絶対に後ろを振り向くな「ドリーム・カム・トゥルー」ジョジョ企画
天音町十字路の交差点「ドリーム・カム・トゥルー」通りで怪事件が発生していた。
「観光客の消失事件が起こっています!」
天音町のビル5階にある、新構造真(しんこうぞう・しん)のコンサルタントオフィスに町役場職員が駆け込んできた。

私と助手の三枝絵里(さえぐさ えり)は顔をしかめる
「そんなことは警察に任せたら良いのでは?」
「被害者の友人が、その時の写真を撮っておりまして」
__その写真を見て驚いた

「これは‥…心霊写真でしょうか?」
「いや、この世に心霊写真はない。しかし、これは合成写真でもない。確実に実体があり、物理的な攻撃を仕掛けている。強力な思念体だ」
「このままでは、うちの観光客は減ってしまいます。この町の公式コンサルとしては、解決すべきなのでは?」
「あのね、先生はそんな危険な仕事はしません」
「そうですか、怖いのですね。しかたありません」
新構造は事務所のテーブルを指でトントンと叩いた。
「まて、誰が怖いと言った。その件の調査を引き受けよう」
町役場の職員は安堵の表情を浮かべて帰って行った。
「先生!どうしてあんな仕事引き受けたんですか?」
「まぁ。いいじゃないか」
「先生もしかして、『押すなよ!絶対押すなよ!』好きなんでしょ?人は「〜するな」と禁止されるほど、逆にそれをやりたくなりますからね!」
「お笑いに興味など無いッ!あれはカリギュラ効果(心理的リアクタンス)といわれている。禁止が強ければ強いほど、それを破った時のカタルシス(解放感)を楽しむものだ。私は違う」
「なら、先生は何のために?」
「絶対的な好奇心だよ。絶望と恐怖を乗り越えるカタルシス‥。こんな面白いこと他にあるのか?」
新構造真はこの事件をカテゴライズしていく
この事件は「ドリーム・カム・トゥルー」通りでしか起こっていない。
最近になって事件は発生している
攻撃は一人だけ狙われる。逃げるのは不可能
__この思念体は怨霊に近い、土地に固執し、何かを成し遂げようとする強い意志がある。
歴史を調べてみると、かつて、北村、南村、西村、東村山があった。そこで各村人たちが村を存続させるため、自分たちの村に人を集めようと争いを起こした。
のちに争いを収めようとして、4つの村を統合して一つの町「天音町」となったが、東村山だけが統合に最後まで反対していたと記されている。
あのドリームカムトゥルー通りの十字路。
4つの村の境目にある。
__この思念体の目的は、人を自らの村に引きずり込むことだ。
明治時代、氏は村の名前からも取ったものが多い。村の名前や家系を存続させるために生まれた「生存本能の暴走」。これが正体だ
この思念体を【四ッ村】と名付けた
<では、何故、今なのか>
この箇所には道祖神(お地蔵様)が祀られていたが、近年の道路拡張工事で取り除かれ「ドリーム・カム・トゥルー通り」と新たに名付けられた。
なるほど。【四ッ村】は”名前”に執着する
__過去の「生存本能の暴走」が、『自らの村と氏を再び興す』という「夢を実現させる」ために蘇ったということか‥
また、被害者友人の証言から、信号を渡ろうとした時に、交差点のメロディ「とおりゃんせ」が突然、「かごめ かごめ」に替わった時に襲われたという。
すべてを理解した。
助手の三枝は、青ざめた顔で忠告する。「先生。この敵はあまりにも危険です。【四ッ村】には本体がなく、ダメージを与えられない上に、防御不能です」
だが、新構造真の目には恐怖はなく、危険なほどの輝きが宿っていた。
「‥‥こいつは無敵に近い、この上なくグレイトだ。最高の獲物だよ!」
「私は関わりません。ご自由にどうぞ」
新構造真は、明朝「ドリーム・カム・トゥルー」通りで、1人たたずんでいた。
朝焼けの光が差し込む、誰もいない交差点で信号が変わった。新構造真が、いつものメロディ「とおりゃんせ」で道を渡ろうとすると、「かごめかごめ」にメロディが切り替わった。
ドドド‥‥ドドド‥‥
「さぁ、来いッ【四ッ村】!」
「かごめかごめ」は古来より多くの解釈や都市伝説を生んできた、日本で最も「不気味な謎」を秘めた歌の一つだ。
~籠の中の とおりは、いついつでやる~
かごめかごめは「囲め 囲め」の略であり、円陣(結界)の中に一人を閉じ込め、祝詞を唱える呪術・降霊儀式である説がある。
~夜明けの晩に~
明朝のことだ。
~鶴と亀が滑った~
縁起物の鶴と亀が消滅する、黄泉の国の意味だ。
背後から、黄泉の国から来た無数の手が、蛇のように這い出して迫ってくるのを、背中にビリビリと感じる。

