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mirecat
ビット信号よ、静かに眠れ(蘇生試験)【毎週ショートショートnote】
「できることと、やっていいことは明確に区別しなければなりません。」
脳内に浮かぶ恩師にわかってるよ、と1人ごちながら、私は1台のPCに向き合った。私は消去データを復元する専門職、「復元士」を生業にしていて、最高位の一級を取るべく、今まさに試験の真っ最中である。
数々の試験を終え、残る試験はただ一問「故人のPCのデータを復元する」である。正直、拍子抜けするほど簡単だった。パスワードも予想の範疇だし、大したデータもない。もうあと少しでこのPCは蘇る。
そう思った矢先に恩師の言葉が頭の中に響き、猛然とキーボードを叩いていた手がとまった。故人が消したデータは蘇生させていいのか?データを消した、という意思は尊重されるべきではないか…。
結局、私はこの試験に復元するべきではない、と解答した。
その後、「一級復元士としての技能を認める」と簡素な免状が送られてきた。個人のデータは許可を得ず蘇生しない。復元士の職務倫理が最後に試されたのだった。
<所感>
ただの電気信号も積み重なれば生きた証。
以下のお題に参加しました。毎月ショートショートになってしまう…。
