無意識に支配され、流されるまま自分を見失っている人生から自由になる法。“実践的な技法”を通じた“本当のあなた”に出会う旅。『フワッと、ふらっと統合心理学(サイコシンセシス)』
はじめに
心理学という学問は、私たちの内面世界を理解し、人間の成長や癒しを導く道しるべとなります。
今日、さまざまな心理療法やアプローチが存在していますが、
その中でも「サイコシンセシス(Psychosynthesis)」(統合心理学)は、
心の成長と統合を目指す、非常にユニークで包括的な心理学的アプローチとして知られています。
その創始者は、イタリアの精神科医・心理学者であったロベルト・アサジョーリ(Roberto Assagioli)です。
本稿では、まずアサジョーリの人物像を紹介し、
次に彼が提唱した、
「卵形図(エッグ・ダイヤグラム)」
に基づく心の構造について説明いたします。
そして、サイコシンセシスが現代においてどのような意味を持ちうるのかを考察し、
第四章で、無意識に支配され、流されるまま自分を見失っている人生から自由になるための具体的な技法をご紹介します。
第一章 ロベルト・アサジョーリについて
心理学者・精神科医であり、人間性心理学およびトランスパーソナル心理学の分野における先駆者であるロベルト・アサジョーリは1888年にイタリアのヴェネツィアに生まれました。
(トランスパーソナル心理学については以下をご参照ください)
彼は、若くして貪欲に専門書を読み、神経学と精神医学を学び、

後にフロイトの精神分析学(フロイト心理学)に触れました。
(フロイト心理学については以下をご参照ください)
彼はフロイトの直弟子ではなかったのですが、
フロイト心理学に関する修士論文を書き、
その後スイスのチューリッヒ大学に留学します。

チューリッヒ大学には、アカデミックな精神医学の世界でもっとも早くフロイトの理論を採り入れた精神医学者・オイゲン・ブロイラーがいて、
アサジョーリは、ブロイラーの下で精神分析学を学びました。
同じころ、ブロイラーの下には、分析心理学(ユング心理学)を創始したカール・グスタフ・ユングもいました。

(ユング心理学については以下をご参照ください)
ユングは、アサジョーリの才能を高く評価し、それ以来生涯に渡り親しく交流しました。
このような中、イタリアに精神分析学を広める先駆者となることを期待されたアサジョーリは、
若き有望な精神分析学者としてキャリアをスタートしました。

しかし、彼は当初フロイトの精神分析を支持していましたが、やがてその限界を感じます。
フロイトは、精神分析学を創始したその初期から、心の病的及び否定的な側面とその治療のみに注力し、
心の健康さ、可能性、高貴さ、神秘的な側面には目を向けようとはしませんでした。

深層心理学の理論の枠組みをそういった面にまで広げようとしないフロイトの頑なな態度に、

フロイト派の心理学者達はついには独立して、
独自の学派を形成する場合が多く、アドラーやユングなどもそうでした。
(アドラー心理学については以下をご参照ください)
アサジョーリも、アドラーやユングと同様に、フロイトの理論では満足できずに、
より包括的な理論と技法を模索するようになります。
彼が問題視したのは、フロイトの理論が人間の「病理」や「無意識の衝動」に偏っていた点です。
アサジョーリは人間の「成長」や「超意識」、
すなわち人間のポジティブな側面にも光を当てる必要があると考えました。
こうして彼はサイコシンセシス(統合心理学)という新しい心理学理論を構築し、それは1920年代にその形を整えていきました。
彼の理論と技法は後に多くのセラピストや教育者に影響を与え、
日本ではその浸透度はフロイトやアドラー、ユングの理論や技法に比較すると低いですが、今日でも世界中で実践されています。
第二章 卵形図とは何か ― 心の地図
アサジョーリがサイコシンセシスにおいて示した最も特徴的な概念のひとつが、
複雑な心の構造を視覚的に整理した、
「心の構造図(Diagram of the Psyche)」である、
「卵形図(エッグ・ダイヤグラム)」です。
その原型は、彼の盟友ともいえるユングの「心の構造理論」であるので、
まず最初にユングの理論をみてみます。

ユング心理学ではまず心の構造を、
意識できる心と、
意識できない心(無意識)に大きく分け、
さらに無意識は2つに分類できると考えます。
ユング心理学では、無意識には、
個人的な体験に基づく後天的無意識である、
『個人的無意識』と、
人類共通の生得的な無意識である、
『集合的無意識』の2つの無意識領域があるとします。

(ユング心理学における心の構造理論についてより詳しくにお知りになりたい場合は以下をご購読ください)
アサジョーリの「卵形図(エッグ・ダイヤグラム)」は、これに基づくものです。

これは心の構造を視覚的に表現したもので、
縦長の卵型をした図に、人間の心理的要素が配置されています。
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トランスパーソナル心理学は、行動主義(スキナー等の心理学)、精神分析(フロイト、ユング、アドラー等の心理学)、人間性心理学(マズロー、フラ…
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