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「私はお金よりも価値がない」― 幼い日の“たった一文”が、私の人生を縛っていた ―

この記事は昨日の記事の続き(背景)として
私の体験を詳しく書いています。


あの一文に、すでにビリーフがあった

私は、物心がついたころから母方の祖父の妹の家に預けられて育った。

小さな私にとって、両親は“仕事で忙しい存在”だったし、「一緒にいたいのに会えない人たち」だった。

そんな中、小学校1年生の授業で、「親へのメッセージを書く」と機会があった。
私はたしか、「どうして一緒に遊んでくれないの?仕事が忙しくて全然遊んでもらえない。」と書いたと思う。
その文章に続く最後の一文は、今でもはっきりと覚えている。

「でも、お金が儲かるからいい。」

この文章を家に持ち帰り、母と、家で働いてくれていた親族に見せたときのこと。
ちょうど昼ごはんの時間だった。
最後の一文を読んだ大人たちは、声をあげて笑った。

“お金が儲かるからいい” と言う小さな子供らしい拙い言い回しが面白かったんだろう。

私も自分でちょっと恥ずかしかった。
なんだか「変なことを書いちゃったな」と思ったのを覚えている。

それから何十年も経ってから、ふと、唐突にその場面の記憶がよみがえった。

ああ、あのときにはもう、私の中にビリーフができていたんだ。

お金を稼ぐのは大切なこと。
でもその裏には、「お金のために、私は一緒に過ごしてもらえない」という、ビリーフがあった。


私にとっての世界の見え方

あの一文に込められていたのは、小さな私が見ていた“世界の構造”そのものだった。
・お金のために私は人の家に預けられている
・お金のために、両親と過ごすことができない
・家族が一緒にいられないのは、お金がないから

そして、「私はお金よりも価値がない」
そんなアイデンティティに関するビリーフが、知らず知らずのうちに私の内側に根づいていた。

ビリーフは、その人にとっての真実なので
当たり前すぎて、自覚すらできない。
魚が水の中にいて、水というものが見えていないのと同じ。


さらにそこから、いくつもの派生ビリーフが生まれていく。
・お金を稼ぐことは寂しい思いをすること
・私は愛されるに値しない
・経営とは家族を犠牲にするもの

今ならわかる。
これは現実ではなく、私の“世界の見え方”=ビリーフだった。

でも、当時の私はその世界しか知らなかった。
そして、その世界観は、私の進路や人生の選択にさえも、深く影響していくことになる。


親が幸せでないと

母は、自分の意志ではなく  
“しかたなく背負わされた”ような形で、祖父の会社を継いだ。
その会社に、父が婿として入社し、副社長となった。

そうして両親は、仕事はいつも忙しくしていたし、私には幸せそうには見えていなかった。


母は私が11歳のとき、癌で亡くなった。
発覚してから、わずか2ヶ月だった。

母は毎日ぐったりするまで働いて母と
「お金をためて、いつか落ち着いたら一緒に暮らせる」
そんな未来を、私はどこかで信じていた。
そのための我慢なんだと思っていた。

でも、叶わなかった。
我慢の先には、幸せな時間ではなく、突然の別れが待っていた。

私は、母を幸せにできなかった。
それが、私の罪悪感を決定的なものにした。

「もっと私が一緒にいたいってわがままを言えてたら…幸せにしてあげられた?」
「いや、そもそも一緒にいたいと思わないから迎えに来なかったんじゃ?」
「私がいなければ、母は楽だったかもしれない」

そんなことを、何年ぐるぐると考えていた。


子どもは、親が幸せでないと、自分のせいだと感じてしまう。
それは理屈ではなく、反射のように無意識に刷り込まれる。

だから私は、
自分がやりたいことを考えることすらできなかった。
罪悪感から、自分が幸せになることに、無意識レベルで強い抵抗を持っていたのだと思う。


知らずに選んでいた“安心”の道

だから私は、
「自分が幸せになること」や「自分の願いを優先すること」に、強い抵抗を感じていた。
だからかわからないけど、将来やりたいことなんて、浮かんだこともなかった。

結果として私は、
「自分の人生をどう生きたいか」よりも、
「社会的にちゃんとすること」
を優先して進路を選んだ。

そうして私は、安定した企業に勤める会社員の道を進んだ。

でも心のどこかでは、生きているのにどこか息苦しいような感覚がずっとあった。
何が原因かもわからないまま、
「正しく生きること」にエネルギーを注ぎ続けていた。


起業という“禁じられた選択”

