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慶應義塾大学法学部 英語を完全支配する戦略的学習法―データが示す『やるべきこと』と『やらなくていいこと』

はじめに

このガイドは、慶應義塾大学の法学部を目指す受験生の皆さんが、英語の入試問題について正確な情報を得て、効果的な対策を立てるために作成されました。皆さんが普段使っている参考書や、塾・予備校で得られる情報ももちろん大切ですが、このガイドが他と違う点は、情報源を「過去の入試問題そのもの」だけに絞っていることです。

ここで分析するのは、現在の形式に変更となった2020年度から2025年度までの6年分の実際の入試問題です。インターネット上の評判やうわさなどを一切参考にせず、問題用紙に書かれていることだけをじっくりと読み解くことで、

「慶應法学部の英語で高得点をとるためにはどのような勉強をすればいいのか」
「慶應法学部は受験生にどのような英語力を求めているのか」

という問いに、客観的に答えることを目指しています。

このガイドは、三つの章で構成されています。

  • 第1章では、試験全体の基本的な情報と、合格するためにどんな力が必要なのか、その全体像を説明します。

  • 第2章では、大問ⅠからⅤまで、一つ一つの大問がどのような問題で、何を試そうとしているのかを、具体的な例を挙げながら詳しく見ていきます。

  • 第3章では、それらの分析を踏まえて、合格レベルの力を身につけるための具体的な勉強法を提案します。

  • 第4章では、慶應法学部の英語にたどり着くまでに、効果的なチェックポイントとなる「過去問ルート」を提案します。

このガイドを読むことで、皆さんが慶應法学部の英語に対して持っている漠然としたイメージが、明確な目標と具体的な計画に変わる手助けができれば幸いです。



第1章:慶應法学部 英語の全体像

1-1. 試験の基本情報:問題の数、時間、そして求められること

まず、試験の基本的な情報を確認しましょう。慶應法学部の英語は、ここ数年、大問5題という構成で一貫しています。試験時間は80分です。問題の数は全部で50問から60問ほどあります。長文問題の英語の量を合計すると、毎年2,000語を超える、かなりのボリュームになります。

単純に計算すると、1問あたりに使える時間は2分程度しかありません。これは、問題文を読んで、英文の中から答えの根拠となる部分を探し出し、正しい選択肢を選ぶ、という一連の作業を、非常にスピーディに進める必要があることを意味します。ただ速く読めれば良いというわけではなく、問われていることに合わせて、じっくり読むべき部分と、速く読み流す部分を見極める「正確さ」も同じくらい重要になります。

1-2. 問題の難しさについて:単語、文の構造、テーマ

慶應法学部の英語が難しいと言われる理由は、主に三つの点にあります。

  • 単語: 使われている英単語のレベルが、一般的な大学受験で必要とされる範囲を大きく超えています。例えば、obviate(不要にする)や incongruous(不釣り合いな)といった、英語のネイティブスピーカーでも教養のある人でなければあまり使わないような難しい単語が、意味の注釈なしで文章中に出てきます。これらの単語を知っているか、推測できるかどうかが、文章を正確に理解できるかに直接関わってきます。

  • 文の構造: 一つ一つの文が長く、複雑な構造をしていることがよくあります。例えば、一つの文の中に小さな文がいくつも埋め込まれていたり、主語と動詞の間に長い説明が挟まっていたりします。文の骨組み(誰が・何が、どうした)を素早く見抜く力がなければ、文の正確な意味を捉えることが難しくなります。

  • テーマ: 長文問題で扱われるテーマは、大学で学ぶような専門的な内容が中心です。例えば、「メディアと社会の関係」「現代社会における差別問題」「芸術とは何か」「フェイクニュース問題」といった、社会科学や人文科学と呼ばれる学問分野のテーマが多く見られます。これらのテーマについて、普段から少しでも関心を持っていると、文章の背景が理解しやすくなり、読解の助けになることがあります。

1-3. 合格に必要な三つの力

以上の特徴から、慶應法学部に合格するためには、特に以下の三つの力が必要だと考えられます。

  • 力①:語彙力と文法力(基礎知識)
    これは、難しい単語を知っていることや、複雑な文の構造を正確に理解できる力です。すべての力の土台となる、最も基本的な部分です。

  • 力②:内容を正確に読み取る力(読解力)
    これは、文章に書かれている情報を、そのまま正しく理解する力です。筆者が何を伝えようとしているのか、その中心的な主張や具体例を正確に読み取る能力を指します。

  • 力③:書かれていないことを考える力(思考力)
    これは、文章に直接書かれていることだけを手がかりに、一歩進んで「なぜ筆者はこう言っているのだろうか」「この事実から何が言えるだろうか」と考える力です。文章の裏にある意図を推測したり、バラバラの情報を論理的に組み立て直したりする能力を指します。

1-4. 出題の割合:どの力がどれくらい試されるか

2020年度から2025年度までの6年分の全問題(約300問)を分析し、上で述べた三つの力と、その他の知識がどれくらいの割合で試されているかを調べてみました。

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