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失敗記その11 ロードレーサー

またやってしまった。自転車ごと池に突っ込んだのだ。
私は自転車が好きで3台持っている。普通のママチャリと、マウンテンバイクとロードレーサーだ。
このうちロードレーサーは息子が持っていて使わなくなったので貰い受けた。

 ロードレーサーは車道を自動車と競争しながら走るように設計された自転車で、早く走ることに特化した自転車だがハンドル捌きがとても難しい。
上半身を両腕で支えているので、腕はハンドル捌きと上半身の支えの両方をしなければならず、疲れてくるとハンドルをまともに操作できなくなる。
だからとても危険な自転車なのだが、私はドロップハンドルでロードレーサーに乗っているときがなんとも嬉しいのだ。
「見よ、風のごとく走ってるぞ!!!!!!」

 最近私は毎日のように近くの有吉公園で水泳をしているが、高々1.5km程度のこの場所までロードレーサーに乗って出かけていた。
途中で泉谷公園の曲がりくねった細い坂道を降りて池の周りを抜けなければならない。
なんとも危険な場所だがとうとう昨日この池にロードレーサーごと突っ込んでしまった。

 90度の曲がり角を曲がりきれずそのまま池に飛び込んだのだが、何か映画のスローモーションのような感じで池の表面が迫ってきて、気がついたら水中にひっくり返っていた。
「痛てー、自転車ごと池ポチャかい・・・・・・・・」

 幸い池の水深は30cm程度だが、底にひどくヘドロがたまっていて身体中ヘドロだらけの感じだ
あわてて自転車を池から引き上げ、自分も池からはい上がったが見ると顔も身体も何か真っ黒だ。

 近くに親子がいたがわざと私のほうを見ないようにしていた。何か見てはいけないものを見てしまったという雰囲気だ。

 幸いに近くに水道があったのでパンツ一枚になって体中に水をかけた。
よく見ると足と肩の皮が破れて血がにじみ出ている。
水をかけるとしみるが傷口から破傷風菌が入ったら大変なのでジャブジャブ傷口のヘドロを落とした。
「しかし、情けない。自転車で池に飛び込むなんてこれがもうすぐ66歳(今から14年前のこと)になる老人のすることだろうか・・・・」自分ながら呆れてしまった。こんな細い坂道を急角度で曲がるのはロードレーサーには本来無理だ。
わかっていながらそうしたのだから自業自得と言うものだ。
すりむいただけでなく肩がひどく痛む。
すっかり水泳をする気持ちがなえてしまって家に帰って消毒して傷口にカットバンを貼った。

 あまりに愚かしいのでかみさんには内緒で傷の手当をしておいたが、夜傷口が破れて敷布が血だらけになっていた。
「パパさんこれどうしたの?敷布が血だらけよ」かみさんにばれてしまった。

 もう近くのプールに行くときはロードレーサーをやめて今はママチャリにしている。
本当は老人らしく静かに生きるべきなのだが、昨年はマウンテンバイクから放り出され、今年はロードレーサーで池に飛び込んだ。
これで生きているのが不思議なくらいだ。

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