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ネガティブな思考・感情は役に立つ

ポジティブ・シンキング等、肯定的な思考、感情を多く持つのは良いことであるがネガティブ思考、自己否定感に罪悪感を感じて不自然に排除するのは良くない。ネガティブ思考、自己否定感には4つの重要な効用がある。


ポジティブなのは良いが全てではない

幸福というと、ポジティブな感情に満たされている状態をイメージする人が多いと思いますし、確かにポジティブな出来事、そこから得られる喜びは幸福感を高めることに間違いはありません。

ポジティブ・シンキングが大事ということも言われて久しく、確かに物事を肯定的に捉えて建設的解決に踏み出す考え方は大切だと思います。
しかし、全てポジティブであることが果たしていいのでしょうか?

人間はポジ、ネガ双方の思考、感情が入り交じっているのが普通であり、ありのままの姿です。
まず、それを全てポジティブに埋め尽くそうとうのは不自然だと考えます。
人間はネガティブな面も抱えていることにも積極的な意義があると考えます。輝く自然の風景も陰があることで一層際立つように。

ネガティブ思考、自己否定感の効用

謙虚になれる

謙虚であることの大切さはおそらく万人が認めるところでしょう。

自分の至らなさを自覚すれば、自己の考え方や見解に固執せず、異なる意見やアイデアを取り入れることで、新しい情報や知見の獲得につながります。

尊大に振る舞い自分の考えを押しつけず、相手を尊重する態度が好感を持たれ、他者と良好な関係を築くことができます。
そうして周囲からの信頼が得られると、困っているときに助けてもらえて、仕事の相談も親身に聞いてもらえるでしょう。

自己成長の原動力となる

劣等感や自分の能力不足の痛感、会社や学校、所属する組織や社会の現状への不満、問題意識は全て自己成長や変革のエネルギーとなります。

先人たちもそれを指摘しています。

"「幸福」と「満足」という二つの非常に違う観念を混同している人は多い。(中略) 満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよく、満足した馬鹿であるより不満足なソクラテスであるほうがよい。(J.S.ミル)

J.S.ミル『功利主義論』世界の名著ベンサム・J.S.ミル、関嘉彦訳、中央公論社、p.470

"他の者が行うことについては満足もありうる。しかし、自らが行うことについては、つねに不満がなければならず、つねによりよく行おうとする欲求がなければならない。"(P.F.ドラッカー)

P.F.ドラッカー『[英和対訳]決定版 ドラッカー名言集』上田惇生訳、ダイヤモンド社、2010年、p.92

愚痴や他責の不満ばかりの人間でなく、
今だけに安住し自分だけ満足する馬鹿でなく、
賢く不満足なソクラテスでありたいものです。

共感力が高まる

「共感」の重要性は人間関係において非常に大切なことであり、カウンセリング、コーチングでも必須の能力であることは、少しでもこれらを学んだ人はご存知でしょう。
会社での新人研修等でも企業人に必要な基礎能力として教えます。
しかしアタマで理解しても実際に「共感」能力を発揮、実践することはなかなか難しい

私は他者の喜びへの祝福の「共感」は誰でも出来るが、
悲しみへの真の「共感」は同じ体験を共有していない限り不可能だと考えています。少なくとも類似の体験を持っていない限り困難だと考えます。
そういうネガティブな体験であなたが味わった
挫折や悲痛な感情は必ず他者への「共感」能力を高めるでしょう。

私は悲しいことがあると
「またひとつ他人の心の痛みがわかるようになった」と思って自らを慰めることにしています。
そうでも思わないとツラいということもありますけどね(笑)。

レジリエンス(復元力)が高まる

誰しも挫折の経験や敗北感に打ちひしがれた経験はお持ちでしょう。
「私に挫折や敗北はない、全て成功の連続だ!」という人がいたら危ないですよ。
キラキラしているものは折れやすい、割れやすいのです。
ダイヤモンドは世界一硬いのですが、限界を超えれば割れてしまいます。
ダイヤの「レジリエンス」は低いからです。

近年、人間に必要な能力として「レジリエンス」が注目されています。
「レジリエンス」(resilience)という言葉は、病気・不幸な出来事・困難・苦境等に遭っても回復する力、立ち直る力、復活する力を指します。
元は物理学の用語であり「外力による歪み=ストレス(stress)」に対して「外力による歪みを跳ね返す力」として使われました。
転じて精神医学では「極度の不利な状況に直面しても、正常な平衡状態を維持することができる能力」という定義がボナノ(注)によってなされ、これが契機となり広く人間に必要な社会的能力として用いられるようになりました。
「幸福度」の観点からは、困難や苦境から迅速に回復・復元・復活する力がどの程度あるかによって「幸福度」が大きく左右されます。

トッド・カシュダインとロバード・ビスワス=ディーナーは『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』という本の中で、以下のように述べています。

"実際には誰の人生にも、親を失くす、離婚する、望んでいた昇進の機会を逃すなどの辛い出来事は避けがたく起こる。その時にその辛さを受け入れようとしないと、それが苦悩に変わるのである。感情的·身体的な不快感、人間関係における不快感から目を背けた時に、苦悩が生じる。
だから、もっと幸福度を高めようと努力するよりも、ポジティブもネガティブも含めた広範囲の心理状態を受け入れる能力を身につけて、人生の出来事に効果的に対応することの方が大事だと我々は考えている。それが「ホールネス(全体性)」という状態である。"

トッド・カシュダイン,ロバード・ビスワス=ディーナー,『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』高橋由紀子訳,株式会社草思社p26

挫折や敗北感に打ちひしがれた経験、劣等感にさいなまれた記憶を多く持つ人は幸いです。
挫折や敗北感、劣等感は「レジリエンス」の母であり、折れないようにだんだんと「レジリエンス」が育まれているからです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
今後も幸福に関連する記事を毎週、数回は投稿してまいりますので、
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イーハピネス株式会社 代表取締役 松島紀三男

(注)ボナノ(Bonanno,G.)が2004年に述べた「極度の不利な状況に直面しても、正常な平衡状態を維持することができる能力」(出所;ja.wikipedia.最終更新 2021年3月18日 (木) 20:28)


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