庭に充満する煙草の煙
隣のご主人は、車とバイクに心酔している。休日はもっぱらメンテナンスに明け暮れ、時折、エンジンの調子を確かめるように回転数を上げる。その爆音は、こちらの平穏を切り裂くほどだった。
あまりの騒音に、ある日私は意を決して告げた。
「◯◯さん、少し音を控えてもらえないだろうか……」
幸い、彼にも自覚はあったらしい。それ以降、派手な空ぶかしは止んだ。
だが、音が消えたことで、別の問題が浮き彫りになった。 彼はヘビースモーカーだったのだ。
バイクをいじる傍らで、あるいは手持ち無沙汰な時間に、彼は駐車場で煙草をくゆらす。おそらく自宅では禁煙を強いられているのだろう。
私は煙草を吸わない。その匂いも受け付けない。 少し閉鎖的な我が家の庭には、逃げ場のない煙が蔓延する。気がつけば、大切にしているシャツにまで匂いが染み付いている。
自宅で吸わせてもらえないから、外で吸う。だが、考えてみてほしい。
家族が嫌なことは、他人も嫌なのだ。
庭には今、薔薇が咲き誇っている。 隣人がいない時、そこには甘く清らかな香りが漂う。
もうすぐサツキも満開を迎え、芝生の絨毯とともに、庭は一年で最も鮮やかな季節を迎えるはずだ。 この美しい空気の中に、煙草の匂いさえなければ……。
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