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50代でアプリを公開してから、『作る』より『育てる』が大事だと分かった

前回は、ChatGPTで考えを整理し、Cursorで画面を作り、GitHubに保存し、Vercelで公開するまでの流れを書きました。

50代の私でも、AIと一緒ならアプリ開発の入口には立てる。
そう感じた一方で、実際に公開してみると、そこで終わりではありませんでした。

むしろ、公開してから考えることが増えました。

この画面は分かりやすいのか
この言葉で伝わるのか
この計算は誤解されないか
このまま公開していて大丈夫なのか
入力する数字の扱いは安全なのか

作っている途中には見えていなかったことが、URLとして外に出した瞬間に、少しずつ見えてきました。

今回は、資金の見通しを確認するための小さなアプリをAIと作って公開してみて、そこから考えるようになったことを書いてみます。


公開すると、自分だけの練習ではなくなる

自分のパソコンの中で動いている間は、まだ気楽でした。

画面が少し崩れていても、文言が堅くても、計算の見せ方に迷いがあっても、自分だけが見ているなら、大きな問題にはなりません。

でも、Vercelで公開してURLができると、少し感覚が変わります。

スマホでも開ける
人にも見せられる
場合によっては、自分の知らない誰かが触る可能性もある

その瞬間に、アプリは自分だけの練習作品ではなくなります。

もちろん、今回のアプリは大きなサービスではありません。
学習と試作を兼ねた、小さなアプリです。

それでも、公開する以上は、最低限考えておくべきことがあるのだと感じました。

特に、資金繰りや資金ショートのようなテーマは、会社にとってかなり繊細な情報です。

だからこそ、「作れた」という喜びだけで止まってはいけないのだと思いました。


「動いた」と「安心して使える」は違う

AIと一緒に作っていると、まずは「動いた」ことがうれしくなります。

入力欄が表示される
数字を入れると結果が変わる
残り資金日数が出る
危険度が表示される

最初はそれだけで、かなり感動しました。

自分が日本語で伝えたことが、画面になって動いている。
これは、思っていた以上に大きな体験でした。

でも、公開するとなると、もう一段考える必要があります。

その結果は、誤解されないか
入力した数字は保存されるのか、保存されないのか
実際の経営判断に使うには、どこまで注意が必要なのか
「このアプリで正確に資金ショートを予測できます」と受け取られないか

アプリが動くことと、安心して使えることは別の話でした。

ここは、AIに任せきりにしてはいけない部分だと思いました。


セキュリティは、初心者にも関係がある

正直に言うと、以前の私は「セキュリティ」という言葉を聞くと、少し身構えていました。

専門家が考えるもの
大きな会社のシステムで必要なもの
自分のような初心者が作る小さなアプリには、まだ少し遠いもの

どこか、そんな印象がありました。

でも、公開してみると、そうではないと感じました。

初心者だからこそ、最低限気をつけるべきことがあります。

たとえば、実在する会社の数字をそのまま使わないこと
支援先が特定されるような情報を書かないこと
GitHubに公開してよいものと、公開してはいけないものを分けること
APIキーやパスワードのような情報を、コードに直接書かないこと
VercelやGitHubの管理画面を、何も考えずにスクリーンショットで出さないこと

