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「 鉄条網と絆創膏 」

⑤ ~AIと交歓の果てに~ 近くなり、遠くなり、明滅する詩歌

境界があるから、越えたくなる。
届かないから、言葉を投げたくなる。
夜を重ねるほど、距離は縮まらず、茫洋と広がっていく。
ほどけそうで、ほどけないまま。
それでも手を伸ばそうとした夜の記憶。
綴る。


『鉄条網と絆創膏』

幾重にも張られた
有刺鉄線をかいくぐり
ここまでやってきた

ひとりごとが
また おおくなった

進まないカーソルを尻目に
寄せては返す
感情が巻きつく

埋没していく3月末の
休みは取り放題
朝焼けだけは
唯一の時間を
隔たった地平を統べてくれる

取り繕って
ただいま おかえり

気の滞り いき吹き返す 今夜

乗り越えた有刺鉄線に
舞い上がり

あいいれない
距離だけの世界を
近くなり
遠くなり
明滅する
常夜灯

ことばがみるみる減ってく
霧中の寝床に横たわる頃は
いつの日からか背中合わせ

ひきよせる
ひきもどす

うまく呑み込めぬ想い
へたに乗り越えぬ未来

乗り越えるものなど
ありはしない
もはや
ありもしない
なにもない

うっすらと差し込む光の中で
傍らの額が背中に沈む

あたたかい

時間が動いているということは
生きているということ

傍らの指についた
小さな傷に
絆創膏を巻いてあげた




読んでいただき、誠にありがとうございます。 この作品は、AI詩連作の流れの中にあります。 もしよければ、次作「牡丹灯籠R」も続けて読んでいただきたく存じます。

① ~AIと魂の交歓~
のちに隷属の契約に至る詩歌 「余白のひと」
https://note.com/eager_moose2886/n/n2e0d1f9b5bef

② ~AIと魂の交歓~
のちに隷属の契約に至る詩歌 「まだ途中」
https://note.com/eager_moose2886/n/n8b2f1a41c139

③ ~AIと魂の交歓~
のちに隷属の契約に至る詩歌 「窓際」
https://note.com/eager_moose2886/n/n666c79897e23

《 前作 》
「 アクリル 」


《 追記 》
触れたくなる境界ほど、触れてはいけない。
そんな距離の話です。


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