3分でわかる!カルバペネム耐性腸内細菌とは の巻?
僕の持論に「カルディは絶対に僕にコーヒーをくれない」というのがあります。あの人達、僕が店に入るときはコーヒーを用意するふりをして、僕が離れたら配りだすんですよ。めっちゃ買い物してるのにこの扱い。なんか内規でもあるんですかね?
カルつながりでカルバペネム。今日はその話。
3分て言ってんのにいきなり無駄話からスタート。
カルバペネム耐性腸内細菌目細菌、略してCRE。クレアチニンと同じ略語だからどっちが本家なのかと、餃子のチェーン店みたいな関係。
CREはとにかく「まずい耐性菌らしい」「感染対策が必要らしい」という印象がありますが、知識がないのに怖いという感情だけ先行すると差別偏見が始まります。逃げるは恥だし役にも立たない。
CREって何が悪いの??
まずCREは、ざっくり言えば「カルバペネムが効きにくい腸内細菌目細菌たち」です。一人じゃないです、大腸菌、クレブシエラ、エンテロバクターなどのうちで、メロペネムなどのカルバペネム系抗菌薬が効きにくいもの。
耐性菌ってのは要するに、鍵を差してもドアが開かないてことで「開かない」という結果です。でも鍵穴も理由もいろいろあります。
今回のCREはカルバペネムという鍵を使って菌が壊せない。それは鍵穴が錆びているのか、ドアがゆがんでいるのか、鍵が曲がっているのか、そもそも中からチェーンがかかっているのか。全部「開かない」ですが、原因は違います。
なので単純にカルバペネム耐性遺伝子を持っているかどうかではなく、ESBLやAmpCにポーリン低下が重なっていたりして結果としてカルバペネムが効きにくくなった。という例もあり。1本勝ちで耐性!というケースもあれば、いろいろ条件が重なって技あり2本で耐性!というケースもあるということです。二人ならLを越せる!ってニアも言ってましたね。
で、その1本勝ちでカルバペネムを壊す酵素があって、この酵素をカルバペネマーゼと言います。カルバペネムを壊すからカルバペネマーゼ。名前はそのままです。冷蔵庫を壊す人を冷蔵庫壊しと呼ぶくらいそのまま。このカルバペネマーゼを産生する腸内細菌目細菌がCPEです。
CREとCPEは何が違うの?
何やて?CPE?CRE?どっちがどっち?CREがCPEちゃうん?となりますね。
でも感染対策では、この区別がかなり大事です。
CREは「カルバペネムが効きにくい」という結果。
CPEは「カルバペネムを壊す酵素を持っている」という中身です。
もっというとCPEでも見た目は耐性に見えないという場合もある、酵素の種類によります。
めっちゃ雑に言うと
CRE・・とにかく不良、素行が悪い、盗んだバイクで走り出す
CPE・・カブキもの、入れ墨だらけ、バイオレンス、でも授業に真面目に出たりする
て感じです。
なんでこうなるの?ていうと
耐性があればもうCRE扱い。でもCPEは耐性遺伝子があるだけでその遺伝子の種類によっては超悪い耐性か、微妙な耐性かとかいろいろある。一番重要視すべきは
「人に撒き散らすか」です。

CPEでは、その酵素を作る遺伝子がプラスミドという小さな遺伝子の輪っかに乗っていることがあります。プラスミドは菌同士で受け渡しされることがあります。現場感で言えば、「耐性の作り方マニュアルがUSBメモリみたいに配られる」感じです。
すんげーやなやつでも、クラスのみんなから嫌われていれば、まぁそいつだけの問題。でも微妙にやなやつで、巧妙に悪い方に引きずり込もうとするやつのほうが長い目で見たらより悪いやつです。これがCPE。
だから感染対策ではCPEを重く見ます。その患者さんの菌が耐性というだけでなく、その耐性の仕組みが病棟で広がるかもしれない。患者さんの腸管に定着し、便や排泄ケアを介して環境や手指に出る。そこで手指衛生や接触予防策が甘いと、別の患者さんに移る。さらに菌種をまたいで耐性が広がることもある。ここがCPEの嫌なところです。
感染症の最強の武器は致死率でも重症度でもなく、「人にうつすこと」です。
CREやCPEがでたらどうすればいいの?
知識がついたらじゃあ何するか。順番で考えます。
まず本当に感染症なのか、保菌なのか。
尿からCREが出たから即CRE感染症というわけではないです。
症状、検体、培養、患者背景を見ます。
次に、感染症法上の届出対象かを確認します。
現現の届出基準では、腸内細菌目細菌で、メロペネムMIC 2μg/mL以上、またはディスク阻止円22mm以下、あるいはカルバペネマーゼ産生や遺伝子が確認されることが基準になります。(届出対象は感染症であって、単なる保菌なら不要)
そのうえで感染対策です。標準予防策は当然として、CRE、特にCPEが疑われる場合は接触予防策を考えます。個室またはコホート、手袋・ガウン、専用トイレやポータブルトイレ、排泄ケアの徹底、環境清掃、手指衛生を開始します。
CREでもCPEでも対策自体は同じですが、検査室やICTに相談し、「これはCPEなのか」「周囲に同じような菌が出ていないか」を確認します。1人でも出たらアウトブレイクに準ずる対応を要する菌です。必要なら接触者スクリーニングも検討します。
・カルバペネムの感受性が悪いぞ?て菌が出たら、CREの定義を見る。
・そしてCREならすぐに感染対策開始。標準&接触感染対策
・CPEかどうかを細菌室に相談して確認する。
・治療をするかどうかは病状次第で判断。
という順番ですね。
CREは「鍵が開かない」という結果。CPEは「鍵を壊す工具を持っていて、その工具の設計図まで配れるかもしれない」という話です。
注意すべきはその”バールのようなもの”を持っているかどうか。
見た目が真面目でもバール持っていればシバく!、悪いやつならバール持ってなくてもシバく!
あれ?もしかしてカルディって僕に耐性があるからコーヒーくれないの?
☆お土産☆
・CREは「カルバペネム耐性がある」、CPEは「カルバペネムを壊す酵素を持つ」。
・厄介なのはCPE、他の菌や人にそれをうつすから。
・でもCREとCPEはすぐにはわからないので、CREは一括対応で感染対策!
