冬のテーブル338
紫苑と花器
陶芸スタジオの窯が新しくなってから、火力は頼もしいのに、仕上がりの表情がどこかよそよそしい。とくに織部釉薬は、好きだった侘びた揺らぎを失い、ひたすら光を弾くばかり。土の息づかいが遠のいていくようで、戸惑う。それでも焼き上がった器に、道端で咲いていたシオンを活けてみた。春の花の「都忘れ」に似た薄紫が、金属のような釉の肌に触れると、不思議に調和して、器の硬質さをやわらげてくれる。冬の始まりに残された花は、もう数えるほどしかない。つぶやくように一句浮かぶ。
「君 みやこ忘れ ひとり静」

