【寝物語】三人のおじいさん
むかしむかし、あるところに三人のおじいさんがいました。
三人は仲よく一つの家に暮らしており、毎日たのしく笑いながら過ごしておりました。

けれども、三人がおじいさんばかりで暮らしていたのには、それはそれは深いわけがあったのです。
もとはそれぞれ、別々のおばあさんと仲よく暮らしていたのですが、ある日のこと、おばあさんたちはみんな家を出て、「おばあさんの国」というところへ行ってしまったのでした。
残されたおじいさんたちは、「それじゃ困った、三人で力を合わせて暮らすほかない」と相談し合い、こうして三人の共同生活が始まったのです。
さて、ある日のこと。
三人そろって山へ柴刈りに出かけました。ところが家へ帰ってみると、なんと山ほどの洗濯物が残されていました。
「きょうはお前が洗濯するって言ったじゃないか」
「なんだと、お前がやればいいだろう」

三人はたちまち口げんかになりましたが、結局は言い争いながらも三人で仲よく(?)洗濯をすませました。
次の日は、またしても大さわぎ。
今度はご飯づくりをめぐってのいざこざです。三人がそれぞれ勝手にご飯を炊いてしまったものですから、あっというまに米びつは空っぽになってしまいました。
「俺が作ったのに、なんでお前も作るんだ」
「お前こそ、勝手に作るなよ」
またしても言い争い。しかたなく三人は、米を買いに町まで出かけることにしました。
町のお米屋さんの前まで来ると、店のまえに何やら悪そうな男が立っています。
「なんだあいつ、悪そうだな」
三人は声をかけ、その男に詰め寄りました。すると男はにやりと笑って言いました。
「おじいさん、俺だよ。孫のスケロクだよ」
そう名乗ると、三人のうちの一人に歩み寄りました。
スケロクと名乗る男は、「おばあさんが家を出て行ったせいで、会えなくなって困っている」と言い、さらに「実は俺、金が必要なんだ。交通事故にあってしまって、今すぐお金を用意しないと大変な目にあうんだ」と訴えました。
その話を聞いたおじいさんは、すっかり信じかけましたが、ほかの二人のおじいさんは言いました。
「これは詐欺だろ。どう考えても詐欺だ」
さらに、「そもそもお前には息子も娘もいないだろう」と言い放ちました。
すると男は、ばれたと見るや、「お前を騙して金をもらおうと思ったんだよ」とあっさり白状し、「この後勝負だ」と叫びました。
スケロクはおじいさんに殴りかかりました。おじいさんは「ひいー」と言って逃げようとしましたが、「俺に任せろ!」と、別のおじいさんがスケロクの拳をがっちり受け止めました。
そしてスケロクを両手でつかむと、ぎゅうぎゅうと小さくまとめ、山のほうへぽいっと放り投げました。

「じいさん、助かったよ」
「なに、どうってことはねえよ」
「さて、帰るか」
三人はすっかり満足して家に帰りました。ところが、途中でお米を買うのをすっかり忘れていたのです。家に帰って米びつをのぞくと空っぽ。
「お前、なんで米を買ってこなかったんだ」
「お前こそ、忘れたじゃないか」
またまた三人は大げんか。
けれども、その声はどこか楽しげで、家のまわりには今日もにぎやかな笑い声が響いていたそうな。
――めでたし、めでたし。
