【寝物語】糸こんにゃくキャッスルの物語
昔々のお話です。それはまだ、人々が自分で踊ることができず、歩いたり座ったりすることしかできなかった時代の物語でした。
あるところに、すべてが糸こんにゃくでできた町がありました。人々は糸こんにゃくを心から愛し、その町の中心には、彼らの愛情の結晶であるお城がそびえ立っていました。

名前は「糸こんにゃくキャッスル」。なぜキャッスルかって?
キャッスルというのはお城のことなのです。
そう、その糸こんにゃくのお城、「糸こんにゃくキャッスル」で、人々はささやかで楽しい毎日を送っていたのです。
彼らは糸こんにゃくが大好きで、その想いが高じて、皆で力を合わせ、せっせと糸こんにゃくを編み上げて立派なお城を築き上げました。
町の人々はよくこう言い合っていました。
「いやあ、我々は随分と糸こんにゃくが好きですな。」
「いや、そうですね。我々は本当に糸こんにゃくが好きですね。」
しかし、その平和な日々に、突如として暗い影が忍び寄るのでした。
ある男が糸こんにゃくキャッスルにやってくるなり、大声で言い放ちました。
「俺の名は佐竹三郎。お前たちは糸こんにゃくなんてものを食べているのか。糸こんにゃくなんてのは栄養にならないんだぞ。」
そう言うと佐竹三郎は、なんと手のひらから一羽の鶏を魔法のように取り出してみせました。
「これがチキンだ。お前たち、このチキンを食べれば、この俺様と同じように力強くなれるぞ。さあ、食え。」

町の人々は必死に抵抗しました。
「僕たちは糸こんにゃくしか食べることはできない!」と叫びましたが、佐竹三郎は無理やり彼らに鶏を食べさせてしまいました。
すると、不思議なことが起こります。鶏を食べた人々は、生まれて初めて体を揺らし、喜びのままに踊り始めたのです。
「ひょっほ、ひょっほ!」彼らは叫びました。「鶏を食べたら踊れるようになったぜ!」
そして、踊りながら佐竹三郎に導かれるまま、彼らは鶏だらけの山へと姿を消してしまったのです。

こうして、糸こんにゃくキャッスルの人口は半分になってしまいました。
佐竹三郎の騒動の後、残された人々は、前よりも小さな町で、静かに、そして変わらず幸せに暮らしていました。そんな彼らのもとに、今度はさらに恐ろしい訪問者がやってきます。
その男は、高らかにこう名乗りました。
「ラーメンがとても大好きなラーメン太郎だ!」
ラーメン太郎は、糸こんにゃくを食べる人々をあざ笑うかのように言いました。
「糸こんにゃくなんか食べていたら痩せちゃうからな」
そして彼もまた、手のひらから熱々のラーメンをプシュプシュプシュッと吹き出してみせたのです。

残っていた町の人々は、その香りに抗うことができず、夢中でラーメンをすすりました。
すると、食べた途端、彼らの体は再び勝手に動き出し、今度は「ラーメンの舞」を踊り始めたのです。そして、踊りながらラーメン太郎の後を追い、ラーメンの山へと去っていってしまいました。
こうして、あれほど賑やかだった糸こんにゃくキャッスルには、とうとうたった三人しか残らなかったのです。
城に残ったのは、糸こんにゃく太郎、糸こんにゃく二郎、そして糸こんにゃく三郎の三兄弟だけでした。

「兄上、参りましたな。この糸こんにゃくキャッスルには、我ら三人しか残らなくなってしまいました。」
「うむ。こうなった上は、この城は我らで守るしかない。よし、この糸こんにゃくキャッスルを空に向けて飛ばそう。」
驚く弟たちに、太郎は城の秘密を明かします。
「そうだ。糸こんにゃくキャッスルには元々空を飛ぶ機能があるのだ!」
その言葉と共に、城はごう音を立てて大地を離れ、空高く舞い上がっていきました。そう、彼らの城は、もとから空を飛ぶことができたのです。
三人の英雄は、愛する糸こんにゃくキャッスルに乗ったまま、どこまでも続く空の彼方へと向かっていきました。

続きはまた今度。おしまい。
