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「資料作って」で失敗 AI指示の設計図不足|生成AI×マネジメント練習帳

「AIを使ってみたけど、うまくいかない」「部下への指示がなかなか伝わらない」と感じている方へ。
難しいAIの知識は不要です。この連載では、AIとの対話を通じて、マネジメント力を日常業務の中で自然に高めていくヒントをお届けします。



「AIが使えない」のではなく、指示が届いていなかった

前回の記事で、こんな話をしました。生成AIへの指示を見直したとき、そこには「いい感じにして」「適当にまとめておいて」という、驚くほど中身のない言葉が並んでいた、と。

今回は、もう少し踏み込んだ話をしたいと思います。
「曖昧な指示」が実際にどんな場面で起きているのか。

部下へのマネジメントとAIへの指示を並べてみると、驚くほど同じ構造で失敗が起きていることに気づきます。

5つの場面に整理してみました。

心当たりがあるものが、いくつあるか、ぜひ確かめながら読んでみてください。


場面① 「資料作っておいて」→ できあがりが全然違う

【部下への指示】
「あの案件の資料、作っておいて」——誰向けか、何を伝えたいのか、期限はいつか。そういった情報は一切なし。
部下は精一杯つくって持ってきますが、返ってきた言葉は「結論が見えない」「数字が足りない」。
そして改善指示は「もうちょっといい感じに」だけ。

【AIへの指示】
「このテーマで資料を作って」と入力しただけでは、AIは自分なりの構成でまとめてきます。
重要なポイントが削られても、それはAIのせいではありません。
目的も読者も伝えていなかっただけです。

【共通する問題】
部下もAIも、与えられた情報の範囲でしか動けません。
「察してほしい」という期待は、相手への負担でしかない。そう気づいてから、私の指示は少しずつ変わり始めました。


場面② 「いい感じでやって」→ 基準が頭の中にしかない

【部下への指示】
「企画案を、いい感じで整理して」——この「いい感じ」の基準は、上司の頭の中にしか存在しません。
部下は上司の顔色を想像しながらつくりますが、「整理しすぎ」か「雑すぎ」のどちらかに振れて、また修正が発生する。
この繰り返しに、部下が疲れていたことに、当時の私は気づいていませんでした。

【AIへの指示】
「この文章、いい感じに編集して」と伝えても、AIは一般的なトーンで編集してきます。
事業が大切にしているニュアンスや熱量は、言葉にして渡さない限り、伝わりません。

【共通する問題】
「良さ」を自分の中だけで定義したまま、相手に投げている。それが、すれ違いの正体でした。


場面③ 「後で見るから」→ 完了条件が決まっていない

【部下への指示】
「とりあえずここまでやっておいて、後で見直すから」。
どこまでやれば次に進めるのか、何をもって完成とするのか、明示がないまま仕事が走り出します。
部下はとりあえず「様子がつく」ラインで手を止め、上司の「後で」はそのまま忘れられる——。そんな経験、された方もいるのではないでしょうか。

【AIへの指示】
「どこまで判断していいか」が示されていなければ、AIは自分なりの区切りで止めてきます。
結局、人間が大部分をやり直すことになり、「二度手間だった」という不満だけが残る。でもそれは、完了条件を設計しなかった側の問題です。

【共通する問題】
「誰がどこまで判断するか」を最初に決める。それだけで、手戻りの量は驚くほど減ります。


場面④ 「君ならできるでしょ」→ 得意・不得意を無視した丸投げ

【部下への指示】
部下の経験や得意不得意を考えず、「全部任せるから」と丸投げする。
苦手な領域を押しつけられた部下は疲弊し、本来のパフォーマンスが出せなくなります。チーム全体の生産性も、じわじわと落ちていきます。

【AIへの指示】
「AIなら何でもできる」という思い込みも、まったく同じ構造です。
期待外れの結果が返ってくるたびに「AIは無駄だ」と評価しますが、そもそもAIが得意な「構造化」「要約」「選択肢の整理」といった役割を、人間側が設計できていないことが多いのです。

【共通する問題】
部下もAIも、向いている仕事と向いていない仕事があります。
その前提を理解したうえで役割を設計することが、マネジメントの本質だと、AIを使うようになってから改めて実感しています。


場面⑤ 「空気を読んで」→ 文脈を共有していない

【部下への指示】
「社内の空気を読んで動いて」「常識的に考えれば分かるから」——明文化されていない方針を前提にした指示は、部下を守りの姿勢に追い込みます。
失敗を恐れて安全なラインで終わらせるようになり、リスクを取った提案が生まれなくなる。
チームのイノベーションが止まるのは、実はこういうところからかもしれません。

【AIへの指示】
「今の会社方針を踏まえて案を出して」と伝えても、その方針をAIに共有していなければ、返ってくるのは一般的なベストプラクティスだけです。
「場の文脈」は、言葉にして渡さなければ伝わりません。

【共通する問題】
部下だって、共有されていなければ空気は読めません。
AIも、まったく同じです。


5つの場面に共通していること

ここまで読んでいただいて、気づいていただけたでしょうか。5つの失敗はすべて、根っこは一つです。

「指示の設計図を、描いていない」

ゴールは何か。どんな制約があるか。どんな形で出してほしいか。この3つが揃っていれば、部下もAIも、驚くほどスムーズに動きます。

逆に言えば、この3つが欠けた状態で「うまくいかない」と嘆くのは、地図を渡さずに「なぜ迷っているんだ」と怒るようなものです。

AIは、私たちの指示の曖昧さを、忖度なく映し出します。

だからこそ、AIへのプロンプトを磨く作業は、そのままマネジメントの練習になります。何度失敗しても、関係が壊れることはない。

これほど安全な練習台は、なかなかありません。


おわりに:あなたの「あるある」を教えてください

「場面④、めちゃくちゃ心当たりある」「場面②、部下にずっとやってたかも」——そんな気づきがあれば、ぜひコメントで教えていただけると嬉しいです。
自分の癖に気づいた瞬間が、変化の入口になります。

この連載は、AIを難しく語る場所ではありません。
AIとの対話を通じて、自分の働き方やマネジメントの癖を見つめ直し、少しずつ成長していくための場所にしたいと思っています。

「参考になった」と感じていただけたら、スキ と フォロー をいただけると大変励みになります。


#生成AI #AI活用 #プロンプト #マネジメント #仕事術

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