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AIに伝わらない指示は、部下にも伝わっていないかもしれない

生成AIを使い始めたころ、私はよくこう思っていました。

「なんで、そうなるんだろう」

こちらとしては、ちゃんと頼んだつもりでした。

この資料をまとめてほしい。
わかりやすく整理してほしい。
会議で使えるようにしてほしい。

そう指示したのに、返ってくる文章はどこかズレている。

丁寧だけど、ほしい答えではない。
きれいだけど、現場では使いにくい。
それっぽいけど、こちらが判断したかったことに答えていない。

最初は、AIがまだ使いにくいのかなと思っていました。

でも、何度かやり取りしているうちに、少し嫌なことに気づきました。

AIに伝わっていない指示は、もしかすると部下にも伝わっていないのではないか。


丁寧に説明したつもりでも、伝わらないことがある

仕事でも、同じようなことがあります。

部下やメンバーに、

「来週の会議に向けて、A案件の課題を整理しておいて」

とお願いする。

自分としては、必要なことを伝えたつもりです。
A案件のこともわかっている。
会議があることも伝えた。
課題を整理してほしいとも言った。

でも、返ってきたものを見ると、期待と違う。

課題は書いてある。
でも、判断したいことが見えない
リスクはある。
でも、優先順位がわからない
資料にはなっている。
でも、会議でそのまま使うには少し弱い

そのとき、つい思ってしまいます。

「あれだけ言ったのに」
「なんで伝わらないんだろう」
「もう少し考えてほしかった」

正直、私もそう思ったことがあります。

PMOとして進捗会議や課題管理を見る中でも、報告はあるのに状態が見えない場面は何度もありました。
言葉としては報告されている。
でも、次に何を判断すればいいのかが見えない。

ここ、ちょっと困るんですよね。

ただ、生成AIを使うようになってから、この見方が少し変わりました。

相手がわかっていないのではなく、
自分の指示が、相手が動ける形になっていなかったのではないか。

そう思うようになりました。

言葉を省くリスク。あなたの「いい感じ」は、部下にとってもAIにとっても最大の難問です。

AIの回答がズレるとき、自分の指示もだいたい曖昧だった

生成AIに雑に頼むと、雑な答えが返ってきます。

たとえば、

「この内容をわかりやすくまとめて」

とだけ頼む。

すると、AIはきれいにまとめてくれます。
でも、自分がほしかったものとはズレることがあります。

なぜなら、AIにはこちらの頭の中が見えていないからです。

何のために使うのか。
誰に見せるのか。
どの粒度が必要なのか。
何を判断したいのか。
どこまで踏み込んでほしいのか。

これを伝えていないのに、期待通りの答えを求めていた。

これは、少し耳が痛い話でした。

なぜなら、部下への指示でも同じことをしていたかもしれないからです。

「いい感じにまとめておいて」
「会議用に整理しておいて」
「必要そうなところを出しておいて」

言っている側の頭の中には、完成イメージがあります。

でも、受け取る側には見えていません。

だから、相手は自分なりに解釈して進めるしかない。
そして、その解釈がこちらと違ったときに、ズレが起きます。


Before / Afterで見ると、指示の違いがわかる

たとえば、こんな指示があります。

Before

「明日の会議に向けて、A案件の状況をまとめておいてください」

悪い指示ではありません。
でも、受け手は迷います。

進捗だけでいいのか。
課題も必要なのか。
リスクも入れるのか。
誰に見せるのか。
会議で何を判断したいのか。
どのくらいの粒度でまとめるのか。

ここが曖昧です。

これを少し直すと、こうなります。

After

「明日のA案件の会議で、今後の対応方針を決めたいです。現在の進捗、未完了タスク、発生している課題、判断が必要な点を1枚に整理してください。会議参加者が5分で状況を把握できる粒度にしたいので、詳細な経緯よりも、今判断すべきことを優先してください。今日の17時までに一度見せてもらえると助かります」

かなり印象が変わります。

文章がきれいになったから良い、という話ではありません。

相手が動きやすくなった。
ここが大事です。

指示の質とは、文章の美しさではなく、「相手が迷わず動ける情報量」で決まります。

指示は、長ければよいわけではありません。
ただ、最低限渡すべき情報があります。


指示で抜けやすい5つのこと

私が特に抜けやすいと思っているのは、この5つです。

  1. 目的

  2. 背景

  3. 成果物

  4. 期限

  5. 判断基準

たとえば、資料作成を頼むなら、

何のための資料なのか。
誰に見せる資料なのか。
どの形式でほしいのか。
いつまでに必要なのか。
何をもって「よい資料」と判断するのか。

ここがないと、相手は迷います。

これは、部下だけではありません。
生成AIも同じです。

目的がないと、一般的な回答になります。
背景がないと、こちらの状況に合いません。
成果物の指定がないと、形式がズレます。
期限や制約がないと、現実的な提案になりません。
判断基準がないと、何を優先すべきかわかりません。

