【毎週ショートショートnote】お題:「曼殊沙華は恋をする」
私は江戸時代に栄えた宿場町を旅していた。
現在でも蔵や古民家のある街並みが残っており、神社仏閣を巡り往時の繁栄と歴史を偲ぶことができる。
ある宿の古民家で、古びた手紙を見せてもらった。
古びた桐箱の蓋を開けると、手紙はとある武将が姫へ宛てた恋文だった。
「天下統一こそが、この国に真の安寧をもたらす道。されど、その道は血で塗られております」
時は戦国時代だろうか。郷土は敵に囲まれても、平和と独立を守りたい。彼の筆致からは、戦乱の世を終わらせたいという強い情熱と、それでも避けられない悲劇が滲み出ていた。
最後の手紙にはこう書かれていた。
「我、ただ汝を想う。されど、我なき後は、他者と幸あれ。」
以降の手紙は無い。おそらく武将が自らの命を懸けた一騎打ちに臨む直前に書かれたものだろう。
ー続きが知りたいー
私はこの謎を解き明かすために市内を散策すると、首塚があることを知った。愛馬が武将の亡骸を抱きかかえ、この地に戻ってきたのでは?
これ以上のことは文献には記されていない。
<私は諦めきれずに、秋に同じ場所を訪れた>
秋祭りが開催されており、そこには曼殊沙華が一斉に咲いていた。
ー私は戦国武将と姫のことを考えていたー
姫は武将との悲しい別れの後、故郷の野辺に自生する曼珠沙華の球根を幾千となく植え続けたのではないだろうか。
季節は巡り、秋の彼岸。武将を討ち取ったはずの敵将は、首が上がらないことに不審を抱きつつ、残党狩りのため郷土へ攻め入った。
しかし、そこに広がっていたのは、大地を埋め尽くすほどの曼珠沙華の群生だった。鮮烈な赤はまさに「天界に咲く花」美しくも毒のある危険な象徴。それらが結びつき、敵将の心に深い畏怖の念を抱かせた。
「退け! 侵攻は中止だ!」
ー私は赤い絨毯のような曼珠沙華を見つめていたー
武将と姫の、果たされなかった再会と、胸に秘められた永遠の別れの物語が、時を超えて私の心に静かに響いた。
「また会う日を楽しみに」燃えるような赤色の曼殊沙華の合間に、稀に、ひっそり白い曼殊沙華が咲いているのが見えた。
「想うはあなたひとり」
そんな誰も知らない歴史が、今も宿場町に息づき、曼殊沙華が咲くたびに人々を惹きつけているのかもしれない。
お題【曼殊沙華は恋をする】
たらはさん、自分お祭り騒ぎとか苦手なんすよ。いつものお題をくださいよ。あの意味不明なお題をよぉ!
そんな皆様にはこちらを。
裏お題【駅で鯛を釣る】
|д゚)チラッ
曼殊沙華(彼岸花)の花言葉
曼殊沙華(まんじゅしゃげ、彼岸花)の花言葉には、いくつかの意味があります。

代表的な花言葉
「情熱」
「独立」
「再会」
「あきらめ」
「悲しい思い出」
「また会う日を楽しみに」
赤い彼岸花は特に「情熱」「独立」「再会」といった強い感情や、別れと出会いにまつわる意味を持ちます。
また、彼岸の頃に咲くことから「死者を想う花」「輪廻転生の象徴」としても扱われます。
ちなみに、白い彼岸花の花言葉は「想うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」となり、少し優しいニュアンスになります。
たらはかにさんの毎週ショートショートとのコラボということで、『PJ』作詞作曲/プロデューサーさんが開催されている、こちらのイベントにも参加しました。
今回は、字数がおもいっきりオーバーしてしまいましたが(今更)
イベントが盛り上がることを願っています。
