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KLAコーポレーション / KLA Corporation(KLAC)決算分析|TSMC 2nm時代の守護神、純利益+39%【FY2026 Q2 日本語解説】

この記事は、SEC EDGAR(米国版の有価証券報告書データベース)に提出された10-Q(四半期報告書)を日本語訳・分析したものです。決算速報よりはタイムラグがありますが、より詳しい財務情報が記載されており、企業の実態を深く知ることができます。

TSMCが2025年末に2nmプロセスの量産を開始し、2026年には月産10万枚規模への拡大を計画しています。半導体の微細化が進むほど、ナノメートル単位の欠陥を見逃さない「検査・計測」の重要性が飛躍的に高まります。この検査装置市場で世界シェア50〜60%を握る企業が、KLAコーポレーションです。

株価は1年で約+91%上昇し、足元では約1,496ドル(約23.2万円)で推移。2026年1月には過去最高値の1,693ドルを記録しました。今回の10-Q(FY2026 Q2、2025年12月期)では、売上高33.0億ドル(約5,115億円)に対し、営業利益は13.6億ドル(約2,108億円、粗利益20.3億ドルから営業費用6.6億ドルを差引いて算出)、純利益11.5億ドル(約1,783億円)と力強い増益を達成しています。10-Qから紐解いていきます。

今回決算のまとめ(3行)

・半導体検査装置大手KLAの売上高は33.0億ドルで前年同期比+7%、サービス売上+18%が成長を牽引
・純利益は11.5億ドル(前年同期比+39%)に急伸し、1株当たり利益は8.68ドルで+41%の大幅増益
・パターニング売上+31%・サービス52四半期連続成長と、AI・2nm向けの戦略製品が加速中

会社概要

一言でいうと、半導体の「品質検査官」として世界トップの会社です。KLAコーポレーション(NASDAQ: KLAC)は、半導体製造工程で発生する微細な欠陥を検出・計測するプロセス制御装置を提供しています。ウェハー検査、パターニング計測、レチクル検査などの製品群で、主要な半導体メーカーほぼすべてが顧客です。

FY2025の年間売上高は121.6億ドル(約1兆8,848億円)、従業員数は約15,200人。プロセス制御市場で最も近い競合の約6.5倍の規模を誇り、事実上の業界標準として機能しています。

今期のポイント3つ

費用の伸びを上回る利益成長(営業レバレッジの効果)


売上高が+7%成長する中、研究開発費は+11%(3.8億ドル(約589億円))、販売管理費は+5%(2.8億ドル(約434億円))と増加しました。しかし粗利益率が60.3%から61.4%へ改善したことで、営業利益は+10%(粗利益から営業費用を差引いて算出)、純利益は+39%と売上成長を大きく上回るペースで拡大しました。改善の主因は高付加価値製品の構成比上昇と製造効率の向上です。研究開発費の増加は2nmノードやEUV関連の開発投資が活発化していることを示しています。なお前年同期にはのれん減損損失2.4億ドル(約372億円)が計上されており、純利益の前年同期比を押し上げている点には留意が必要です。

経営陣はカレンダー年2026年にDRAMチップの調達コスト上昇が粗利率に悪影響を与える可能性を示唆しています。この費用圧力が一時的な市況要因か構造的なものかは、今後2四半期の粗利率推移(閾値:60%割れ)で判断する必要があります。

セグメント別は主力が牽引、特殊半導体は規制で減速


半導体プロセス制御セグメントが売上の91%を占め、前年同期比+9%と堅調です。一方、特殊半導体プロセス(エッチング・成膜装置)は中国向け規制の影響で-12%、基板・部品検査(PCB and Component Inspection)も-6%と縮小しました。競合との売上比較では、KLAの年間売上約127億ドル(約1兆9,685億円)に対し、AMAT(アプライド・マテリアルズ)は約270億ドル(約4兆1,850億円)、ASML(オランダ)は約280億ドル(約4兆3,400億円)と規模差があります。ただしKLAはプロセス制御という専門領域に特化しており、粗利率61%超はAMATの約49%、ASMLの約51%を大きく上回ります。

地域別では韓国が+34%(メモリ投資増)、北米が+38%と急成長する一方、中国はBIS(米国産業安全保障局)規制により-9%と減少し、構成比は35.5%から30.2%に低下しました。

戦略製品とサービスが次の成長を牽引


最も注目すべきは、AI・最先端半導体向けの戦略製品の加速です。パターニング(EUV関連計測)が前年同期比+31%と突出しており、2nmノードへの投資拡大を直接反映しています。サービス売上は7.9億ドル(約1,225億円)で+18%、これで52四半期連続の前年同期比成長を達成しました。設置済みツールの増加に伴い、保守・部品供給が安定的なリカーリング収益基盤を形成しています。

