商店街が消えると、なぜ町全体が貧しくなるのか
あなたの地元の商店街を思い浮かべてほしい。
10年前と比べて、店の数は増えているだろうか。それとも減っているだろうか。
おそらく減っている。シャッターが増えた。あの定食屋がなくなった。文房具屋も、八百屋も、床屋も。気がつけば町の真ん中がコンビニ1軒になっていた。
「仕方ない。時代の流れだ」
そう言われてきた。でも本当にそうだろうか。
お金は「道」を通って流れる
経済を難しく考える必要はない。
お金は水と同じだ。水道管を通って家に届くように、お金も「道」を通って町に流れる。
あなたがランチに使った1000円を追いかけてみよう。
定食屋の売上になる。定食屋は食材を八百屋から買う。八百屋は農家から仕入れる。農家は肥料を買う。肥料屋は従業員に給料を払う。従業員はまた別の店で買い物をする。
1000円が、5つ・10つの「道」を通って町を循環する。
これが「売上の道」だ。
道が消えると、お金の流れが止まる
定食屋がなくなるとどうなるか。
1000円がその道を通れなくなる。八百屋への注文が減る。農家への仕入れが減る。給料が減る。買い物が減る。
1軒の閉店が、見えないところで5つ・10つの連鎖を止める。
これが商店街が消えた後に起きていることだ。「店が減った」のではなく「お金の道が消えた」のだ。
日本は1991年から2021年の30年間で、事業所の数が約482万から357万に減った。125万本の道が消えた。
失われた30年の正体は、ここにある。
銀行もお金を生まなくなる
もう一つ、見落とされている事実がある。
銀行は「預金を貸す」のではない。銀行は「貸すことでお金を生み出す」。これは日本銀行も認めている事実だ。
では銀行はいつお金を生み出すか。儲かっている会社に貸す時だ。
儲かっている会社とは何か。売上の道が太い会社だ。売上が成長していて、利益が出ていて、返済できる見通しがある会社だ。
逆に言うと、売上の道が細くなると、銀行は貸さなくなる。貸さないからお金が生まれない。お金が生まれないから投資も増えない。投資が増えないから新しい会社も生まれない。
売上の道が減る→銀行が貸さない→お金が生まれない→また道が減る。
この悪循環が、失われた30年を生み出した本当の構造だ。
補助金では道は増えない
「じゃあ国が補助金を出せばいい」
そう思うかもしれない。でも補助金には決定的な限界がある。
銀行が融資を判断する時、補助金は「売上」として見てくれない。補助金は「営業外収益」という特別な収入に分類されるからだ。銀行の審査基準は「本業の売上と利益」で判断する。補助金がいくら増えても、銀行の目には「この会社は本業で稼げていない」と映る。
補助金は会社を生かすことはできる。でも道を増やすことはできない。
道を増やすのは、売上だけだ。
では何が道を増やすのか
答えはシンプルだ。
新しい会社が生まれることだ。
インドでは過去30年で事業所数が2600万から6300万に増えた。同じ期間のGDP成長率は年率6〜8%。ベトナムは事業所数が3倍になり、経済成長率が6〜7%続いた。
日本が同じ30年でGDPがほぼゼロ成長だった理由は、円安でも少子化でもない。売上の道が125万本消えたからだ。
新しい会社が生まれやすい環境をつくること。そのために税負担を下げること。規制を減らすこと。失敗しても再挑戦できる仕組みをつくること。
これが経済政策の本質だ。
あなたの町の道は増えているか
経済は難しくない。
見るべきはたった一つ。売上の道が増えているかどうか。
あなたの町で新しい店が増えているか。若い人が商売を始めているか。潰れた跡地に新しい何かが生まれているか。
それが増えていれば、町は良くなる。減っていれば、静かに弱っていく。
GPDでも金融政策でもない。売上の道の数だけ見ればいい。
経済は、そんなにシンプルだ。
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