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【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中真人編#14

あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?

今回もこの企画に乗っかってみようかね。

企画ページ本体はこっち。

前回のはコレ。
真人が圭子へプロポーズする物語。

で俺の持ちキャラはこいつ。
CV:大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判w

今回も息子の真人視点の物語だ。
真人はCV:梶裕貴で読んでみてくれよな。


不公平

「け、けっこん?」
またしても圭子はひらがなで話すように答えた。

「そう。結婚」
俺は真顔で答えた。
「今の俺には圭子を養っていけるほどの収入はない。
 でも、来年には仕事も出来るから、なんとか圭子を食わせるくらいは
 出来ると思ってる。っていうか、食わせる。
 ただ、学費となると、どうしたって原資が必要だ。
 幸い、俺には今ある程度自由になる金がある。
 だから……」

「ちょっと待って!」
圭子が叫ぶように俺を止める。

「おかしいよ。
 私たち会ってから一月もたってないんだよ?
 なんで、そんな覚悟ガンギマリになってんの?」

「ヒトを愛するのに時間なんて関係ないだろ?」
自分でビックリするくらい、キザなセリフが俺の口から漏れた。

「……不公平だよ」
圭子は絞り出すように言った。
「だって、私は真人の夢を聞いてないもん」

「夢?」
「そう、夢。真人がどうなりたいのかってこと、私聞いてない」

ホント、圭子はいつだって核心をついてくる。
地頭が良いってことなんだろう。
そうでもなきゃチームを纏めるなんで出来やしなかったんだろうとも思う。

それに比べて俺はあまりにも何も考えずに日々を過ごしてきた気がする。

「俺の夢は圭子が幸せになることだよ」
そんなことが口から出てしまうほどに。
俺は未熟だったんだ。

圭子は瞬時に反論する。
「違う!違うよ!!」

俺はビクリと体をすくませる。
眼の前の年下の女性に明らかに気圧されていた。

「来年から真人は働くんでしょ?
 それは真人の夢?
 ホントに働きたくて働くの?」

圭子は目に涙を浮かべながら俺に語りかけている。
ああ、このヒトを好きになれて良かった。
その時、改めて確信した。

「正直、ついこの間までは、ただ自分が生きるために働くんだって思ってた」
嘘偽りのない感覚を話す。
「でも圭子と出会って働く意味が変わったと思う。
 俺は今、圭子と生きるために働きたいと感じている」

「私は真人の夢を聞いてるのよ?」
「そう。つまり俺の夢は圭子と一緒にいることなんだ」

圭子は俯いて目を逸らした。
俺は圭子の頬を優しく包んで視線を合わせる。

「よく将来の夢は何?なんて俺たちは子どものころから聞かれ続けてきた。
 宇宙飛行士。ケーキ屋さん。色々言ってきたと思う。
 でもさ。
 働き方が人生の目標である必要は本来はないと思う。
 働く目的の方が俺たちには大切なんじゃないか?
 その目的が今、俺の目の前にいる」

その目の前の圭子の瞳には大粒の涙が滴っている。

「婚約指輪すら用意することが出来ないのが今の俺だ。
 でも、それでも。
 俺は圭子と一緒に夢を追いかけたい。
 いつだって、圭子は疾走り続けている。
 俺はそんな圭子の横に居たいんだ」

俺はある意味、圭子を尊敬しているんだと思う。
レールの上を疾走る俺とは違って、文字通りバイクで自由に行き先を決めている圭子にあこがれていたのかもしれない。

「私みたいなドロップアウトと一緒でいいの?」
圭子がグシャグシャになった表情で問いかける。
俺は半ば感情的にこう言った。

「圭子、良いか?
 二度と自分を卑下するようなことを言わないでくれ。
 俺が好きな圭子は疾走りつづけているヒトなんだ」

そして、俺は思い出した俺の好きな物語のセリフを言った。

「ねだるな。勝ち取れ。さすれば与えられん。
 今の圭子に俺は与えられていると俺は思うんだよ。
 だから、順番が逆だけれど俺も勝ち取りたい。
 圭子と一緒にいる未来を」

圭子はただ俺の胸の中で泣きじゃくっていた。

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参考にした話

#すっぱいチェリーたち
#歌えないオッサンのバラッド

勝ち取ったもの。
それは実は与えられているもの。
ヒトとの出会いなんてまさにそれだもんなぁ。

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