そんな私が、まさか自分で事業を始めることになるなんて、思ってもいなかった。
というより、かつての私にとって“起業”は、一番やってはいけない選択肢だった。

なぜなら、私の中ではずっとこうだったから。
・会社を経営する=家族を犠牲にする
・起業する=幸せになれない
・お金を稼ぐ=愛情を手放すこと

小さい頃から見てきたのは、「仕事のために家庭が後回しになる姿」だった。
だから私にとって、自営業や経営は“愛のない人生”とつながっていた。

けれど、いくつもの出来事が重なり、気づけば私は起業の道に進んでいた。
「起業しよう」と意志で決めたことはないけど、
そうなるように導かれていった。


もちろん、怖かった。
漠然とした恐れが、どこかにずっとあった。

でもその頃の私は、すでに神経言語プログラミング(NLP)を学びはじめていた。
自分の内側にあるビリーフや価値観に目を向け、
「私は本当はどう生きたいのか?」という問いに、少しずつ正直になっていた。

そして、答えはずっと自分の中にあったことに気づいた。
それはまるで、北極星のように揺らがないものとしてそこにあって、その姿がぼやけながらも、ずっとそこに見えていた。


怖さを抱えながら、それでも私はその方向に進みはじめた。
すると人生は、静かに、でも確実に、その方向へと流れはじめた。


気づきが変えたもの

あのビリーフに気づいたのは、ここ数年のことだった。
ふとした瞬間に、あの小学校1年生の記憶がよみがえった。
「でも、お金が儲かるからいい」
この一文が、はっきりと、私の中に刻まれていた。

それを思い出したとき、すべてが線でつながった。
幼い頃に抱いていた「世界の見え方」――
・会社を経営する=家族を犠牲にする
・起業する=幸せになれない
・お金を稼ぐ=愛情を手放すこと
そして、私には価値がない。

そんな思い込みが、人生の選択すべてに影響していたことに気づいた。

気づいたことで、少しずつ、世界が変わり始めた。

ビリーフは、無理やり“書き換える”ものじゃない。
ただ「それがあった」と気づくだけで、力を失っていくことがある。

NLPでは、そんなビリーフの扱い方をいくつも学んだ。
私にとって一番大きかったのは、
「これは真実ではなく、“かつての私”がつくった世界の捉え方なんだ」と認識できたことだった。

気づけば、
お金を得ることに抵抗が薄れていた。
やりたいことを語ることに、後ろめたさがなくなっていた。
「幸せになってもいい」と、自分に言えるようになっていた。

遠回りだったかもしれない。
もっと早く気づけていたらと思うこともある。

でも今は、「あの遠回りがあったからこそ、今の私がいる」と思える。
必要なタイミングで、必要なことが起きていたんだと。


ビリーフは人生を縛る。だからこそ、見つけて、緩めていく

ビリーフは単なる“思い込み”ではない。
それは、無意識のうちに世界の輪郭を決め、人生の方向性すら左右してしまうレンズだ。

しかもその多くは、まだ言葉を十分に持たない頃――5歳や6歳の頃にはもう、静かに根づいていることが多い。

私は、ただ「遊んでほしい」「一緒にいたい」と願った小さな子どもだった。
でもその願いが満たされなかったとき、
「それはお金のせい」「私はお金よりも価値がない」
――そんなふうに、世界を理解してしまった。

誰のせいでもない。
ただ、それが私の中で“真実”になってしまっただけ。

でも、大人になった今なら言える。

それは「世界の真実」ではなく、「かつての私の真実」だったんだと。

もし今、あなたが
・自分のやりたいことにブレーキがかかる
・お金を得ることに罪悪感がある
・誰かの幸せを優先して、自分を後回しにしている
そんな状態にいるなら、それはあなたのせいではないかもしれない。

それは、幼いあなたが選んだ「世界の捉え方」かもしれない。

そして、そのビリーフは、今からでも見つけて、緩めることができる。

私がNLPを通じて少しずつ変化してきたように、
あなたの中にも、まだ言葉になっていない“前提”が、きっとある。

まずは、それに気づくことから。

気づけば、変わる。
変われば、人生の選択が変わっていく。


最後に

私は現在、神経言語プログラミング(NLP)トレーナーとして、
「自分の無意識とつながり、人生をより自由に選択できるようになる」ための講座やセッションを提供しています。

今回の記事は、自分自身のビリーフに気づき、変化していった実体験を通して、
同じように「知らず知らずのうちに縛られている何か」に気づきたいと思っている人の助けになればと思い、書きました。

気づきが深まるほど、人生はもっと自分らしくなっていく。
そんな体験を、必要としている誰かに届けられたらうれしいです。

Effica NLP Academy
柳下早紀(NLPトレーナー/組織人事コンサルタント)

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