~後ろの正面だぁれ~
「これがトリガーだッ!」
「ここで後ろを振り返ると、引きずり込まれるッ!」
背後からの無数の手は彼の顔の近くまで来ていた。
既に死臭の香りが漂い始めている。
「これで、検証は終わった」新構造真は呟いた。
__能力が発動したら無敵。なら、発動させなければよい。
つまり、振り返らずに横断歩道を渡り切れば、私の勝ちだ。実に簡単だった。後はこの通りを封鎖すれば【四ッ村】は消滅する。
彼はそのまま、籠の中の『とおり』を悠然と歩いていた。
__しかし、横断歩道を渡り終わる手前でピタッと足を止める。
「…だが、気にいらないねぇ…。【四ッ村】ッ!」
「お前は、この街を愛する何の罪もない人に『恐怖』を味わわせた。真の悪とは、理不尽な暴力で他人の尊厳を泥足で踏みにじることだッ!」
「いいだろう、お望みどおりその『禁忌』を試してやる! ただし――俺が勝ったら、引きずり込んだ人間をすべて返してもらうぞ。今度はお前が恐怖を味わう番だ!覚悟しろッ!」
新構造真は後ろを振り返った。
すると暗闇の空間から無数の手が襲ってきた!!
「アイ・イン・ザ・スカイ発動!」
「分離させろ!!」

「けた外れのスピードとパワーだ。これが『生存本能の暴走』か!甘く見ていた。この力は神に近い!」
「ァぁぁ‥神に逆らう不届きモノ…真の絶望を見せてやる…」
暗い闇の底から湧き上がる様な声が聞こえた
闇の手が新構造の掴み引きずり込む。すでに体の半分は取り込まれている「まずい、数が多すぎるッ!このままではァ!」
___その時だった。こちらに駆け寄ってくる声が聞こえた
「先生!大丈夫ですか!」
「三枝君!来るなッーーー!!逃げろ!!」
「えっ?先生?」
その時、新構造を掴んでいた闇の手の攻撃は、寸前の所で解除された
「何ィィ!!ターゲットを変えたな!」
「かごめかごめ」のメロディが再び流れた。

