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mitsukisora
春来りなば、夜遠からじ(夜桜系男子)【毎週ショートショートnote】
俺は桜が嫌いだ。
遠い昔、異邦の女は夜桜が好きだと抜かしやがった。
この国には夜がない。太陽が沈むと同時に第二太陽の日が昇る。
そんな国では、桜なんてどんちゃん騒ぎの口実以上の意味はない。
騒々しい能天気な連中を見ると俺は反吐がでる。
女の生まれ故郷では、太陽が沈むと夜、という時間帯になるそうだ。月とかいう光源で照らされる桜は幻想的で静謐で、美しいんだと。
それを語る女は寂しげでどこか遠くを見ていたな、と思い出しながら、俺は女の亡骸を桜の木の下に埋葬した。
なんの感情も抱かなかったが、夜桜というものはずっと俺の心の中にあった。
俺も夜桜を見たら、あの女の表情の意味がわかるのかと思った。
俺はずっと待った。第二太陽が自ら熱を発するのをやめ、夜がくるのをまった。
不思議と桜はずっと俺のそばで毎年咲いていた。
何も思い出せなくなるほどの時間がたったある夜、静かに夜桜がさいた。ざっと風が吹き、やっとあの女に会えるなと思った。
<所感>
いつか誰だったか、夜桜をずっと見ているともっていかれるよ、と言われました。あとは夢十夜のオマージュです。
以下の企画に参加しました。春は少しほろ苦い。
