【海図投資】AIデータセンターの電力・制御を支えるアナログ・特殊半導体7銘柄を企業間横断比較|MCHP・NXPI・DIODで読む海図投資Phase1.5【2026年1Q】
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はじめに
AIデータセンターを見るとき、最初に目に入るのはGPUです。けれども、GPUだけではラックは動きません。
ラックには電源を入れる部品があり、電流を守る保護部品があり、ボードを管理する制御チップがあり、CPU/GPU/メモリ/ネットワークをつなぐ特殊なロジックがあります。AIサーバーが高密度化するほど、GPUの外側にあるアナログ・特殊半導体の仕事量も増えます。
今回見るのは、この「GPUの外側」を支える7社です。
ADI(Analog Devices):データセンター電源・光通信・産業向け高性能アナログ。
DIOD(Diodes):AIサーバー電源、保護、タイミング、ディスクリート部品。
LSCC(Lattice Semiconductor):低消費電力FPGA。サーバー管理、secure boot、power sequencing。
MCHP(Microchip Technology):MCU、アナログ、FPGA、PCIe Gen6スイッチ/リタイマ。
NXPI(NXP Semiconductors):車載・産業・データセンター制御プレーン。
SLAB(Silicon Labs):IoT無線。現在はTXNによる買収固定対価が主論点。
TXN(Texas Instruments):アナログ王者。300mm自社製造と広い製品ポートフォリオ。
7社とも、どこかにAIデータセンターの水が流れています。ただし、海図投資で大事なのは「水が来ているか」だけではありません。その水位が、すでに株価にどれだけ織り込まれているか まで分けて読む必要があります。
なお、決算期は完全にはそろいません。DIOD、LSCC、NXPI、SLAB、TXNはFY2026 Q1、MCHPはFY2026 Q4/10-K、ADIはFY2026 Q2です。本記事では、これらを暦年2026年1Q決算サイクルとして横に並べます。期ズレがある銘柄は本文中でも注記します。株価は2026年6月1日終値を基準にしています。
海図投資上の位置づけ
アナログ・特殊半導体は、海図投資では Phase1.5(半導体サプライチェーン)/L3 Infrastructure に置きます。
GPUそのものではありません。けれども、AIラックの電力密度が上がり、サーバーの構成が複雑になり、データセンターの制御プレーンや冷却・電源・保護の重要度が増すほど、このレイヤーが先に忙しくなります。
AIの資金は、最初にハイパースケーラーのCAPEXとして出ます。その後、GPU、メモリ、ネットワーク、サーバー、電力、冷却へ流れます。アナログ・特殊半導体は、その流れのなかで「ラックを実際に動かす部品」を広く拾う場所です。
今回の補助Phaseは Phase2(データセンター設備) と Phase4(電力) です。特にADI、TXN、DIODは電源・電力密度に直結し、LSCC、MCHP、NXPIは制御・接続・管理側でAIラックに入ります。
なぜ今この7社を見るのか
2026年1Q決算サイクルでは、アナログ・特殊半導体のなかで、回復の水位がはっきり上がりました。
ADIはFY2026 Q2で売上が $3.623B、前年比+37.2%。通信セグメントのうちデータセンターが75%以上を占め、データセンター売上は 前年比+90%超 と説明されています。
MCHPはFY2026 Q4で売上 $1.311B、前年比+35.1%。book-to-billは1を大きく超え、4月のbookingは約4年で最大級。PCIe Gen6 Switchtecのdesign winsも6件積み上がっています。
NXPIはFY2026 Q1で、データセンター関連売上が2025年の約 $200M から、2026年には $500M超 へ伸びる見通しを出しました。これまで車載の印象が強かったNXPが、データセンター制御プレーンを明確に語り始めた点が新しい。
LSCCは低消費電力FPGAでサーバー管理の水位を拾い、Compute & Communicationsが前年比+86%。DIODはAIサーバー電源・保護・タイミングの小型回復株として、6四半期連続の二桁増収まで来ました。TXNも大型アナログの供給力で、産業とデータセンター(DC関連で約+90% YoY)の回復を取りに行く構図です。
一方で、株価水位もかなり上がっています。LSCCは1年で+237%、DIODも+158%、ADIも+96%です。ここを雑に読むと、「良い会社を高値で買う」だけになります。受注残や受注の伸びはこのsector_subの水位計ですが、その水位はすでに株価の海面にも映っています。
7社の役割の違い
同じアナログ・特殊半導体でも、7社の役割はかなり違います。
ADIとTXNは大型アナログの横綱です。広い製品ポートフォリオと供給力があり、AIラックだけでなく産業・車載・電力インフラ全体を拾います。安定感はありますが、大型で市場認知も高い。
MCHPとNXPIは、制御・接続・処理の色が濃い。MCHPはPCIe Gen6スイッチやリタイマ、MCU、FPGA、アナログを持ち、在庫調整後の回復を読めます。NXPIは車載・産業が本丸ですが、データセンターのcontrol plane、power supply、cooling、board managementへ入り始めています。
DIODは小型の電源・保護部品株です。利益率はまだ低いものの、AIサーバー、車載、産業が同時に戻ると、業績の変化率は大きく出やすい。
LSCCは低消費電力FPGAで、GPU/CPUを直接置き換える会社ではありません。むしろ、GPUやCPUが増えるほど、その周辺でsecure boot、power sequencing、platform management、I/O aggregationを担う「伴走役」です。
SLABは少し別です。事業は回復していますが、TXNが1株231ドルの現金対価で買収する予定のため、株価の上値はほぼ買収対価に縛られます。通常のファンダメンタルズ比較とは別の論点として扱うべき銘柄です。
ここまでの論点整理
ここまでの見取り図を整理します。
AIラックの水位はGPUの外側にも上がっている。
ADI、LSCC、TXNは事業の質が高いが、株価水位も高い。
MCHPは在庫調整終了からのbook-to-bill改善が最もわかりやすい転換点。
NXPIはデータセンター制御プレーンの売上見通しが新しい材料。
DIODは小型で爆発余地があるが、利益率改善の確認が必要。
SLABは買収対価固定で、ファンダメンタルズ比較とは別枠として扱う。
この後は、比較表、トランスクリプト温度感、水位スコア、マクロ、リスク、そして筆者判定まで並べます。事業の強さと、今から入るべきかは別問題です。ここから先で、その線引きを数字にしていきます。
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