「やめろ!彼女は関係ない!!俺と勝負しろ!!」
「先生?どうしました?」
「いいか!三枝君、絶対に振り向くなッ! そのまま前にすすめ!」
「来るなと言ったり、来いと言ったり・・」
「何も考えるなッ!そうだもっと近くにくるんだ!」
その時、背後の信号機から異音が流れた
「三枝君‥‥こっちダヨ・・」
「えっ!」
三枝は呼ばれて後ろを向こうとする
「やめろ!罠だ!振り向くな―――!!」
ゴゴゴゴゴゴ…
三枝の首が、ゆっくりと、後ろへ回り始める。
「やめろッ___!!」
背後のアスファルトが黒く沈み、そこから――無数の闇の手が湧き上がった。指先が三枝をつかもうと伸びる。
三枝の首が、さらに回る。
あと数センチで――
完全に振り向く。
__その瞬間。新構造は叫んだ。
「3m!3秒!射程距離に入った!」
「【四ッ村】ァ。お前がゲス野郎でよかったぜ!」
「アイ・イン・ザ・スカイ!!」
「ザ・コンプリート・フレームワーク」
<空気が格子状に分断される>
世界が、設計図のようなフレーム構造に変わった。
「この空間では……ルールは私が定義する。」新構造真が指を鳴らす。
「再定義だッ!!」
ドリーム・カム・トゥルー通りを――
『ドリフ・ザ・カムトゥルー』に変更ッ!!
一瞬、空間が沈黙した。
新構造は腹の底から叫ぶ。
「シムラァーーー!!」
闇の手が止まる。「後ろォォォ!!」
「シムラ―!!後ろ後ろ!!」
三枝が反射的に振り向いた。
その瞬間。
闇の手が、バチン!と音を立てて弾けた。
断末魔の様な叫び声が響いた。深淵は消え、影はただの影に戻った。
交差点には、朝の光が戻った。
三枝はへたり込みながら言った。「……何が起きたんですか」
「簡単な話だ」
彼は肩をすくめた。「この呪いは『後ろを向いたら終わり』だった。」
少しだけ笑う。
「だから私は――」
「『後ろを向いたらオバケが消える』世界に変えた」
◇◇◇
__それから、町で行方不明なった人達は、山で発見された。本人達は何も覚えていない。ただ一つ、全員が同じことを言った。「後ろの正面に、ずっと立っていた」
⇒これは「令和の神隠し事件」と呼ばれた
「先生。よかったですね」
「あぁ。四ッ村の強さは本物だった。結局、消滅させるには至らなかった」
「それは、そうと、先生!‥‥私をおとりにしたでしょ?私が来るのを計算してましたよね」
「なんのことだ」
「誤魔化さないで下さい。私が来るなんて、そんな不確定な要素に頼るなんて無謀です!たまたま勝ったからよかったものの、一つ間違えたら‥‥」
「偶然だとかたまたまだとか、無能な言葉で私を納得させないことだな。君が来ることは確定されていた。なぜなら‥‥君は“困難に振り返らない人間”だからだ」
<町役場の職員が事務所を訪れた>
「先生。ありがとうございます」
「いや、礼には及ばない」
「それはそうと、実は、また変な噂が出ておりまして」
「今度はあの通りで『変なおじさん』を見たそうです」
「なんでも『アイ〜んザなんちゃら!』と踊って――振り返ると消えるとか」
「……そいつは無害だから、ほっておけばよい」
町役場の職員が帰った後、新構造真は事務所の机をバンバン叩き、怒りを露わにした。
「許さんぞ、四ッ村ァァ!私の魂のスタンド『アイ・イン・ザ・スカイ!』の名をギャグの前振りに使うとは!おまけに、長いからって最後は適当に端折りやがった!」
「先生~やられましたね。引き分けですか」
「アイツ!今度こそ、消滅させてやるッ!!」
「あっ、先生。もう天音町のLINEスタンプになって愛されてます」
新構造は窓の外を見た。
ドリフ・ザ・カムトゥルー通りの交差点。
ランドセルを背負った子供達がふざけ合っていた
「アイーーン!!」
「アイーーン!!」
新構造はうなだれて肩を落とし、天を仰いだ。
「……だめだこりゃ。……四ッ村めッ!」
――まあいい。私も“後ろを振り返らない男”だからな。
天音町 観光名所000
<ドリフ・ザ・カムトゥルー通り>

天音町にある有名な交差点。
かつては「ドリーム・カム・トゥルー通り」と呼ばれていたが、ある奇妙な事件のあと、人々はこの場所をこう呼ぶようになった。
ドリフ・ザ・カムトゥルー通り。
昼間は子供たちの遊び場で、
横断歩道では「アイーーン!」とふざける声がよく聞こえる。
しかし地元では、こんな噂がある。
土曜日の夜8時。
横断歩道のメロディが突然「ババンバ、バンバンバン いい湯だな」に変わると――どこからともなく”変なおじさん”が現れる。その男は、東村山音頭を踊りながら横断歩道を渡り、妙に得意げな顔でこう叫ぶという。
「アイーーン・ザ・なんちゃら!!」
そして振り返ると、
次の瞬間にはもう消えているらしい

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