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見えてきた、それぞれの色

今日は二階のリビングで書いている。

前のベランダから見える病院の森は、久しぶりの雨に喜んでいたのもつかの間、雷と風が強くなり、ちょっとありがた迷惑気味かな。今日の夕方近くまで降り続くようだけど、暑さは和らぐので助かるかな。

そんな雨の中でも、古いアパートビルの解体作業の音は聞こえてくる。ガラガラ、ドカン、という音の中、野菜や果物の移動販売のスピーカーから大きな声が聞こえてくる。

「トマト1キロ50TL……」

高いのかな。最近買い物をしていないから、よくわからないなぁ。

一階からは、奥さんのスマホから流れる、安らぎのピアノミュージックシリーズみたいな曲が聞こえてくる。

あっ、息子くんからの電話。奥さんと話している。

今週は、昼間の仕事が終わった後、そのままダイヤモンドの鑑定機器の研修もあったようで、土曜日の今日も研修だったようだ。そのうえ夜も働いて、一度家に帰ってきたきりだった。夕方に帰って夕食を食べ、また夜のホテルでの仕事へ出るようだ。

そんなに働いてどうするの、と聞きたい気持ちもあるが、まぁ、自分自身考えてのことだと思うので、黙っている。

何かしら、「どうしたいのか」が、少しずつ見えてくるといいのかな。

今週は、職場でも家でも、なんとなく間延びした時間が過ぎたかな。そんなのんびりした時間の中、現場ビルの最上階で、イスタンブールの景色を楽しんだ。

ここ20年で、この街も大きく変わった。背の高いビルがいくつも建ち、地下鉄もずいぶん整備され、人口も増え、大きな都市になったなぁ。

昨日は、最上階から下に降りると、現場に来た上司と昼食をとることになった。二人の学生実習生を引き連れていた。

「日本人だよ。」

と紹介される。

毎回、日本のことを聞かれるのも、なんとなくいい気分にはならない。上司も日本のことに話題を振る。私は聞いたふりをしながら、仕事の話へ戻す。

そんなやり取りをしていると、先週のことが話題になった。

「Ali兄さん、準備時間、長くとるから。」

「先週も、『明日、古いエレベーターのロードテストやって』と言ったら、『二、三日時間ちょうだい。マニュアル読むから。』って言われた。」

そして笑いながら、

「トルコ人は、すぐ行く。それで現場をかき回す。」

「日本人は、じっくり考える。なかなか動かない。」

そんな冗談を、学生実習生の前で話していた。

この上司とも、もう十年近くになるかなぁ。三十代の若い上司だけど、お互い、よく見ているんだなぁ。

長所も短所も。

などと、ふと思わされた。

自分の個性というか、色というか、長所や短所。

そんなものも、最近になって、少しずつよく見えてきた気がする。

二十代のころは、自分の限界もよくわからず、何でもできるような感覚があった。

結婚して、奥さんと生活するようになってから、見えてきたことが多いかな。

結婚したてで日本に住んでいたころは、周りが日本の「あたり前」を中心に奥さんを見つめていたので、とてもイラついたり、「なんでそうなの」と裁く思いが強かったかな。

でもトルコに来て、奥さんの親戚や、お義父さん、お義母さん、そして職場でトルコの方と生活する中で、トルコでの「あたり前」が少しずつ見えてきた。そうすると、不思議と奥さんの個性が、以前よりもよく見えるようになった。

それと同時に、日本人としての自分自身の個性や長所も、以前より感じられるようになった気がする。

多くのトルコの方もそうだと思うが、奥さんは、とにかく深く考え込まず、直観的で、一歩目が本当に速い。私には、逆立ちしても、そんなふうには考えられない。

私は妻よりも細かく考え、長期的に考え、論理的に、二つ三つ先まで考える。

長い時間をかけて見えてきた、自分の色だ。

夫婦って、お互いを見つめ合うこともそうだけど、その人の周りとの関係を見つめることで、よりその人の色が見えてくるのかも。

結婚が、本人同士の関係とともに、家族と家族との関係だと言われるのも、そういう部分があるのかもしれない。

自分の色は、自分一人では、なかなか見えないものなのかもしれない。

ふと、上司の話を聞きながら、そんなことを思い起こしていた。

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