見出し画像

鳩とクリオネ


久しぶりのパート帰り。
いつもの道が、なんだか暗い。

日の傾きが早い。

7月末にも、そんなことを書いたけれど、それよりもさらに早くなっている気がする。

お盆の2日目。
こんなに暗かったかな、と思いながら歩く。

途中の草むらから、虫の声まで聞こえてきた。
数日前の帰り道には、なかったのに。

そういえば、ここ数日はずっと過ごしやすかった。

昔々の、夏はこんなんだったな。

そう思うほどの、ほどよい暑さ。

夏の酷暑から一転して、秋の足音を感じるなんて。
時の経つのは、ほんとうに早いなぁと思いながら歩いた。

田舎では、お盆の2日目。
13日は初盆の家が、それ以外は14日から墓で提灯を灯す。

夕方から提灯を掲げ、ろうそくの灯りが消えるまで墓で過ごす。

5時くらいから灯りを灯し始める。
まだまだ明るい中で、子どもたちは花火を始める。

一番人気は、落下傘花火。

打ち上げられた花火から、パラシュートのようなものが落ちてくる。
それを取りに、子どもたちは墓の中を走り回る。

足元では、狭いところでもお構いなしに爆竹が鳴る。

そうかと思えば、ロケット花火が、ひゅんひゅん言いながら墓のあちこちを飛び交っている。

小さい子は手持ち花火。

みんな、これでもか!というくらい花火を買って持ってくる。

子どもの頃の私は、この時期がちょっとした稼ぎ時だった。

お年玉と同じくらい、花火のためのお小遣いがもらえたからだ。

大人でなくてよかった、と今なら思う。

年に2回も物入りなんて、財布が痛い。

子供のときのお盆はそんな楽しい時間だった。

虫の声に「秋だな」と感じる今日と、
墓で提灯を灯し、花火の煙に巻かれて過ごす今日。

同じ時間の、同じ世界線とは思えないな。

そんなことを考えながら、少しセンチメンタルな気分で帰ってきた。

すると、空に大きな鳩がいた。
いや、正確には雲だ。

でも、どう見ても鳩に見える。

写真に収めた。


季節はどんどん過ぎていく。

いつの間にか、子どもから大人になり、人生も半分を過ぎた。

彼岸に向かうには、まだちと早い。

そう思いながらも、少しずつ心の準備も、どこかでしておかないとな。

そんなことを、なんとなく思った夜だった。

そして、さっき撮った写真をもう一度眺めてみる。

ん?

鳩に見えたものが、今度は、指に摘ままれたクリオネに見えてきた。

なんだか、ちょっと面白くなった。

そうだ。

まだまだ、面白いものは散らばっている。

季節がいくつ過ぎても、
人生がどれだけ進んでも、

きっと私は、そんなものを見つけながら歩いていく。

そんな気がした夜だった。


#日常エッセイ
#お盆
#夏の終わり
#秋の気配
#子どもの頃の思い出
#田舎の風景
#季節を感じる
#なんでもない日々
#人生半分
#空を見上げる

いいなと思ったら応援しよう!