶な文体で描かれた幻想時代小説です。美貌の迷い丸が迷い込んだ屋敷に暮らす若い姫君は平安時代版サロメというかもはやサロメ超え(?)。迷い丸の罪深き正体と、果てなき宿業に繋がれたふたりの過去が明らかになっていく怒涛の展開は圧巻の一言! わかさんはライトなものから重厚な文芸作品まで器用に文体と作風を使い分けるドロップスの誇る文豪です。
菖蒲ウララさん作『朽ち草へ』
ホタル狩りに出かける友人グループに紛れる、幼馴染の、若く、歪な関係――ウララ文学を特徴づけるのは、やはり豊富な知識教養に裏付けされた言葉選びのセンスでしょうか。その精査して選び抜かれた言葉の底は、たぶん私が理解しているより遥かに深いはず(不勉強なばかりにその深みを味わい尽くせておらず無念)。そして心の奥底に潜む悪意や闇を白日の下に晒し続けるウララ文学を、我々は敬意を持ってドスン文学と呼んでおります(笑)。

ちなみに表紙絵へのこだわり!
イラストレーターのNatsuki Sumitani様に描き下ろしていただいた美麗な表紙もぜひ物語とともにご堪能くださいませ。美女の周りをかこむ花々は、それぞれの物語に登場する毒草になっております。

ご購入はこちらから!
ドロップス書房、はじまりのアンソロジー『恋毒スーサイド』は、BOOTH(通販サイト)か文学フリマ会場にてお求めいただけます。まだまだ在庫ありまーす、17冊も(笑)。
