【毎週ショートショートnote】お題:「誤解陸上②」
僕は背が低かった。
いつも人の頭の上ばかり見上げて、届かない世界を眺めているような気がした。
背が高くなりたかったので、中学校ではバレーボール部に入部した。
体育館はバスケットボール部と共用で狭かった。
補欠の僕は、ボール磨きとコートのセットを終えると、グラウンドを走り、階段の上り下りを繰り返す日々だった。
2年生、3年生になってもやることは変わらず、万年補欠のまま、夕日が沈むグラウンドを走り続けた。
3年生最後の夏、思い出作りとして試合に1回だけ出場できるはずだった。胸がドキドキして出番を待ったが、結局、コートに立つことはなかった。
<試合後、顧問に尋ねた「どうして僕は出れなかったんですか?」>
「すまんすまん。地区の予選を通過できるか大事な試合だったんだ。それに、お前は、背が高くなりたいからバレーボール部に入ったんじゃないのか?」
「それは確かにそうですが・・」
「バレーボールをすれば背が高くなるわけじゃない。背が高い奴がやるスポーツなんだ。つまり、選ばれた才能のある奴しか辿り着けない世界がある。真剣にやっている仲間に譲ってやれよ」
ー手を伸ばしても届かない、努力では埋められない距離
だが、その光景を目に焼き付けながらも、心のどこかで小さな誇りを感じていた。
「ここまでやった自分は、確かにここにいる」と。
ーそれすらも否定されたのだ
目の奥が熱くなる。自然に涙がこぼれた。
<高校生になった僕は、陸上部でインターハイに出場していた>
競技用のシューズを履きながら、空を見上げていつもの夕日を見た。今日は眩しく感じた。
お題【誤解陸上】
待ってくださいたらはさん。
私はたらはさんがサボるだなんて思っていませんよ。
そんな優しい皆様にはこちらを。
裏お題【和解劇場】
|д゚)チラッ
