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町工場に英国から商談が来た。AI時代、海外はもう遠くない

最近、自社ブランド「OUROBOROS」を続けてきたことで、少しずつ海外との接点が増えてきた。

先日も、英国グレーター・マンチェスターでオンラインショップを運営している事業者から、Makuakeで販売している「OBORO UV Checker」を英国で販売したいという問い合わせをいただいた。


内容を見ると、単なる「商品を買いたい」という話ではない。

卸価格、MOQ、サンプル、納期、英国への輸出対応、製品資料、さらには英国での販売代理店契約や独占販売契約まで検討したいという話だった。

そして、ほぼ同じタイミングで、別の会社からも英国に関係する話をいただいた。

サッカー日本代表の三笘薫選手が所属するBrighton & Hove Albion FCのIPを活用して、日本のものづくり企業の商品を国内外へ展開していくプロジェクトへの参加提案だった。

もちろん、問い合わせが来たからといって、すぐに契約にはならない。

海外企業なら会社の実態、販売実績、信用情報などを確認する必要があるし、ライセンスビジネスならライセンス料やロイヤリティ、最低保証、販売地域、契約期間、商標の使用条件なども確認しなければならない。

「海外から話が来た=チャンスだからやる」

では経営判断として危ない。

ただ一方で、

「海外だから怖い=やらない」

という判断も、これからは違うのではないかと思っている。

最近、海外との距離が一気に縮まった

台湾先行販売の新色



少し前まで、町工場が海外へ自社商品を売ろうと思ったら、かなりハードルが高かった。

まず英語が必要。

私は英語ができない。

海外の会社とのメール、商談、契約書、商品説明、輸出書類など、考えるだけでも大変だった。

海外展開というのは、ある程度規模の大きな会社がするものだという感覚もあった。

ところが今はChatGPTやGeminiのような生成AIがある。

英文メールを作る。

相手から届いた英文を日本語で理解する。

契約書の論点を整理する。

海外向けの商品説明を作る。

商談前に質問事項をまとめる。

市場調査をする。

こうしたことが、以前とは比較にならないくらい簡単になった。

もちろんAIを100%信用していいわけではない。

法律、契約、税務、輸出規制など、専門家に確認しなければならない領域は当然ある。

それでも「英語ができないから海外は無理」という壁は、確実に低くなったと思う。

これは中小企業や町工場にとって、かなり大きな変化だと思っている。

円安を「原材料が高くなる」で終わらせない

そしてもう一つ考えなければならないのが円安だ。

製造業にとって円安は決して良いことばかりではない。

輸入材料や設備、エネルギーなどのコストが上がれば、当然経営を圧迫する。

ただ、自社商品を海外へ販売するという視点に立てば、見え方が変わってくる。

日本で作った商品を外貨で販売する。

つまり円安をコスト増だけではなく、「日本の商品を海外へ販売する機会」として考えることもできる。

特に自社ブランドを持っている会社なら、ここは真剣に考える価値がある。

私自身、これまでBtoBの下請け仕事を中心に経営してきた。

基本的にはお客様から図面をいただき、金型を作り、射出成形をして納品する。

良いものを作ることはできても、

「誰に売るのか」

「いくらで売るのか」

「どう伝えるのか」

というところまで自分たちで決める機会は少なかった。

自社ブランドを始めて一番変わったのは、ここだと思う。

「作る力」だけではなく「売る力」を持つ

OUROBOROSを始めて、Makuakeなどのクラウドファンディングに挑戦した。

SNSで発信した。

ECで販売した。

台湾にも商品を展開するようになった。

そして今度は英国から問い合わせが来た。

振り返ってみると、最初から海外を狙っていたわけではない。

目の前の一歩を積み重ねてきた結果、少しずつ市場が広がってきた。

ここで重要なのは、単純に「海外売上を増やす」ということではないと思っている。

自分たちで商品を企画する。

自分たちで価格を決める。

自分たちでブランドを作る。

