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「ちょんまげUFO岬の謎」~#天音町の奇妙な名所~ジョジョ企画

私は、「世界の謎」を追求する月刊「ウー」の編集長の三下だ。

編集局には日々、読者が撮影したUFOの画像や写真が送られてくる。

UFOとは魑魅魍魎の世界だ。明らかなインチキ合成写真や、飛行機の見誤り、ドローン、凧、建物の照明など、何でもアリの世界。

実は‥‥編集者にとって、これほど楽な記事はない。検証する気もなく、そもそも検証など不可能なあやふやなモノを「UFO」と認定し、「謎だ」「衝撃だ」と書いておけば記事になるからだ。

__そんなマンネリの中、とあるUFO写真に目を奪われた。

天音町(あまねちょう)へ旅行に行った観光客が撮影したというUFO写真だ。

昼間の鮮明な画像で、明確にUFOが映っている。

問題なのは、UFOが立派な【ちょんまげ】を付けていることだ。

「明らかにネタの類だが、合成の形跡はない。もしや‥‥」

デスクに写真を放り出した私に、若手ライターが鼻で笑った。

三下編集長、本物かどうかは関係ないでしょう? こんなふざけたモノ、記事にはなりませんねぇ…」

このライターの発言に、私は自分の中で眠っていた情熱が再燃するのを感じた。

「馬鹿野郎! お前たちは、いつからそんなくだらない人間になったのだ! 未知の謎を追いかけて、真実を読者に提供するのが俺たちの仕事だろうが!」

三下はその場で、天音町への緊急取材を敢行することを決意した。自らの手で「ちょんまげUFO」を写真に収めるまで、帰らない覚悟で。


「ここが、天音町か」

海と山に囲まれたのどかな町「天音町」。

「なんて平和で美しいんだ」

__のどかな町だからこそ怖い。三下は身震いした。

これは、かのシャーロック・ホームズも語っている。

「ワトソン、のどかな風景こそ、僕にとっては恐怖の対象なんだ。都会の不潔な路地裏で起きる犯罪は、すぐに世間の目に触れる。だが、人里離れた田舎の一軒家では、人知れず恐ろしい虐待や犯罪が行われていても、誰も気づくことができない……」

シャーロック・ホームズの最初の短編集『ぶな屋敷』から

のどかな町にこそ、誰にも知られていない恐ろしい(あるいは奇妙な)真実が隠されているのだ

三下は岬にテントを張り、超高性能の望遠レンズを付けたカメラをスタンバイさせた。

今回は念のために、UFOを呼べる男として、「怪しい髭面のオッさん」も用意して準便は万端だ。

私は何日もテントで粘ったが、ちょんまげUFOは一向に現れない。横では「怪しい髭面のオッさん」が、意味のわからない踊りを延々と続けている。

キュウリを持った現地の子供達が、私のテントの周りを囲んでちょっかいを出してきた。

カメラのファインダーをのぞき込んでいる私の頬を「何してんの~?」とキュウリで突いてくる。新鮮なキュウリだ。トゲトゲが痛い。

とうとう、取材の日が終わった。結果、余計なモノは撮れたが、「ちょんまげUFO」に出会うことはなかった。

岬の向こうへ沈んでいく夕日が、今の私の心境を映すかのように赤黒く滲んでいる。

__この数日間、どれほどの「覚悟」を持って、この吹きさらしの岬に立ち続けたことか。

吹き付ける潮風に肌を焼かれ、横で踊る怪しいオッさんに睡眠を妨害され、子供にちょっかいを掛けられた日々。空を仰ぎ続けた私の努力は、すべて無に帰したのだ。

「ちょんまげUFO」。 あの奇妙で、それでいて気高きシルエットをこの目で捉え、その謎を解き明かさないまま帰路につくなど、断腸の思いである。

プロの端くれとして、いや、一人の探求者として、この敗北感は一生消えることのない痣のように胸に刻まれるだろう。

__未知との遭遇。それは簡単なことではない。だからこそ追い求めるのだ

あぁ、無念だッ! このまま手ぶらで、都会の騒がしい、だが退屈な日常へ戻らなければならないのか!

三下はテントをしまい、仲良くなった現地の子供達と別れを告げて、天音町を後にした。



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#天音町の奇妙な名所

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