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夏だし…。

 夏と言えば、怖い話。
 この図式は、昭和生まれの短絡的思考なのだろうか。
 しかし、怖い話を聞いても、暑いものは暑い。
 ぜんっぜん寒くならないんだけど。
 寒くなるどころか、言霊に乗って気持ちの悪いものが纏わり付くだけなんだけど。

 などと書きつつ、そういえば昔、その手のもの(?)がウヨウヨしているレストランに行ったことを思いだした。
 入口からもう、外へあふれ出ているのだ。
 店内に入りきらなくて、漏れ出ている感じ。
「ああ、入口から既に漏れ出ているじゃないか…。」
と思い、足が止まる。
 分かっているなら止めればいいものを、怖いもの見たさというか、誘われてしまったと言うべきか…「うぉぉ」と思いつつ入店。私にとっては肝試しのような感じ。
 それでも、お店は結構な客入りで賑わっている。
 食事をオーダーして、待っている間も私の頭の上をビュンビュンと凄い数飛び回る。店内もビュンビュンだ。
 時々、あまりの至近距離を飛ぶものだから、つい頭をシャッと下げてしまう。
 時間潰し用に知恵の輪的なものがテーブルに置かれている。
 夫がそれを手に取り、外そうと頑張っている。
 夫の背後には三体くっついて、手元を覗き込んでいる。
 知恵の輪が外れるのを期待しているようだ。
 夫は結局、外すことができず諦めてテーブルに置いた。
 すると、夫の回りをビュンビュン飛び始め、「なんだよ~諦めんなよ~」的な空気を醸す。
 なぜか、夫はまた知恵の輪を手に取った。
 また、三体が背後から覗き込む。
 そして、見事に外れたときのその三体の喜びようったら!
 背後から拍手(?)が響く。やんや!やんや!的な。
 なんだか、めっちゃ明るい三体。

 だけど、私は一刻も早くこの店を出たかった。
 WCにも行きたかったが、入口付近はさらにヤバイ空気感で、近づくことすら危うい感じだったので、我慢した。
 その店で何をオーダーしたのか全く記憶が無い。
 記憶があるのは、その明るい三体。
 そして、その三体が一緒に家まで憑いてきたこと。
 途中で帰ってくれるかな?と思っていたけど、憑いてきた。
 家には結界が張ってあるが、念のため家の前でお引き取りを願った。

 夫曰く、
「何だか、肩が重かったけど、家に帰ってきたら軽くなった。」
と。
 そうでしょうな~三体も乗ってたら重いわな。
 素直に帰ってくれる三体でよかったわ。

 うん、やっぱり、全然寒くならない。

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