櫻坂46 14th single『The growing up train』〜彼女たちの視線の先は…櫻坂よ、今を駆け抜けろ!
3月11日発売予定、櫻坂46 14枚目のシングルとなる『The growing up train』のMVプレミア公開と音源配信が、2月12日0時に開始された。
今作は4月の国立アニラを控え、その象徴たる楽曲になるとして、特別な感情を持って迎えられようとしている。
それほどに、これまでにも増して期待の高まっている作品だ。
予告ティザー映像を観て、イントロらしきサウンドを聴いた時、何だか懐かしい感情を呼び起こされた。
そう…私はNEW ORDERの『Leave Me Alone』を思い出したのだ…
まさか櫻坂がオルタナロックをやるはずもないとは思いつつ、色んな可能性を感じさせる櫻坂の音楽的志向が、聴き手の単なる思い過ごしであるにせよ懐古趣味のオジサンにはとてもありがたいところだと感じている。
定刻になり、カウントダウンからのMVとサブスク音源を繰り返し視聴した。
まさに走り抜ける〜疾走感。
櫻坂は、一年の季節の移り変わり〜四季を唄うだけじゃなく、人生の現在地と座標軸を四季になぞらえて唄う。
碧い季節の清冽さと、苦さと儚さを…
はっきり言ってメロディーは凡庸で、目新しさはほとんどない。いわゆる一つの青春ソングだし、5分15秒の楽曲の長さもトレンドからは乖離している。
また、残念なのはミキシングのバランスが整理しきれていないと感じさせるところか…
それでは、本作がつまらない曲なのか?と言えば私はそうは思わない。
恐らく「らしくない」という声も聞こえることは予想出来る。丁度一年前の「ウダジェネ」での〜らしくない論争とはまた少し違う賛否があるだろう。
しかし、私には今の櫻坂(5周年という節目で)が向き合うにふさわしい作品だと思えてならない。
不自然で不気味なほどに終始笑みを浮かべるメンバーたち。
笑顔とは対極にあるとイメージされる藤吉夏鈴をセンターにした楽曲での青春〜人間賛歌。
敢えての正統派ソングが逆に新鮮だ。
LaLa arena TOKYO-BAYを舞台にした池田一真監督の映像と演出は何かと意味深だ。
明らかにライブを(極言すれば国立を)意識させる構成で観客側(Buddies)の視線から始まり、演者側(櫻坂メンバー)の視線で終えようとしている。

ところが、曲中は考察しようにも難解な表現が続いている。
この手に持つルージュ/リップは何を意味する?
例えば、ステージに立つ前のメイクやスタイリングの時間を表現しているのか…

今回の振り付けはカノンを多用しているが、とても効果的に映っている。
四期生に注目していたが、この佐藤愛桜が顔を出すシーンがとてもいい。
また、バンド編成やヴィンテージマイクはかつてのグループサウンズを想起させる。

そして場ミリを表しているのだろうかメンバーごとの漢数字。なぜにアラビア数字ではない…

この円の意味するものとは?
太陽、或いは時計を模し、時の経過〜流れ〜人生を表現しているのか…

閲兵式のようなデモンストレーションは、手に持つスタンドマイクが槍やライフルの様でもある。
アーティストにとっての「武器」との意味合い?
度々モーセの十戎の如くのセンター藤吉夏鈴の歩みがあるが、人と人とのしがらみ煩わしさを表現?

ここは紛れもなく、ペンラ輝くスタンドをイメージさせる。

五月雨よの一列〜Addictionのカノンから繋がる美しい画。
そして、このオブジェは何を…?

ベースラインもしっかりと刻まれ、聴けば聴くほどに希望を感じさせる作品だ。
浅葱色にも見える衣装は「青く緑」の青春をイメージしたものか。
〜全ては疑いうる〜
経験から知見を重ね、視野を拡げていく。
物事の真理を自らに問いかける…
思い通りにならないジレンマに苛まれながらも、大人への階段を昇る、いや、レールを錆びつかせぬように列車を走らせる。
メンバーがそれぞれ自分に投影させたであろう作品の世界を、我々の目の前でパフォーマンスする期待が膨らむ14th表題だった。
『何歳の頃に戻りたいのか?』(24年/山﨑天)『UDAGAWA GENERATION』(25年/森田ひかる)そして『The growing up train』(26年/藤吉夏鈴)と、いわゆる“櫻坂の春唄”でここ数年、初期の二期スリーセンターを起用してきたのは、単なる偶然とは思えない節もある。
この時期にリリースする作品は、その一年の活動傾向を大きく左右する楽曲と感じるからだ。
そしてアフター国立を展望した時、いよいよ軸を三期へと本格的に移すことになるのだろう。当然、そこには四期も絡んでくる。
そんな中で、二期の役割〜立ち位置を鑑みれば、かつては一期から受けた影響を経験し熟知している彼女たちがグループの厚みを加えるポジションに徹していくのだろう。もちろん、ただ単に後方に下がるだけと言うことではなく…
藤吉夏鈴らの背中を見ながら、確かな成果を獲得する実感を四期生選抜メンバーが意識することが出来たなら、この14thは成功なのだと言える。