自分たちで情報を発信する。

そして、自分たちで販売する国まで選ぶ。

つまり、経営の選択肢を増やすことだ。

取引先から仕事をいただくことも大切。

国内市場も大切。

OEMも大切。

自社ブランドも大切。

そこに海外市場という新しい選択肢を加える。

どれか一つに賭けるのではなく、複数の販路を持つことで会社を強くしていく。

私はそこに意味があると思っている。

だからこそ、最初から独占契約はしない

今回の英国からの問い合わせでも、「独占販売契約」という言葉が出ている。

これは慎重に考えたい。

最初から英国市場を一社に任せてしまえば、その会社が売れなかったとき、自分たちの英国での可能性まで止まってしまう。

だから最初はサンプル。

次に小ロット。

実際に販売してもらう。

どのくらい売れるのかを見る。

どんな人が買うのかを見る。

どの販売チャネルと相性が良いのかを見る。

そして実績ができてから、代理店契約や独占契約を検討する。

私はこの順番が良いと思っている。

独占権を渡すなら、最低購入数量や年間販売目標など、相手にも相応の責任を持ってもらう必要がある。

海外だから特別なのではなく、これは国内取引でも同じだ。

町工場が世界と直接つながれる時代

日本の町工場には、面白い技術がたくさんある。

ただ、その技術を知っているのは取引先だけ、という会社も少なくないと思う。

私たちもそうだった。

しかし、自社商品を作れば技術そのものを商品として市場に見せることができる。

そこにSNS、クラウドファンディング、越境EC、そして生成AIが加わった。

昔なら、

「うちみたいな町工場が海外なんて」

と思っていたかもしれない。

でも今は違う。

英語ができる会社だけが海外へ行ける時代ではなくなりつつある。

会社の規模が大きいところだけが世界へ商品を売れる時代でもない。

良い商品があり、それを自分たちの言葉で伝え、世界へ届ける仕組みを作ることができれば、小さな会社にも可能性はある。

もちろん、いきなり大きな勝負をする必要はない。

サンプルを送る。

10個売る。

100個売る。

現地の反応を見る。

売れたら次へ進む。

売れなかったら理由を調べる。

町工場が得意としてきた「試作→評価→改善」という考え方を、海外市場にもそのまま当てはめればいい。

「海外進出」ではなく「海外販売」から始める

海外進出という言葉を使うと、急に話が大きくなる。

現地法人を作る。

人を雇う。

事務所を借りる。

そこまで考えれば、確かに中小企業にはハードルが高い。

でも、最初からそこまでやる必要はない。

私はまず「海外進出」ではなく、「海外に1個売る」ことから考えればいいと思っている。

日本で作った商品を海外の誰かが見つけてくれる。

問い合わせが届く。

AIを使ってコミュニケーションを取る。

相手を調べる。

条件を決める。

サンプルを送る。

そして商品が海外のユーザーの手に渡る。

そこから始めればいい。

円安、人口減少、国内市場の縮小。

日本の中小製造業を取り巻く環境を考えると、国内だけを見て経営することのリスクもこれから少しずつ大きくなると思う。

だから私は、海外から来た今回の問い合わせを単なる一件の商談としてではなく、

「町工場が世界と直接商売できる時代になってきた」

という変化の一つとして捉えている。

やるか、やらないか。

まだ答えを急ぐ必要はない。

でも、調べる。

話を聞く。

サンプルを出す。

小さく試す。

そこまではやってみる価値がある。

町工場の強みは、大企業のような資本力ではない。

小さく作って、試して、改善して、また挑戦できることだ。

その強みを海外市場でも使えばいい。

国内で作り、世界に売る。

AIによって言葉の壁が低くなり、円安によって日本の商品に価格競争力が生まれる局面では、自社ブランドを持っていることの意味は以前より大きくなる。

OUROBOROSがどこまで海外で通用するのか。

まだ分からない。

だからこそ、試してみたい。

10年前なら難しかったことが、今ならできるかもしれない。

そんな時代の変化を、自分たちの経営のチャンスに変えていきたいと思う。

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