「AIを使え」と言わずに、AIを浸透させる方法。職場を変えた「成果の置き場所」の記録|社内に広がらない本当の理由【生成AI部下と上司の仕事日誌】Day15
「導入=活用」ではなかった
社内で、ChatGPTが解禁された。
・全社員にアカウント配布
・注意事項のPDF
・「自由に使ってください」というメール・ポータルでの周知
環境としては、たぶん完璧だった。
……はずだった。
気づけば、
使っているのは、いつもの数人だけ。
会議で聞こえてくるのは、こんな声。
「正直、何に使えばいいのか分からない」
「怖くて触れない」
「詳しい人だけのツールでしょ?」
AIは導入された。
でも、仕事には溶け込まなかった。
この連載は、実際に寄せられた相談の中から
「これは多い」と感じたテーマを取り上げています。
ひとりの失敗談ではなく、
現場のあるあるとして読んでもらえたら嬉しいです。
※このシリーズのまとめはコチラ!
よくある“止まり方”
この状態、だいたい次の形で止まります。
①「自由に使ってください」で止まる
マニュアルも、業務例もない。
現場の本音はこうです。
「で、私の仕事のどこに使うの?」
結果、
最初の週だけ触られて、
あとは誰もログインしなくなる。
② AIガチ勢だけが爆速になる
一部の人だけが、
・資料作成が速くなる
・メールが一瞬で終わる
その横で、こんな空気が生まれる。
「自分には無理」
「ついていけない」
AIは、
“できる人のオモチャ”になる。
③ 上司は「使え」と言うだけ
「AIを活用しろ」
「DXだ」
でも、その上司自身は、
・資料は手作業
・メールも手打ち
・AIは触らない
現場は思う。
「本気で使えって思ってないよね」
④ 怖くて触れなくなる
「機密情報は入れるな」
「必ず確認しろ」
「誤回答に注意」
正しい。
でも、伝わり方はこうなる。
「危ないから、触らないほうがいい」
⑤ 仕事と結びつかない
研修では、
・詩を書かせる
・雑談させる
・雑学を聞く
でも、
・経理の締め
・総務の文書
・現場の日報
とは、つながらない。
結果、
「すごいけど、私の仕事には関係ない」
になる。
正直に言います
最初、私はこう思っていました。
「便利なんだから、
ちゃんと説明すれば、みんな使うでしょ」
これが、最初の失敗でした。
「使ったほうがいいですよ」は、だいたい響かない
社内でAIが解禁されたあと、
私はわりと使っている側でした。
だから、つい言ってしまいました。
「これ、AI使うと早いですよ」
「まだ使ってないんですか?」
今思えば、
完全に“意識高い系ムーブ”でした。
結果はこうです。
「へぇ〜」
「すごいですね」
……でも誰も使わない。
空気は悪くない。
でも、行動は変わらない。
会議が終わったあと、
誰もツールを開いていない画面を見て、
なぜか少し、寂しくなりました。
そこで、方針を変えました
私は、
「広めよう」とするのをやめました。
代わりに、
自分の仕事を、ちゃんと楽にする
ことだけに集中しました。
やったことは、たった3つ
① 自分の仕事で、こっそり使う
・議事録の下書き
・社内メールのたたき
・説明文の整理
完璧に任せるのではなく、
・下書き
・たたき台
・考える前の整理
このレベルで使いました。
② 成果だけ出す(AIの話はしない)
言い方を変えました。
「AIで作りました!」
ではなく、
「先に整理しておきました」
「一瞬でできますよ」
ではなく、
「まとめておいたので確認お願いします」
AIの話はしない。
出すのは「結果」だけ。
③ “見える場所”に、そっと置いた
生成AIを自分の仕事で使った内容を、
・社内ポータルに
・簡単なメモつきで
そっと載せるようにしました。
社内ポータルに出した内容
難しいことは書きませんでした。
「この文章、こう聞くと出ます」
「議事録の下書きに使えます」
「この聞き方だと、要点だけ出ます」
いわば、
“AIの使い方”ではなく
“仕事の時短ネタ”
として出しました。
変化は、かなり地味に始まりました
ある日、同僚に聞かれました。
「それ、どうやって作ってるんですか?」
私はこう答えました。
「下書きだけ、AIに手伝ってもらってます」
すると、
「それ、ちょっと教えてもらっていいですか?」
が出てきました。
気づいたら、増えていた
そこからは、
1人 → 2人 → 1部署
という感じで、
じわじわ増えていきました。
さらに、
社内ポータルに
「こんな使い方がありました」
を載せ続けたことで、
「あれ見ました」
「真似してみました」
という声も増えていきました。
学んだこと
はっきり分かりました。
AIは「導入」しても、使われない
AIは「実感」されると、広がる
人は、
「便利ですよ」と言われても動かない
「それ、楽そうですね」で動く
「使いましょう」で広まらない
「どうやったんですか?」で広がる
最初の私は、間違っていました
私は、
「AIを広めよう」としていました。
でも実際に必要だったのは、
AIを広めることではなく、
“楽になった仕事”を見せること
でした。
今は、こう思っています
AI活用は、
研修
マニュアル
全社施策
よりも先に、
ひとりの現場の「楽」
から始まるのだと思います。
もし、あなたの職場でも…
「AI、導入したけど誰も使ってない」
なら、
まずはこれだけで十分です。
小さな一歩
・自分の仕事を1つ、AIで楽にする
・その成果を、「見える化」して、「使える化」にする。
・できれば「社内の見える場所」に置く
それだけで、
AIは
ツールから
文化に変わり始めます。
📣 次回予告
「便利だから…」が一番危ない。
社内でこっそりChatGPTを使っていたら、
ある日、上司にこう言われました。
「…で、どこまで入力した?」
ヒヤッとしたその瞬間。
それは“シャドーAI”という、
今どの職場にも起きている問題でした。
よかったら、
「これ、あるある…」と思った方は、
スキやコメントで教えてください。
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