音あれば楽あり(7)
近所に小学校低学年から仲の良い友達がいた。今この老齢になっても仲良しだ。彼もスクールバンドの一員だった。彼と僕は5年生から一緒にブラスを吹くようになってからというもの、「行進曲」にハマっていった。もちろん当時のアイドル歌謡も、グループサウンズも聴いてはいたけど、こんなマニアックなものを好んで聴いている小学生は少なかっただろう。
レコードを鳴らす音響機器はセパレートステレオと呼ばれるもので、家具みたいな大きさで、左右のスピーカーは本体から離すことが出来るものだ。真ん中の本体には上にプレイヤー部、真ん中にはプリアンプ部(チューナー付)、下部は空いていて、別売りのオープンテープデッキが入るような仕組みだった。彼の家のステレオは東芝「ボストン」というやつで、お父さんがクラシック好きでレコードも沢山あることから、立派で高価そうなものだった。音が素晴らしく良かった。ツィーターから出る高音は僕の家にあるものを遥かに超える音質だった。
この二人が特に好んで聴いていたのが、スーザの行進曲だった。『星条旗よ永遠なれ』『ワシントンポスト』『美中の美』などは色んな演奏者を聴き比べしたものだ。それに、吹奏楽団には「イギリス式」「フランス式」があって、僕らのスクールバンドは木管楽器がなかったので、二人はどちらかというと「イギリス式」を好んだ。
お互いに持っているLPを交換して持ち帰ったりした。因みに、その中にはドーナツ盤の南沙織、あるいは天地真理なんかもあった。12歳の僕たちは17歳を好んだって訳だ。
