心地悪さは、変化のサイン|元に戻りたくなったときに読む話
「ああ、なんか気持ち悪い」「落ち着かない」
そんな感覚を抱いたとき、あなたはどうしますか?
組織開発やNLPの現場で、多くの“変化の瞬間”に立ち会ってきました。
そこでいつもお伝えするのが、「気持ち悪くなったら、それは変化してる証拠かもしれない」という話です。
これは、生物に備わった「ホメオスタシス=恒常性維持機能」と深く関係しています。
今日は、その本質と、なぜ“良い変化”すら不安に感じるのか、そしてどう向き合えばいいのかをお話しします。
ホメオスタシスとは?
ホメオスタシスとは、「恒常性維持機能」と訳される、生物が命を守るための本能的な仕組みです。
生き物にとって一番大事なことは、「命を守ること」。
だから本能として、変化=危険と判断されるのが自然なんです。
たとえ今いる環境が苦しかったとしても、
そこで生き延びてこられたという“実績”がある以上、
無意識に「ここが安全」と認識されます。
つまり、どんなに不自由でも、慣れた環境は“安全圏”になってしまうんです。
良い方向の変化すら、怖い
たとえば、新しいチャレンジをするとき。
本当はワクワクしているはずなのに、なんだか怖い、不安、そわそわする…
そんなとき、私たちは「やっぱりやめておこうかな」と元に戻りたくなります。
それは、生物として“正常”な反応です。
命を守る本能が、「知らない場所は危ないから戻って!」とサインを出しているだけなんです。
変わろうとするときに起きること
個人でも組織でも、何かが“変わりはじめた”とき、必ずと言っていいほどこの不安が襲ってきます。
たとえば、個人の変化
ある人が「自分にはもっと価値がある」と思えるようになって、
今までより高い価格でサービスを提供しようとしたとします。
実際に申し込んでくれるお客様がいて、売上も上がってきた。
でもそのとき、突然こう感じることがあります。
「なんだか気持ち悪い」「私、こんなに受け取っていいのかな」
「こんなにお金もらったら、後で痛い目に遭いそう」
すると無意識に、自分の価値を下げるような選択をしてしまい、
また元の場所に戻ってしまうことがあるんです。
たとえば、恋愛のパターン
「自分を幸せにしてくれない相手とばかり付き合ってしまう」
そんな方がいます。
「今度こそ優しくて誠実な人と幸せになりたい」と願っていたとしても、
いざ本当に大切にしてくれる人が現れると、
どこかで「違和感」や「落ち着かなさ」を感じてしまう。
それは、“大切にされる”ことに慣れていないからです。
これまでの人生で「ぞんざいに扱われる」「期待されない」「ないがしろにされる」といった関係が当たり前になっていると、
“幸せにされる”という経験そのものが未知で、不安定に感じられる。
その違和感に耐えきれず、結局また“慣れた不幸”に戻ってしまう。
――本当にもったいないことです。
組織でも起きること
組織でも同じことが起きます。
たとえば、あるメンバーがいつもと違う行動をしてみたとき。
それまで否定的だった人が、誰かを褒めてみる。
いつも受け身だった人が、自主的に意見を出してみる。
でも、周りから「どうしたの?キャラ変えたの?」なんて言われた瞬間、
「やっぱり自分には無理だったかも…」と元に戻ってしまう。
ここで戻らずに踏みとどまれたら、大きな変化が起きるのに。
ほんの少しの“心地悪さ”が、その芽を潰してしまうことがあるんです。
「気持ち悪い」は変化のサイン
でも、安心してください。
この“心地悪さ”こそが、変化の証拠です。
これは、NLPの世界でよく紹介される「ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)」の考え方にも通じます。
ヒーローは、何かの「きっかけ」によって安全な日常を抜け出し、
未知の世界に旅立ちます。そこには困難や葛藤があるけれど、
それを乗り越えて、彼は“変化”して帰ってくる。
この理論を紹介したのが、ジョセフ・キャンベルの名著『千の顔を持つ英雄(The Hero with a Thousand Faces)』です。
ドラクエで考えると…
私はよく、RPGゲーム、特にドラゴンクエストで例えて話すことがあります。
最初の町にいる間は、敵はスライム。
何度でも簡単に倒せて、安心。でも、レベルは上がりません。
次の町へ行けば、新しい敵が出てきて、最初は苦戦するかもしれない。
でもそのぶん、強くなれる。世界が広がる。
それを続けていくと、最初の街にいたときには、到底考えられなかったような自分に
気がついたらなっている。
「あなたは、どっちの人生を選びたいですか?」
おわりに:その“違和感”に、立ち止まらないで
今、もしあなたが何かを変えようとしていて、
心がざわついたり、不安を感じたりしているとしたら…
それは、あなたが“安全圏の外”に足を踏み出した証拠かもしれません。
「気持ち悪い」と感じたその一歩先に、
本当に欲しかった人生や関係、変化が待っているかもしれない。
だから、元に戻らないで。
その“違和感”こそ、変化のチャンスです。
あとがき|現場で何が起きているか
私がNLPのトレーニングや、組織開発の現場で大切にしていることがあります。
それは、
“違和感を越えた先にしか、真の変化は起きない”ということです。
どんなに良い変化であっても、
最初は必ず「ちょっと気持ち悪い」「落ち着かない」瞬間がある。
でもそのときこそ、無意識が揺れている証拠であり、
そこを越えられたとき、人や組織は後戻りしない“不可逆の変化”を起こし始める。
この視点を持って関わることが、変化を「一過性のイベント」で終わらせず、
本当の意味での“進化”へとつなげていく鍵になると感じています。
そして、
その変化を支えるために、NLP(神経言語プログラミング)の考え方は非常に役に立ちます。
意識と無意識のはざまにある“感覚”や“抵抗”を丁寧に扱い、
言葉にならない違和感を超えていく力こそ、変容の本質なのだと思います。
著者プロフィール:
Effica株式会社 代表取締役
全米NLP協会認定トレーナー
柳下早紀
公式サイトはこちら:https://effica.co.jp
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