先端パッケージング分野では、プロセス制御強度(半導体装置投資に占める検査装置の比率)が2022年の約1%から現在5〜6%まで急拡大しており、AI・HPC向け需要の構造的な追い風です。営業キャッシュフローは半期で25.3億ドル(約3,922億円、前年同期比+37%)と力強く、自社株買い10.9億ドル(約1,690億円)と配当5.0億ドル(約775億円)の株主還元も継続しています。

最大のリスク:米国輸出規制による中国市場の段階的縮小

KLAにとって最大のリスクは、米国商務省BIS(産業安全保障局)による対中輸出規制の強化です。2022年10月の初回規制、2023年10月の追加規制(先端半導体の定義拡大)、2024年12月〜2025年1月の規制強化(先端DRAMの定義改定・Entity List追加)、そして2025年9月の「関連企業規制」(Affiliates Rule、2026年11月まで猶予)と、規制は段階的に厳格化しており、輸出ライセンスの取得は「保証なし」と10-Qに明記されています

・監視指標:中国売上の構成比
・現在値:30.2%(Q2 FY26、9.9億ドル(約1,535億円))
・閾値:25%以下で売上全体への影響が顕在化
・乖離幅:現在値は閾値から約5pt上
・解釈:前年同期の35.5%から5.3pt低下し、縮小トレンドが加速中。次の転換点は2026年11月のAffiliates Rule猶予期限切れ

筆者の見解

判断:買い(短期は慎重)

KLAの投資魅力は、AI・最先端半導体の進化に伴い「検査・計測」のニーズが構造的に増加する点にあります。2nmノードでは従来よりプロセス制御の投資比率が約1pt上昇するとされ、KLAの市場シェア50〜60%を考えれば、業界成長以上のリターンが期待できます。

バリュエーションはPER約43倍(TTM、GAAP)、フォワードPER約35倍で、5年平均の約29倍と比べると割高です。PEGは約2.4倍とプレミアムが乗っていますが、ROIC約73%・粗利率61%超は半導体装置業界で最高水準であり、AMATのPER約26倍やASMLの約35倍との比較でも、専門特化型プレミアムとして許容範囲と考えます。配当利回りは約0.5%と低水準ですが、16年連続増配の実績があります。

今後の事業見通し

AI・最先端プロセス制御需要(確度:高) 

2nm投資の本格化とEUVリソグラフィの普及で、検査・計測の需要は構造的に拡大中。サービス売上は52四半期連続成長と実績十分。WFE市場全体も2026年に高一桁〜低二桁%成長が見込まれる。

先端パッケージング(確度:中) 

AI・HPC向けの高度なパッケージング需要が急拡大。プロセス制御強度を1%→5〜6%に引き上げた実績あり。カレンダー年2025年に9.25億ドル(約1,434億円)超の売上見通し。ただし競合参入と技術変化のリスクも。

中国市場の代替(確度:低) 

韓国+34%、北米+38%と代替地域は成長中だが、中国売上22.6億ドル(半期、約3,503億円)の完全補填は未達。2026年11月のAffiliates Rule猶予期限切れで追加的な売上喪失リスクあり。

まとめ


KLAは半導体プロセス制御で世界シェア50〜60%を握り、AI・2nm時代の「品質の番人」として中長期の成長ストーリーが明確です。短期的にはDRAM価格上昇による粗利圧迫と中国規制強化に注意が必要ですが、粗利率61%・ROIC73%という収益力は業界随一です。一言でいえば、「TSMCやサムスンが2nmを作るなら、KLAの検査装置を通さないと出荷できない」──代替不可能なポジションこそ、この銘柄の最大の武器です。

免責事項: この記事は筆者個人の見解であり、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
※記事中の円換算は1ドル=155円(2026年2月時点)で計算しています。

出典: KLA Corporation, Form 10-Q (Filed with SEC, for the quarterly period ended December 31, 2025)


※BIS規制のタイムライン・影響データは上記10-QのPart I Item 2 (MD&A) およびPart II Item 1A (Risk Factors) に基づく。
※競合売上・粗利率データ(AMAT、ASML)は各社の直近年度決算報告に基づく。
※株価・バリュエーションデータは2026年2月時点のYahoo Finance、TradingView、StockAnalysis等より取得。
※TSMC 2nm量産開始情報はFocus Taiwan(2025年12月30日付)に基づく。

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