誰も喜ばない賢さで食っていくつもりかい?って話
あんたは自分の仕事に、誇りってやつを持っているかい?
俺自身も経験したわけじゃないが、終身雇用ってのがほとんど看板だけになってきているこの時代にさ、「この仕事に一生をかける」なんて腹をくくるのは、もはや一種の才能だと思うんだ。
ただでさえジョブ型だなんだと言って、社内の人間をパーツみたいに配置換えしていくやり方に、日本全体がゆっくりと流れていってる気がする。
今回は、そんな仕事に誇りを持てないと思っているあんたに、あんたの可能性ってやつを一緒に考えてみる回だ。
ちっと、自分を棚卸ししてみようぜ。
褒められなくなったオッサンたち
会社で与えられた仕事をこなして、それで先輩に褒めてもらう。
多分、最初はそれで十分だったんだよな。
「よくやったな」「助かったよ」
そんな一言で、「ああ、自分はここにいていいんだ」って実感できた。
……いや、今でもそれで十分なのかもしれない。
ただ、オッサンともなると話が変わってくる。
年数を重ねるほど、「できるのが当たり前」と思われるシーンが増えていく。
社内政治、面倒な事務処理の前の根回し、上司巻き込み、他部署への根回し。
自分の歩く道を、自分で切り開くことができたと思えた瞬間があっても、それを誰かがいちいち褒めてくれるわけじゃない。
なんなら、叱ってももらえない。
「ああ、俺はいま、この会社の中で“空気みたいな存在”になってるのかもな」
そんなふうに思ったことはないかい?
会社の中で評価されないなら、会社の外で自分の力を試したくなるもんだろ?
「社内でしか通用しないやり方」以外で、自分の力ってやつを一度見る。
その魅力に俺は抗えなかった。 俺の場合はそれが中国輸入だった。
これだって思ったんだよ。
俺は、まず“仕組み”から始めた
中国輸入を最初に始めた時の俺は、無我夢中だった。
何しろ、「仕組み化しないことには始まらない」ってんで、いきなり仕組みづくりから入っていった。
損益計算書の前段階になる、損益分岐点ってやつを自動で見分けるための仕組みを、ExcelとAccessを組み合わせて作ったりもした。
仕入れ値、送料、手数料、想定販売価格。
それらを放り込んだら、「この条件ならどれくらい売れれば黒字になるか」を自動で弾き出してくれるツールだ。
※あれ、上手く整えてやれば、もしかしたらそれ単体で売れたかもしれないな。
まあ、実際は突貫工事で作ったから、拡張性もへったくれもない代物だったけどな。
それでも、そのときの俺は確かにワクワクしていた。
「ああ、こうやって仕組みを組んでいけば、会社の外でも自分の頭で戦えるかもしれない」ってさ。
中国輸入でも、俺は“仕組みづくり”から入った。
だからこそ余計に、「他の商売のやり方はどういうのがあるんだろう?」って興味が湧いてきたんだ。
そこから、俺の情報商材買い漁り生活が始まる。
情報商材の沼と「俺は何になりたいんだ」問題
いざ調べてみると、あるわあるわ。
いわゆる「小手先の技」で儲ける方法が、これでもかってくらい出てくる。
メールを使ったファネルづくり。
メール1通ごとの反応で分岐させて、「この人には次はこの文章」「この人にはこのオファー」と枝分かれさせていき、最終的には50万クラスの商品を売るための“教育”をしていくやり方。
仕組みとしては、正直よくできていると思った。
ちゃんとやれば、確かに数字は出るんだろうな、とも感じた。
でも、その「ちゃんとやる」ってのは、
・膨大なメールを書く根気
・反応を見て枝分かれを増やしていく執念
・そして、最終的に50万払わせるに足る“何か”を作る覚悟
これ全部込みの話だ。
「マジでやらないと意味がない」世界だし、
その“何か”が、本当に誰かの役に立つものかどうかは、また別の話だ。
ノウハウを読み込めば読み込むほど、
「お客さま」の顔が見えないものばかりに思えてきた。
俺が求めていたのは、「お客さま」とちゃんと共感し合える仕事だったはずなんだ。
にもかかわらず、そこに書いてあるのは“反応率”“成約率”“単価”みたいな数字の話ばかり。
気づけば、俺の思考はどんどん迷路みたいになっていった。
「俺は一体、何になりたいんだ?」
仕組みを作るのは、確かに嫌いじゃない。
でも、「誰のための仕組みなのか」が分からないまま突き進むのは、どうにも気持ちが悪かった。
「小手先の技」の代表例
小手先の技にどんなのがあるんだって?
じゃあ、ひとつ具体例を出そうか。
有名どころだと、マルイの商品券の話がある。
今は公式には認められていないが、当時の仕組みはこうだ。
マルイのカードのキャッシングって、その日のうちに返せば利息がつかない。
ここでポイントなのが、「そのキャッシングの借金を、マルイの商品券で返せる」というマルイの仕様だった。
ここまで言えば、もう想像がつくだろ?
まず、金券ショップでマルイの商品券を、ありったけ買う。
そのあと、マルイカードのキャッシングで現金化して、速攻でマルイの商品券で返済する。
するとどうなるか。
金券ショップの「マルイ商品券の安売り分」だけ、差額として自分の懐に残るってスンポーだ。
一見すると、よくできた“スキーム”だ。
仕組みの穴を突いて、損もしないでちょっとだけ儲かる。
でもさ、これって、誰が喜ぶんだ?