つまり、AIに伝わらない指示は、人にも伝わりにくい。

この気づきは、私にとってかなり大きいものでした。

仕事を人に、あるいはAIに渡す前に、頭の中で10秒だけ点検したい「5つの引き出し」。

生成AIは、部下を管理する道具ではない

ここで間違えたくないのは、生成AIに部下を評価させたいわけではないということです。

部下の報告をAIに採点させる。
部下の仕事ぶりをAIに判断させる。
誰ができていて、誰ができていないかをAIに決めさせる。

私は、そういう使い方には慎重であるべきだと思っています。

現場には、文面だけでは見えない事情があります。
本人の経験値、業務負荷、過去の経緯、関係者との調整状況。

そういったものを無視して、AIの出力だけで人を判断するのは危うい。

でも、自分の指示を点検する相手として使うなら、生成AIはかなり役に立ちます。

部下に送る前の指示文を、AIに見せる。
そして、こう聞く。

「この指示で、受け手が迷いそうな点を教えてください」

これだけでも、自分では気づいていなかった曖昧さが見えてきます。

目的がない。
背景が足りない。
成果物の形が曖昧。
判断基準がない。
誰向けの資料なのかわからない。

AIに指摘されると、少し恥ずかしいこともあります。

でも、その恥ずかしさは、部下に渡す前に気づけたということでもあります。


まずは、この一文だけでも試せる

いきなり完璧なプロンプトを作る必要はありません。

次に誰かへ指示を出す前に、その文章を生成AIに貼って、こう聞いてみるだけでも十分です。

「この指示で、受け手が迷いそうな点を教えてください。目的・背景・成果物・期限・判断基準の観点で確認してください」

これだけです。

たとえば、あなたが書いた指示が、

「会議用に資料をまとめておいて」

だったとします。

AIに見せると、おそらくこういう不足を指摘してくれます。

何の会議なのか。
誰が見る資料なのか。
何を判断するための資料なのか。
何ページ程度なのか。
いつまでに必要なのか。
どの情報を優先するのか。

その指摘を見てから、指示を直す。

これだけでも、部下への伝わり方は変わります。


部下を変える前に、自分の指示を見える化する

部下に伝わらないとき、つい相手の理解力を見てしまいます。

もちろん、受け手側の経験値による差はあります。
具体的に伝えないと動きにくい人もいます。
それは現実としてあります。

ただ、そこで止まってしまうと、自分側の改善点が見えません。

本当に確認した方がいいのは、

「自分の指示は、相手が動ける形になっていたか」

だと思います。

これは、自分を責める話ではありません。

仕事に慣れている人ほど、前提を省略します。
頭の中で見えているものほど、言葉にしません。
「当然わかるはず」と思っていることほど、相手には見えていないことがあります。

だからこそ、一度外に出してみる。

生成AIに見せて、自分の指示の曖昧さを確認する。

それだけでも、手戻りやすれ違いは減らせるはずです。


指示のズレを減らすには、型がある

今回の記事では、生成AIを使って「自分の指示の曖昧さを見える化する」という考え方を整理しました。

ただ、実際に仕事で使うには、もう少し具体的な型が必要です。

どんなプロンプトでAIに確認するか。
指示文をどの観点で点検するか。
部下への依頼文をどう直すか。
管理職として、どこまでAIを使い、どこから自分で判断するか。

ここまで整理しておくと、日々の指示や依頼で使いやすくなります。

その実務で使えるプロンプト例やチェックリストは、👇でまとめています。

部下を変えようとする前に、まず自分の指示を見える化する。
生成AIは、そのための練習相手になります。

AIに任せるのではなく、AIと一緒に自分の指示を整える。

私は、この使い方が、管理職やPM、PMOにとって一番現場に合っていると思っています。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

もしこの記事を読んで、

「自分の指示も、一度AIに見せてみようかな」

と思っていただけたら、スキを押してもらえるとうれしいです。

この連載では、生成AIを「仕事の丸投げ先」ではなく、指示・資料作成・進捗確認を整える相手としてどう使うかを、自分の失敗や気づきも含めて書いていきます。

管理職・リーダー・プロジェクトを任されている方や、生成AIを実務に活かしたい方は、フォローしてもらえるとうれしいです。


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