用語の定義でディスコミュニケーションを減らす
こんにちは。
税理士法人上坂会計 DXメンターチームの笹岡です。
皆さんの会社では、用語の定義は決まっていらっしゃいますか?
皆さんが仕事の中で当たり前に使っている用語。
もしかしたら、他の人にとっては同じ意味ではないかもしれません。
例えば、ビジネスの現場でよく耳にする「課題」という言葉。
皆さんは、どういう意味で使いますか?
「課題」という言葉を辞書で引くと、以下のような意味が載っています。
課題とは、解決するべき問題のこと。対処が必要な事柄であり、それへの対処を任務として負わされているような問題のこと。つまり、いわゆる「問題」のうち「対処する」「解決する」といった行動に重点が置かれている問題を指し示す表現。
辞書的にはこのような意味なのですが、課題という言葉も、使う人や使う文脈によって意味合いが変わることがあります。
例えば、業務改善という文脈。
業務改善とは、現時点での自社の既存業務を、より付加価値の高いものにしたい、もっと効率のよいものにしたい、と考えて取り組む改善のことを指します。この時、自社が取り組むべき「課題」を見つけ、それを解決するための方法を考える、という風に考えるかと思います。
ここでいう「課題」
どういう意味で使われていると思いますか?
業務改善を考える上で、まず考えなければならないことが2つあります。
「現在の業務」と「将来の(理想の)業務」です。
現在の業務は、そのまんま、現在の業務のやり方です。
業務改善をする必要があるということは、現在の業務には恐らく色々な問題点があるはずだ、という風に考えているはずです。それを見つけ出すためには、まず現在の業務をどのようにやっているかしっかり把握する必要があります。
その一方で、業務のあるべき姿、理想像も考えなければなりません。IT技術やデータを活用した業務改善を考えているなら、それらを業務に取り入れた結果、業務がどのように変わり、結果としてどのように業務の在り方になっているはずか、ということを将来の業務として整理しておく必要があります。
さて、ここで「現在の業務」と「将来の業務」が出てきました。
双方において、現時点でギャップがあるはずです。現在は業務をこういう風にやっているけど、こういうことができていないので、理想の業務の在り方になっていない、というギャップです。
このギャップこそが、業務改善という文脈においては課題と呼びます。
これを理解していない状態で、課題という言葉を用いて業務改善に取り組むと、思うように業務改善につながらないかもしれません。
なぜなら、課題という意味を、「現在の業務」と「将来の業務」のギャップである、という定義だと知っていれば、課題を見つけるためには「現在の業務」と「将来の業務」をまず整理しなければならない、という発想が出ますが、逆に知らなければ「現在の業務」と「将来の業務」を整理せずに業務改善を進めようとするかもしれません。
そうなると、ただなんとなく思いついて業務の問題点をいくつか挙げて、それを「課題」だと考えて業務改善に取り組むことになってしまうでしょう。それは、とても場当たり的な業務改善でしかなく、失敗する可能性も非常に高いでしょう。
業務改善に取り組む全員が、同じ意味で「課題」という言葉を用いて進めるからこそ、正しい業務改善となるのです。
他にも、プロジェクトマネジメントという文脈においても、「課題」という言葉が用いられます。
プロジェクトというのは、製品、サービス、業務改善といった何らかの目的を達成するために実行される、期限が設定されている業務のことを指し、プロジェクトマネジメントというのは、プロジェクトを予定通りに進行させていくための業務のことを指します。
プロジェクトマネジメントを上手く行っていくためのノウハウをまとめたPMBOK(ピンボック)という知識体系があるのですが、この中で「課題」の意味は、以下のように決められています。
問題となっているか、または係争中の要点や事柄あるいは、未解決か審議中、もしくは反対の見解や合意できないものがある要点や事柄
ちょっと分かりにくいかもしれませんが、要するに、プロジェクトマネジメントにおける課題とは「どうするか決まっていない(協議してこれから決める必要がある)タスク」のことです。
プロジェクトは前述の通り、期限が設定されている業務です。
なので、期限通りに業務を完了させなければなりません。そうなると、対応方法が決まっていない事柄については、関係者と相談しながら対応方法を決めなければ業務をそれ以上進められません。関係者が集まって協議するにも、予定を互いに調整する必要があり、ある程度日数を要するでしょう。そう考えると、プロジェクトを予定通り期限までに完了させられるかどうかを左右する重大なものであることが分かるかと思います。
これを理解せずに、課題を「現時点では出来ていないけど、自分が一人で考えれば解決できること、または手を動かせば完遂できること」と混同して捉えていると、プロジェクトの進行を左右する重大な課題を見逃したり、必要な報告相談が漏れる等して、結果そのプロジェクトが炎上することになってしまうのです。
以上のことから、プロジェクトマネジメントにおいても、関係者が課題の意味をちゃんと共有し、理解しておくことが重要であることが分かるかと思います。
このように、「課題」という言葉一つをとっても、色々な意味を持つことが分かっていただけたかと思います。
チームで仕事をする以上、メンバー間の業務における認識の齟齬は出来る限り無くすべきです。そのためには、業務の中で用いる用語は、ちゃんと統一して定義しておくことが重要です。
もし、用語の統一を行わずにこれまで業務をしてしまっているという方は、是非とも今後は取り組んでみられると良いと思います!
今回の記事が、少しでも皆さんのDXの理解に役立てば幸いです。
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