マルイは損をする。
金券ショップは、本来想定してない回され方をされる。
そして、自分はただ「仕組みのスキマ」をかすめ取っただけの存在になる。
ホント、誰に対してもコバンザメよろしくおこぼれを頂戴しているだけ。
常に後ろ暗い気持ちになるのは想像に難くなかった。
こんなの、仕事って胸張れるか?
俺には、無理だった。
誰も喜ばない賢さと、“歯車”になる怖さ
マルイの商品券の話に限らずだ。
情報商材の世界には、「賢そうに見えるスキマの突き方」が山ほど転がっていた。
・規約の穴を突く
・アルゴリズムのクセを利用する
・人の不安や承認欲求を煽るコピーで刈り取る
どれも頭は使っている。
どれも“儲かる匂い”はする。
でも、そのどれもが俺の中の「誇り」や「スキ」とは、まったく噛み合っていなかった。
俺は、普段の仕事でもそうなんだけどさ。
一番力が出るのって、「共感してもらえたとき」なんだよ。
・「そうそう、そこ困ってたんだよ」って言われたとき
・「それ助かるわ」と、心から必要とされていると感じたとき
その瞬間だけは、
「ただ会社の歯車として動いているんじゃなくて、“俺だからこそ”ここにいる意味があるのかもしれない」
って思える。
逆に言うと、
「お客さまが損をするやり方」や、「顔の見えない誰かから、ただ数字だけかすめ取るやり方」は、どうしても俺の美学に反していた。
どれだけノウハウを読み漁っても、
どれだけ効率のいいやり方を知っても、
「これ、俺が胸張って“仕事です”って言えるか?」
って自分に問いかけると、どうしても首を縦に振れなかった。
それをやっていたら、
俺はきっと、会社の中で感じていた“歯車感”を、ただ別の場所に持ち運んでいるだけになってしまう。
そんな気がしたんだ。
「スキ」を大前提にするって、どういうことか
第一話でも話したけれど、
そもそも俺は途中から、「スキ」を完全に置き去りにしていた。
・権利問題
・競合
・在庫リスク
・情報商材のノウハウ
こういう現実的な要素が積み重なるうちに、
「自分のスキなんかどうでもいい。とにかく“売れるもの”を探さなきゃ」
っていうモードに入っていた。
そして、そこにさらに「小手先の技」が乗っかってきて、
俺はますます、自分が何者なのか分からなくなっていった。
けれど、マルイの商品券みたいな話に触れて、ハッキリしたことがある。
「誰も喜ばない賢さ」で儲けるのは、俺のやりたいことじゃない。
俺が本当にやりたいのは、
・自分の“仕組みづくり”のスキが活きて
・お客さまの顔がちゃんと見えて
・「それ助かる」と言ってもらえるようなやり方
そういう「スキ」と「誇り」と「誰かの得」が、ギリギリでもいいから重なる場所を探すことなんだろうな、って。
スキ=楽ができて楽しい。じゃねぇぞ?
スキってのは苦しみながら楽しめるってことだ。
じゃあ、「スキを大前提にする」って言葉は、
ただのキレイごとじゃなく、どうやって毎日の選択に結びついていくんだろうか。
あんたは、何を捨てて、何を拾う?
ここで話を急いでまとめて、
「だから、あんたは自分のスキを大事にしとけよ」って言うこともできる。
でも、それじゃあ、また同じ罠だ。
「スキを大事にする自分」という、
ちょっといいことを言っている自分に酔うだけで、
実際には何も変わらない。
俺が本当に知りたいのは、
・どこまでが「あんたのスキ」で
・どこからが「あんたが自分を騙す理屈」なのか
その境目だ。
そして、
「スキ」を大前提にするって言葉が、単なるスローガンじゃなくて、あんたの毎日の選択にどう結びついていくのか、ということだ。
例えばさ。
「お客さまが損をするやり方」は、どれだけ儲かりそうでもやめとく。
「うだうだ言わんでいいから、とりあえず青色申告してみる」みたいに、会社の外で自分の名前を名乗る一歩を踏み出してみる。
そういう、小さな「捨てる」と「拾う」の積み重ねが、
あんたのスキを大前提にした生き方に、ちょっとずつ近づけてくれるのかもしれない。
ちなみに青色申告とスキになんの関係があるんだって思ったか?
『青色申告』ってのは、ただの税金の手続きじゃない。国に対して『俺は個人で商売をしてます』って胸を張って宣言することだ。それが、会社の看板に頼らない第一歩になる。
要するにテメーで看板を背負うところから始めてみろよって話だ。
今回は、その入り口として、
俺の中国輸入と、小手先ノウハウとの距離感の話を、あんたに聞いてもらった。
なあ、あんたはどう思う?
あんたの「スキ」を大前提にする覚悟を決めるために、まず何を眺め直していこうか?
まず、あんたの「スキ」を形にしてみなよ。
あんたの仕事を少し楽にする仕組みづくりでもいい。
あんたがこだわって絵を描くでも良い。
それが、あんたの入口だ。
次回はそのスキの根っこにある体験の話の予定だ。
良ければ読んでやってくれよな。
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