こうしたことは、難しい専門知識というより、公開するための基本的な作法なのだと思います。

AIを使うと、コードを書くハードルは下がります。
だからこそ、公開する前に一度立ち止まる習慣も必要になる。

今回、そのことをかなり実感しました。


入力する数字の扱いを考えるようになった

資金の見通しを確認するアプリの場合、特に気をつけたいのは入力する数字です。

現預金
毎月の支払い
返済
入金予定

これらは、会社にとってかなり大事な情報です。

単独では分かりにくくても、組み合わせると、その会社の状況がかなり見えてしまいます。

だから、公開アプリとして触ってもらう場合には、実在企業の数字をそのまま入れる前提にしない方が安全です。

サンプルの数字で試してもらう
実際の相談で使う場合は、扱い方を決める
必要以上に情報を保存しない
どの情報が残るのかを明確にする

こういうことを、作ったあとに考えるようになりました。

作る前は、どうしても「入力して計算できるか」に意識が向きます。

でも、公開するなら、入力された情報をどう扱うのかまで考えないといけない。

これは、今回の大きな気づきでした。


言葉の強さにも気をつけたい

もう一つ考えるようになったのは、画面に出す言葉です。

資金繰りに関するアプリでは、結果の表示ひとつで受け取り方が変わります。

たとえば、「危険です」と強く出しすぎると、使う人を必要以上に不安にさせるかもしれません。

逆に、「大丈夫です」と言い切るのも危ういです。

入力された数字が粗ければ、結果も粗くなります。
実際の経営判断には、もっと詳しい確認が必要です。

だから、このアプリは「答えを出す道具」ではなく、「考え始めるための入口」として位置づけたいと思っています。

このままだと、どのくらい危なそうか
何を先に確認した方がよさそうか
支払、入金、固定費、返済のどこに目を向けるべきか

そんな会話を始めるきっかけになればいい。

そのくらいの距離感で伝えることが、今の自分には合っている気がします。


免責文も、冷たくしすぎない

こういうアプリを公開するときには、注意書きも必要です。

ただ、あまり堅くしすぎると、読んだ人との距離が出てしまいます。

私が入れるなら、たとえばこんな表現です。

このアプリは、正確な資金繰り予測を保証するものではありません。
入力された数字をもとに、資金の危なさを早めに考えるための試作ツールです。
実際の経営判断では、詳細な資金繰り表や専門家との確認が必要です。

これくらいなら、必要な注意は伝えながら、過度に怖がらせずに済むのではないかと思います。

大事なのは、「このアプリが全部判断します」と見せないことです。

AIもアプリも、判断の材料を出すことはできます。
でも、最後に判断するのは人です。

その線引きは、これからますます大事になる気がしています。


50代の慎重さも、悪くない

バイブコーディングという言葉には、勢いがあります。

思いついたら作る
AIに頼む
動かす
直す
公開する

このスピード感は、とても魅力的です。

一方で、50代の自分には、若い人のような勢いだけでは進められない部分もあります。

新しい言葉には身構えます。
エラーが出ると不安になります。
公開するときも、「これで大丈夫だろうか」と考えます。

でも、今回やってみて、その慎重さも悪いことばかりではないと思いました。

本当にこの言葉で伝わるか
実際の現場で使ったら、どう受け取られるか
不安をあおりすぎていないか
会社の大事な情報を不用意に扱っていないか
支援者として、どこまで責任を持てるのか

こうした問いは、少し年齢を重ねたからこそ自然に出てくるものかもしれません。

若いエンジニアのように速く作ることはできません。
でも、現場を想像しながら、使われ方を考えることはできます。

それは、50代からAIとアプリを作るときの、ひとつの強みなのかもしれません。


作る力より、育てる力が大事になる

今回、最初は「作れるかどうか」が一番の関心でした。

画面が作れるか
計算できるか
公開できるか
スマホで見られるか

でも、公開してみると、関心は少し変わりました。

どうすれば使いやすくなるか
どこで迷うか
何を削った方がいいか
どの言葉なら社長に伝わるか
どこまで安全に扱えるか

つまり、作る力だけではなく、育てる力が必要なのだと感じました。

アプリは、一度作って完成ではありません。

触ってみる
違和感を見つける
直す
また触る
必要な機能を足す
余計な機能を削る

この繰り返しです。

これは、経営支援にも少し似ています。

最初から完璧な答えを出すのではなく、状況を見ながら、少しずつ整えていく。

アプリ開発も、結局はその繰り返しなのかもしれません。

AIやアプリに、支援を置き換えさせたいわけではありません。

アプリは、会話の入口にはなります。
でも、会話そのものではありません。

数字を見て、社長が何を感じるか
不安の背景に何があるか
本当に困っていることは何か
今すぐ動けることは何か

そこは、やはり人が一緒に考える必要があります。

だからこそ、支援者がAIを使う意味があるのだと思います。

現場で感じた困りごとを、小さな道具に変える。
その道具を入口にして、また人と話す。

AIとアプリは、その間をつなぐものなのかもしれません。


50代からでも、作る側に回れる

今回の3回の記事を通じて書きたかったのは、ひとつです。

50代からでも、作る側に回れる。

もちろん、若いエンジニアのように何でもできるわけではありません。
分からないことは多いです。
何度も同じところでつまずきます。
新しい言葉にも、毎回少し身構えます。

それでも、現場で感じている困りごとを言葉にすることはできます。

その言葉をChatGPTで整理する
Cursorで形にする
GitHubに保存する
Vercelで公開する
触って、直して、また考える

この流れなら、50代の自分でも一歩ずつ進めました。

大事なのは、最初から完璧なアプリを作ることではありません。

小さく作ること
安全に試すこと
公開したあとに考え続けること
そして、自分の経験をAIに渡せる言葉にすること

バイブコーディングは、ただ楽をするためのものではありませんでした。

私にとっては、これまで見てきた現場の困りごとを、もう一度違う形で支援につなげるための入口でした。

AIで作れる時代になった。
でも、作ってから考えることも増えた。

それは面倒なことでもあります。
でも、少しうれしいことでもあります。

まだ考える余地がある
まだ直せるところがある
まだ育てられるものがある

そう思えること自体が、50代からの新しい学び直しなのかもしれません。

作って終わりではなく、公開してからも考え続ける。
その時間まで含めて、AIと一緒に作るということなのだと思います。

今は自分用のアプリを少しづつ育てています
(左:禅アプリ、右:思考法則アプリ)

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